オンライン報告で成果を上げるイエローカード副作用報告システム

 英国では1964年におきたサリドマイドによる薬害をきっかけにはじまった、イエローカード副作用報告システム(Yellow Card Scheme)という独自の副作用報告システムがありますが、昨年の2月18日からはオンラインによる報告システムが本稼働し、運用が行われています。TOPICS 2008.02.19

 英国医薬品庁(MHRA)では、このオンラインによるYellow Card Schemeが本稼働して1年経過したことから、19日、この1年間にYellow Card Schemeを通じて寄せられた副作用報告の状況を発表しています。

Yellow Card Scheme first anniversary for patient reporting – reports from the public up 50%(MHRA Press Release 2009.2.19)
  http://www.mhra.gov.uk/NewsCentre/Pressreleases/CON038803

 MHRAによれば、MHRAが把握した副作用報告は25,000件(前年比17%増)で、このうち一般から寄せられたものが倍増したそうです。また、Yellow Card Schemeを通じて寄せられた副作用報告は、8,844件のうち2,528件が患者またはその親や介護者からものであり、これは昨年より1,000件近くも増えているとのことです。

 また、オンラインによる報告の割合が全体の31%から40%となり、患者またはその親や介護者からのものは倍増したとのことです。

 MHRAでは、「多くの国民(the public)が『リスクのない薬はない』という我々のメッセージに耳を傾け、副作用報告において積極的な役割を果たして頂いたことに我々は感謝している。医薬品は私たちに利益をもたらす一方、副作用もあるかもしれない。」としたコメントを発表すると共に、Varenicline(Champix)による精神神経系の副作用についての注意喚起や精神神経系の副作用の懸念から販売の中止に至ったRimonabant(Acomplia)について、このYellow Card Schemeが貢献することができたとするコメントを発表しています。

 TOPICS 2009.01.10 でもお伝えしましたが、近年海外では患者さんなど一般の方が直接くすりの副作用を報告するシステムが確立しています。日本でも是非こういったシステムを取り入れると共に、オンラインで簡単に報告できる仕組みが必要ではないでしょうか?

資料:Drug Safety Update(MHRA)
   http://www.mhra.gov.uk/Publications/Safetyguidance/DrugSafetyUpdate/index.htm
    (ほぼ毎号でYellow Card Scheme関連の記事が掲載されています)

関連情報:TOPICS
  2008.02.19 イエローカードオンライン副作用報告システムが本稼動(英国)
  2009.01.10 患者副作用直接報告は、医療専門職からの報告を補完する
  2008.10.24 抗肥満薬Rimonabant、欧州での販売中止へ
  2007.08.03 イエローカード副作用報告システムの現況
  2005.11.08 患者による副作用直接報告(英・イエローカード計画)


2009年02月19日 00:18 投稿

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