薬局における薬剤師不在時の一般用医薬品の取り扱いの見直しは限定的?

 薬局業務に影響がある改正省令(関連記事→TOPICS 2017.07.14)の告示が26日の官報で告示されています

【平成29年9月26日官報】(1か月フリー)
http://kanpou.npb.go.jp/20170926/20170926g00208/20170926g002080000f.html

薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令の一部を改正する省令
(平成29年9月26日厚生労働省令第98号)
法令等データベース パブリックコメント結果
薬局等構造設備規則の一部を改正する省令
(平成29年9月26日厚生労働省令第97号)
法令等データベース パブリックコメント結果
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令
(平成29年9月26日厚生労働省令第96号)
法令等データベ-ス パブリックコメント結果

 正直なところ、上の条文を読んでも理解ができませんでしたが、パブリックコメントの結果をながめていて、「また裁量で通知で詳細が決められるな」と思いました。

 そうしたら、案の上同日に発出された通知でその詳細が示されました。

改正の趣旨
「規制改革実施計画」(平成28年6月2日閣議決定)において、「患者本位の医薬分業の推進を前提とし、薬局の調剤応需体制の確保とのバランスなどを考慮しつつ、薬局において、薬剤師不在時にも登録販売者が第二類・第三類医薬品を販売することができるよう、業界関係者の意見を幅広く聴取した上で、規制を見直す。」とされたことを踏まえ、薬局において、薬剤師が当該薬局以外の場所においてその業務を行うため、やむを得ず、かつ、一時的に不在となる場合には、薬局を閉局することなく営業できるようにするため、所要の措置を講じたものである

 で、どういうケースが薬剤師不在でも閉局せずに販売できるかどうかは、つぎのように記されています。

1改正施行規則関係
(1)薬剤師不在時間の取扱い(改正施行規則第1条第2項第3号関係)
薬剤師不在時間とは、開店時間のうち

・当該薬局において調剤に従事する薬剤師が当該薬局以外の場所においてその業務を行うため、
・やむを得ず、かつ、一時的に当該薬局において薬剤師が不在となる時間をいうこと。

例えば、緊急時の在宅対応や急遽日程の決まった退院時カンファレンスへの参加のため、一時的に当該薬局において薬剤師が不在となる時間が該当するものであり、学校薬剤師の業務やあらかじめ予定されている定期的な業務によって恒常的に薬剤師が不在となる時間は認められず、従来どおり、当該薬局における調剤応需体制を確保する必要があること。

(2)薬剤師不在時間の有無に係る届出(改正施行規則第1条、第16条の2関係)
薬局開設者は、薬剤師不在時間がある場合には、あらかじめ、その薬局の所在地の都道府県知事( その所在地が地域保健法( 昭和22年法律第101 号)第5 条第1 項の政令で定める市( 保健所設置市)又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。)に届出を行うこととしたこと。これに合わせ、改正施行規則様式第一について所要の改正をしたこと。

なお、届出は薬剤師が不在の場合でも開局することがあり得る場合にあらかじめ行うものであり、薬剤師が不在となる度に行う必要はないこと。

 どうも今回の省令改正は、在宅業務を行うときのみ、薬剤師不在でも第2類、第3類は売れるということだけのように思われます。
 
 そして、いつ行くかわからない在宅業務について、不在時間を届け出るということを見ると、今回の省令改正は、 「一人薬剤師が在宅業務を行う可能性がある時間帯をあらかじめ届ける」 ということだけのように思われます。

 この解釈なら、在宅主力の薬局なら、

  「届出さえすれば、薬剤師不在でも薬局を閉めなくてもよい」

 かたや、学校薬剤師活動の短時間の場合では、

  「薬剤師不在なら店を閉めろ、処方箋も預かることができない」

ということになるでしょうか。

 何か、在宅だけを特別扱いにしているようにしか思えません。

 しかも、一人薬剤師が、事前に想定される在宅業務の時間を届けて、在宅業務から帰っても、その不在時間になった事由を管理記録で残すことや業務手順書の作成を求めています。

留意事項
1薬局の管理等
(1)薬局の管理者の義務薬局の管理は、法第7条第1項又は第2項の規定により、薬剤師が「実地に管理」することとされており、薬剤師不在時間内においても、薬局の管理者による管理が必要であること。

このため、薬局の管理者が当該薬局以外の場所において、やむを得ず、かつ、一時的にその業務を行うときは、薬剤師不在時間内に当該薬局において勤務している従事者と常に電話で連絡を取ることができ、必要に応じて、当該薬局に戻ることができる体制で勤務していること。
また、薬局外から薬局に戻った際には、薬剤師不在時間内に当該薬局において勤務していた従事者に状況を報告させるとともに、次の① から③ までの事項を薬局の管理に関する帳簿に記載すること。

①薬剤師が不在となった理由(薬局外で行っていた業務の内容)
②薬剤師が不在となった時間
③薬剤師不在時間内における薬局の状況

(2)薬剤師不在時間内の登録販売者による第二類・第三類医薬品の販売
(通知文をご覧下さい)

(3)薬剤師不在時間内に調剤を行う必要が生じた場合の対応
薬局開設者は、薬剤師不在時間内に患者等から調剤の求めがあった場合、当該薬局において勤務している従事者に、患者等に対し、第2の1の(5)の薬剤師不在時間に係る掲示内容を説明させるとともに、患者等が適切に調剤が受けられるよう、法第7 条第1 項又は第2 項の規定による薬局の管理を行う薬剤師に電話で連絡させ、必要な指示を受けさせること。連絡を受けた薬剤師は、第2の3の(4)のとおり、従事者に近隣の薬局を紹介させること又は速やかに当該薬局に戻ることなど必要な措置を講ずること。

なお、薬剤師が薬局に戻った後に調剤するため、薬局の従事者が患者の同意を得て処方箋を預かる場合には、封筒等に入れて保管する等、従事者に対する研修の中で個人情報の取扱い等について周知し、その取扱いには十分配慮させること。

2薬剤師不在時間における薬局の適正な管理のための業務に関する手順書の作成
薬剤師不在時間における薬局の適正な管理のための業務に関する手順書には、当該薬局の業務実態を踏まえて、第2の1の(4)及び(5)並びに第3の1の(1)から(3)までの事項に関することを記載すること。

なお、薬剤師不在時間内に近隣の薬局を紹介することを予定している場合、あらかじめ、連携を依頼する薬局に対し、薬剤師不在時間内には必要に応じて紹介等を行う旨を説明し了解を得ることにより、連携体制を構築しておくこと。

 ここまで、事務的な業務を求められると、在宅業務は断って、処方戦応需の優先を考える薬局が続出するかもしれませんね。

 思うに今回の省令改正で、一人薬剤師の薬局では、薬剤師が不在時には一般薬の販売もできない、処方箋を預かることもできない、完全に店を閉めろということになるので、在宅活動のみならず、学校薬剤師活動、介護認定、薬物乱用防止活動など、地域と連携した仕事がやりづらくなることにつながるかもしれません。

関連情報:TOPICS
  2017.06.28 薬局における薬剤師不在時の一般用医薬品の取扱いの見直し(案)
  2017.07.14 薬局業務に影響があるパブコメが始まっています


2017年09月28日 02:03 投稿

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