このほど、フィンランド薬剤師協会が委託し、コンサルティング会社FCGが実施した、国際的な事例を通じて、どのような薬局の「身近で利用しやすい」医療サービスがフィンランドに適しているかを検討したレポートが公表されています。
英国、デンマーク、カナダ、アイルランドにおける地域薬局での軽度疾患などをはじめとした取り組みが紹介、サービス実現のための課題などが記されています。
報告書
Apteekkien matalan kynnyksen terveyspalvelut(2026.04.27)
https://www.sttinfo.fi/files/2014/72016331/376548/fi
プレゼンスライド
https://www.sttinfo.fi/files/2014/72016331/376556/fi
近年、多くの地域で社会福祉・医療サービス網がいくつかの分野で縮小がされている一方で、医療サービスへの需要は増加の一途をたどっている。
フィンランドには800軒以上の薬局があり、全国規模でアクセスしやすいネットワークを形成していますが、医療サービス全体の一部として、十分に活用されているとは言えない。
薬局には高度な教育を受けた医療専門家が勤務しており、その専門知識を患者の日常生活において、現在よりもさらに有効に活用できるはずです。これは医療を置き換えることではなく、業務分担の合理化とサービスチェーンの強化することにある。
英国、デンマーク、カナダ、アイルランドにおける薬局の医療サービスについて調査したところ、これらのサービスに共通しているのは、限定された厳密に定義された状況を対象とし、統一された国家プロトコルに基づいており、他の医療サービスと密接に連携している点である。
特にアイルランドの「Common Conditions Service」、イングランドの「Pharmacy First」、そしてカナダの様々な「Minor ailments」モデルは、プライマリケアの負担を軽減するために、軽度の症状の治療において薬局が体系的かつ国家的な指導の下でどのように活用されてきたかを示している。
本調査の主要な知見は、薬局による「身近で利用しやすい」医療サービスの成功には、行政レベルおよび従業員間の広範かつ機能的な多職種連携が不可欠であるという点である。
比較対象国では、薬局の役割は医療システムから切り離された部分としてではなく、まさに補完的かつ支援的な主体として発展させてきた。
多職種連携と体制の整備はは、特に医師、看護師、薬剤師間の明確な役割分担や、薬局と医療現場間の情報共有の促進という形で顕著に表れている。
協力体制はすべての国で同じレベルにあるわけではないが、その方向性は明確である。すなわち、薬局は敷居の低い医療窓口として捉えられ、その役割は患者を支援し、必要に応じて医療サービスへと導くことにある。
そして、これらの国々はすべて、特に医療システムが逼迫している状況において、医療の一環として薬局の役割を強化しようという強い政治的意志が共通して見られた。
これらの国では、薬局において、予防接種、薬物療法の開始および経過観察サービス、軽度の症状の治療、ならびに様々なリスクスクリーニングや測定などが提供されている。これらのサービスは主に公的資金で賄われており、明確な国家的な方針に則って実施されている。
フィンランドでも国家予防接種プログラムに基づく予防接種、薬局における軽度の症状への限定的な治療、治療パスの一環としての慢性疾患の薬物療法のフォローアップ、および一定の条件の下での処方箋の更新などが適したサービスとして考えられる。
これらを通じて、医師や看護師の業務負担を軽減し、特に社会福祉・医療サービスが縮小された地域における医療サービスのアクセスを改善し、医薬品による有害事象を予防し、治療へのアドヒアラスを支援するとともに、疾病の予防と公衆衛生を強化することが可能となる。
薬局が提供する「身近で利用しやすい」医療サービスの主な利点は、医療サービスの利用可能性とアクセスしやすさにある。
薬局は、依然としてほぼ全国を網羅して利用可能であり、予約なしで利用できる数少ない医療サービスの一つである。
これは特に、遠隔地や福祉サービスが縮小された地域において特に重要である。薬局を活用することで、他の地域密着型医療サービスが利用できない場合でも、医療サービスを確保することができる。同時に、薬局は、普段は医療機関と定期的に接する機会のない層にもアプローチすることができます。
医療の観点から見ると、薬局が提供する利用しやすい医療サービスは、医師や看護師がより高度な患者対応に時間を割けるようにする効果がある。これは特に、予防接種、注射、処方箋の更新、および軽度の症状の治療に当てはまる。
多くの調査国において、これらの業務を薬局に移管することで、コスト削減が実現し、患者の安全性を損なうことなく医療の円滑化が図れることが示されている。研究結果からは、薬局が提供するサービスは患者の視点から見て良好であり、顧客満足度も高いことが示唆されている。
薬局による「身近で利用しやすい」医療サービスによって解放された時間は、医療における基礎的なリソースを強化することにつながり、例えば、医師や看護師レベルの医療専門家のサービスが明らかに必要な患者のために活用されるべきである。
これらのサービスの開発を成功させるには、政治的意志、法改正、機能的な資金調達モデル、そして真の多職種連携が必要となる。さらに、医薬品販売による収益が減少しており、一部の薬局が経営難に直面している状況において、薬局を医療サービス体制により緊密に統合することは、薬局の経済的持続可能性を支えることになり得る。
薬局が提供する「身近で利用しやすい」医療サービスとその国による資金援助は、薬局にとってより安定した新たな収益基盤を築き、それによって全国を網羅する薬局ネットワークの維持を支えることになる。全国を網羅する薬局ネットワークは、供給の安定性や、国民が平等にサービスを利用できるという観点からも極めて重要である。
参考:
Selvitys: Terveydenhuollon kuormitusta voisi keventää apteekkien avulla
(STTINFO 2026.05.07)
https://www.sttinfo.fi/tiedote/72016331/selvitys-terveydenhuollon-kuormitusta-voisi-keventaa-apteekkien-avulla
Selvitys: Näin apteekit voisivat keventää terveydenhuollon kuormaa
(APTEEKKARI 2026.05.07)
https://www.apteekkari.fi/uutiset/selvitys-nain-apteekit-voisivat-keventaa-terveydenhuollon-kuormaa/
関連情報:TOPICS
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2025.11.15 Common Conditions Service(CCS)が数か月以内に開始へ(アイルランド)
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2026年05月14日 15:40 投稿
