薬局機能情報提供制度の項目拡充で、薬局・薬剤師の見える化は?(Update)

 10月6日の官報(→リンク)で、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令が公布、薬局機能情報提供制度が改正され、機能情報への公表(登録)項目が拡充されました。

薬局機能情報提供制度について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/index.html

 公表が求められる事項として追加されたものは、6月22日に開催された厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会で、案として示された下表「薬局機能情報提供制度の拡充とKPIの設定について」の赤字で記載された部分です。(→リンク

 下記に新たに追加された項目を中心に留意点(→リンク)について抜粋しました。

 追加された項目  留意点
薬剤師不在時間の有無 規則第1条に定める薬局開設の許可の申請書又は法第10条第2項に定める変更の届出において、薬剤師不在時間「有」と届出をした場合は「有」とし、それ以外の場合は「無」とすること
麻薬に係る調剤の実施の可否 麻薬小売業者免許を有し、麻薬調剤が可能な場合(新規追加)に「可」とし、それ以外の場合は「否」とする
健康サポート薬局に係る研修を修了した薬剤師の人数 健康サポート薬局の届出の有無にかかわらず、健康サポート薬局に係る研修を修了した薬剤師の人数(常勤・非常勤にかかわらず実数)を記載する。ただし、研修修了証の有効期限が切れている場合は人数に含まない。
患者情報の一元的・継続的把握のための電子薬歴の導入の有無 薬歴の管理について電子化を実施している場合は「有」とし、それ以外の場合は「無」とすること。
患者情報の一元的・継続的把握のための電子お薬手帳への対応の可否 お薬手帳(電子版)の運用上の留意事項について」(平成27年11月27日付け薬生総発1127第4号厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長通知)の「第2 提供薬局等が留意すべき事項」を遵守する体制が構築されているとともに、「第3運営事業者等が留意すべき事項」を遵守する電子版お薬手帳を提供している場合に「可」とし、それ以外の場合は「否」とすること。
プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無
(医療連携の有無の具体例として)
医療機関だけではなく、薬局における副作用等の健康被害の回避症例等も収集し、当該情報を医療機関等の関係者と連携して共有する取組に参加し、事例の提供を行っている場合は「有」とし、それ以外の場合は「無」とすること。

 また、当該項目に該当する取組として、ヒヤリ・ハット事業の「参加薬局」として登録を行い、前年1年間(1月1日~12月31日)に、疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を報告した場合も「有」として差し支えない。

プロトコルに基づいた薬物治療管理(PBPM)の取組の有無(医療連携の有無の具体例として) 医療機関の医師や薬局の薬剤師等が地域でPBPMを導入することにより、薬物療法の適正化や患者の利便性の向上を達成する取組を実施している場合は「有」とし、それ以外の場合は「無」とすること。

 ただし、医療連携の取組(地域の医療機関等が連携した薬剤の使用に関するフォーミュラリーを導入する取組等)を実施している場合は、報告及び公表の際にこれらの取組を追加しても差し支えない。

地域医療情報連携ネットワークへの参加の有無 薬局が所在する地域に地域医療情報連携ネットワークがある場合に、そのネットワークに参加し、患者情報の共有等による薬学的管理の向上に取り 組んでいる場合は「有」とし、それ以外の場合は「無」とすること。
退院時カンファレンスへの参加体制の有無
(退院時の情報を共有する体制の有無)
医療機関の医師又は薬剤部や地域医療(連携)室等との連携により、退院時カンファレンスへの参加や退院時の情報を共有する体制がある場合は「有」とし、それ以外の場合は「無」とすること。
医師へのの受診勧奨に関する情報等の提供体制の有無 薬局の利用者からの健康に関する相談に適切に対応し、そのやり取りを通じて、必要に応じ医療機関への受診勧奨を行う際に、利用者の同意を得た上で、当該利用者の情報等を文書により医療機関(医師)に提供する体制がある場合は「有」とし、それ以外の場合は「無」とすること。
地域住民への啓発活動への参加の有無
(追加項目あり)
地方公共団体(新規追加)や地区薬剤師会等が地域住民に対して開催している薬の特性や適正使用の必要性等に関する講習会、学校教育等の啓発活動へ参加等を行っている場合については「有」とし、それ以外の場合は「無」とすること
副作用報告の実績 報告期日の前年1年間に、法第68条の10第2項に基づく副作用等の報告を実施した延べ件数を記載する。(厚労省にきちんと報告しないとダメということ)
ヒヤリ・ハット事例収集の取組の有無 薬局医療安全対策推進事業におけるヒヤリ・ハット事例等の収集に参加している場合は「有」とし、それ以外の場合は「無」とすること。 「参加薬局」として登録を行うのみならず、「薬局ヒヤリ・ハット事例」の報告に努めること。
在宅業務を実施した件数 在宅患者訪問薬剤管理指導料等の算定にかかわらず、報告期日の前年1年間に、医療を受ける者の居宅等において調剤業務を実施した延べ件数を実数で記載する。 (あいまいだよな)
健康サポート薬局研修を修了した薬剤師が地域ケア会議等の地域の多職種が参加する会議に出席した回数 健康サポート薬局に係る研修を修了した薬剤師が地域ケア会議等の地域の多職種が参加する会議に参加した回数を実数で記載する。

また、健康サポート薬局研修を修了していない薬剤師の参加回数は含まないこと。なお、健康サポート薬局研修を修了した複数の薬剤師が同一会議に参加した場合は、1回として計上すること。(未研修の薬剤師はカウントできない)

医師へ患者の服薬情報等を提供した回数 患者、その家族等若しくは医療機関の求めがあった場合又は薬剤師がその必要性を認めた場合において、患者の同意を得た上で、患者の服薬状況等を服薬情報等提供料に係る情報提供書等の文書により医療機関(医師)に提供した回数を実数で記載する。

 薬局機能情報提供制度は、確かに患者・住民の薬局の選択に資するために必要なものではありますが、これだけの項目について取り組むことが求められるとなると、常勤薬剤師が一人の薬局や小規模薬局では十分な取り組みができないことは明白です。

 将来、これが薬局のランク付けにつながらないか心配でなりません。

 施行日は平成31年1月1日になっていますので、もう来年には実績をつくらないと、機能情報に「有」とすることはできないということになります。個人的にはムリかな・・・

 パブリックコメントの結果も示されています。、

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」に対して寄せられた御意見について(→リンク

 数値化などに対しては下記のような厳しい意見(→リンク)も寄せられていますが、厚労省の考え方はとにかく見える化ありきで冷たい内容でした。

寄せられた意見 厚労省の考え方
電子版お薬手帳は、医療機関との連携 がその運用や活用に重要であるにもかかわらず、まだ医療機関側とのコンセンサスがとれていないだけでなく、読み取る設備が薬局に十分に浸透しているとは言いがたい。必要ではあるものの、まだ環境が整っていない。 電子版お薬手帳を利用する方が増えてきている中で、薬局が電子版お薬手帳へ対応 できるかどうか地域住民に見える化する必要があると考えているため、今回「薬剤情報を電磁的記録により記載するための手帳を所持する者の対応の可否」を追加することとしたものです。
KPIの一つとして、在宅業務の実績を項 目としているが、日本薬剤師会が通知で示したかかりつけ薬剤師・薬局の定義と照合すると本項目は適しているとはいえ ない。また、地域の調査結果によると、在宅の対象患者自体がいない薬局が54.7%、対象患者が存在すると答えた薬局のうち14%で対象患者が1人という現状であり、薬局が努力して促進できる項目とそうではないものがある。 在宅業務に関しては、平成27年10月に公表した「患者のための薬局ビジョン」において、かかりつけ薬剤師・薬局に求められる機能として、「在宅対応」を掲げていることから、地域住民に見える化する必要があると考えています。
健康サポート薬局の研修受講に関しては地域差があり、受講が制限されている 地域もある。利用者の誤解を招くおそれがあるため、健康サポート薬局以外の薬局に関しては報告を強制すべきではない。

健康サポート薬局制度のメリットが国民に周知されていないにもかかわらず、制度ありきの省令案を設けることに反対である。

健康サポート薬局に係る研修については、地域包括ケアシステムに関する内容が含ま れていることから、当該研修を受講した薬剤師がその薬局にいることを「健康サポート薬局に係る研修を修了した薬剤師の人数」として地域住民に見える化することは、多職種 連携へ対応できる薬剤師・薬局を地域住民が選択するために活用できることから今回追加することとしたものです。

なお、ご指摘の健康サポート薬局のメリットに関しては、今後とも引き続き国民に周知していきます。

薬局から医療機関への服薬情報提供についても、患者の同意が必要であるため、現状では患者教育の段階である。必要ではあるものの、まだ環境が整っていない。時間をかけた啓蒙や事例広報が まず前提ではないか。 適切な薬物療法を実施するためには、薬局から医療機関への服薬情報の提供は重要であり、薬剤師・薬局がその重要性を認識し、積極的に取り組むことを求めるために、今回ご指摘の項目を薬局機能情報に追加し、地域住民に見える化する必要があると考えています。
患者の服薬情報提供はノルマではなく、薬剤師の責務であるべきでそれを数値として評価することは無意味である。 ご指摘のとおり、患者の服薬情報を医療機関に提供することは、適切な薬物療法を 実施する上で必要なことなので、当該取組を行っていることを地域住民に見える化するために今回追加することとしたものです。

 とにかく「在宅・調剤だけに専念しろ」と言われているようにも思えてなりませんし、これからの薬局は「複数以上の常勤薬剤師が勤務していること」にでもしないといけないのかもしれません。

 今回もまた、厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会での案がそのまま採用されました。

 下記議事録をを見ましたが、現場の意見や現状も踏まえた十分な議論がなされたと言えるでしょうか?

 今後もこういった形で、薬事に関する事項が次々とで決められることに大いに懸念があります。

厚生科学審議会 (医薬品医療機器制度部会)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=430263

関連情報:TOPICS
  2017.07.14 薬局業務に影響があるパブコメが始まっています


2017年10月11日 01:55 投稿

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>