医薬分業のメリットとして、ポリファーマシーによる地域薬剤師、特にかかりつけ薬剤師による介入や減薬が求められている今日ですが、横浜薬科大とカケハシなどの研究チームが服用薬剤調整支援料1の算定状況についての大規模調査研究を行っています。
【Drugs Aging. 2026 Jan 4】
Pharmacist-Led Deprescribing Interventions for Older Adults with Polypharmacy: A Retrospective Cohort Study of Community Pharmacy Practice in Japan
https://link.springer.com/article/10.1007/s40266-025-01275-5
論文ではカケハシの方が共同研究者となっているので、おそらく調査対象はカケハシのシステムを導入している薬局(2,069薬局、独立系薬局が大部分を占めている可能性がある)と思われます。
本研究では、
高齢患者における調剤状況
薬剤師の推奨に基づく最も頻繁に減薬された薬剤
減薬に関連する要因
について、多変量ロジスティック回帰分析を用いて分析
調査対象となった、高齢患者1,458,323人のうち、36.9%(537,884人)が調整料の算定要件受給資格を満たしていたが、薬剤師の推奨に基づいて処方中止となった薬剤はわずか0.08%に留まった
請求は調査薬局の10%(2069店舗中213店舗)で少なくとも1回行われていた
この、537,884人に最も多く処方背されていたのは
- アムロジピン(36.3%)
- 酸化マグネシウム(30.1%)
- ロスバスタチン(19%)
一方で、Beers Criteria のリストにある、ランソプラゾール(17.9%)、エソメプラゾール(14.7%)などのPPIも頻繁に処方されていた。
対象となる患者中、最も頻繁に処方される薬剤とBeers Criteria リストに掲載されている薬剤
https://link.springer.com/article/10.1007/s40266-025-01275-5/tables/3
このうち最も減薬されたのは
- レバミピド(0.05%)
- メコバラミン(0.06%)
- 酸化マグネシウム(0.02%)
一方で、Beers Criteria のリストにある、ランソプラゾール、ゾルピデム、エソメプラゾール、ラベプラゾールの処方中止は数件に留まった
薬剤師の推奨に従って最も多く処方中止となった薬剤トップ10
https://link.springer.com/article/10.1007/s40266-025-01275-5/tables/4
研究期間中に調整料を請求した薬局は10%に留まった点について研究者らは、過去の研究から知識・自信の不足、時間的制約、包括的な患者情報へのアクセス制限、標準化された薬剤減量プロトコルの欠如などを指摘、また、多大な労力に見合う報酬となっていないと指摘、こうした潜在的な障壁が、極めて低い請求率や薬局間でのプログラム導入率の著しいばらつきに寄与している可能性があるとしています。
高齢、服用薬剤数が多い、かかりつけ薬剤師の存在、評価期間の長さは、調整料の請求と有意に関連していた。
研究者らは、かかりつけ薬剤師がいることで、患者の服薬レジメンに対する理解が深まり、減薬の削減の推奨が行われる可能性が高まるとしています。
さらに、評価期間が長いほど服用薬剤調整支援料1の請求率が高くなるという結果は、薬局との関りが長くなることで、薬剤師が処方者と協力しながら服薬レジメンを最適化する機会が増えることを示唆されたとしています。
研究者は薬剤師主導の減薬の実施が限定的であることを示されたとして、標準化された減薬推奨の普及と、患者・薬剤師・処方医の連携強化により、プライマリケアにおける高齢者の不適切なポリファーマシーに対する薬剤師主導の減薬が促進される可能性があると結論付けています。
興味深い結果ですが、レバミピド、メコバラミン、酸化マグネシウム、PPI、眠剤など、これら薬剤が漫然として処方されている(許されている)現状自体が問題ではないかと思いました。
またこの結果だけをもって、かかりつけ薬剤師の有用性が示されたかどうかは疑問に思いました。
2026年01月05日 14:09 投稿
