リレンザをネブライザーで使用してはいけない(米FDA)

 米FDAとGSK社は9日、抗インフルエンザ治療薬リレンザ(ザナミビル)について、米国外でリレンザを溶液に溶かしネブライザーで投与した人工呼吸器を行っていた妊婦で死亡例があったとして、定められた使用法以外で投与しないよう医療関係者に注意を呼びかけています。

Relenza (zanamivir) Inhalation Powder
(FDA MedWatch 2009.10.9)
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/
SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm186081.htm

RELENZA (zanamivir) Inhalation Powder Must Not Be Nebulized
(Dear Healthcare Professional Letter – GlaxoSmithKline 2009.10.8)
http://www.fda.gov/downloads/Safety/MedWatch/SafetyInformation/
SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/UCM186224.pdf

 既にGSK社では、経口服用ができない人やディスクヘラーをうまく使えないインフルエンザ患者の間で、リレンザをさまざまな溶液に溶かしてネブライザーで吸入するという方法がとられていることを把握、死亡例ではリレンザに含まれている乳糖の粘着性が人工呼吸器を詰まらせたのではないかとしています。

 GSK社では、リレンザはディスクヘラーを通じて投与することを呼びかけるとともに、乳糖(夾雑物として乳蛋白を含む)にアレルギーがある人は使用しない(日本では、牛乳アレルギーの人は使用しないなどの明記はない)、重篤な気管支痙攣のリスクがあるとして、喘息やCOPDなどの呼吸器系の基礎疾患がある人には治療や予防には勧められないとしています。(となると、喘息の子どもは10歳代であってもやはりタミフルを使わざるを得ない?)

 ちなみに日本では、添付文書の重要な基本的注意に「気管支喘息及び慢性慢性閉塞性肺疾患等の慢性呼吸器疾患のある患者に本剤を投与する場合には本剤投与後に気管支攣縮が起こる可能性があることを患者に説明することとし、必要時に使用できるよう短時間型作用発現型気管支拡張剤を患者に持参させること。なお、慢性呼吸器疾患の治療に用いる吸入薬(短時間作用発現型気管支拡張剤等)を併用する場合には、本剤を投与する前に使用すること」と記載されているだけで、慎重投与にはなっていません。

 本サイトでは紹介しませんでしたが、何ヶ月か前にリレンザを点滴で用いて効果があったとする記事を目にしています。おそらく海外ではさまざまなことが試みられているのかもしれませんが、製剤的な特徴を十分理解しないと有害事象の原因となりますね。


2009年10月10日 10:34 投稿

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