現場・生活者のニーズも~スイッチ化の新たなスキーム

 TOPICS 2015.05.24 のコメント欄で触れましたが、29日、薬食審の要指導・一般用医薬品部会が開催され、「医療用医薬品の有効成分の一般用医薬品への転用の仕組みについて」が話し合われました。

薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会 2015.05.29
(日刊薬業 行政情報資料)(いつもいち早くのアップありがとうございます)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226707277786

 部会では、 TOPICS 2015.05.24 で紹介した、「一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究報告」の提言を踏まえた、スイッチ成分の新たな仕組みが提示され、了承されたそうです。

スイッチ成分の評価システムの検討について
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226707277786#page=9

 上記のように、これまでは、関係学会が候補成分をとりまとめ、企業が開発するという仕組みとなっていましたが、新たなスキームでは、関係団体など専門家だけでなく、消費者を含めてすべての人から要望を受け付け、新たに立ち上げる検討会(医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(仮称))で候補を決め、これを企業が開発するという仕組みに改められるそうです。

 また、スイッチ候補成分の検討にあたっては、事前にパブリックコメントを実施する他、会議も消費者なども委員としていれて公開で行うなど、透明性を図るとのことです。

 さらに、製造販売承認の申請を行うメーカーに対しては、添付文書理解度調査や適正使用のための資材について、事前のチェックを行う仕組みに改めるようです。

 誰でもスイッチ化を求めることができるというのは、豪州やニュージーランド、添付文書理解度調査のチェックなどは米国の仕組みが取り入れるなど、ようやく海外並みに、生活者のニーズも取り入れた仕組みになったといえます。

 この理解度調査というのは、米FDAの非処方せん医薬品諮問委員会でスイッチの可否を議論する際に、私もよく目にしました。

Nonprescription Drugs Advisory Committee
http://www.fda.gov/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/NonprescriptionDrugsAdvisoryCommittee/default.htm

(2012.9の諮問委で示された、オキシブチニン貼付剤( OXYTROL FOR WOMEN)の承認申請に関するメーカー資料と諮問委プレゼンスライド)
http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/NonprescriptionDrugsAdvisoryCommittee/UCM327160.pdf
http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/NonprescriptionDrugsAdvisoryCommittee/UCM330966.pdf

(2007.12の諮問委で示されたロバスタチン(Mevacor)の承認申請に関するメーカー資料と諮問委プレゼンスライド。この時が3回目の挑戦。たぶん、まだ承認されていないはず)
http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/07/briefing/2007-4331b1-02-Merck.pdf
http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/07/slides/2007-4331s1-01-Merck.pdf

 こういった調査は私も必要だと思いますが、一方で開発メーカーには大きな負担になりますし、開発や販売の遅れにつながらないか心配です。(米国では、処方箋医薬品でない薬は、どこでも販売ができるということが、こういった調査の必要性を求められているという点に留意する必要があります。もっとも、こういった成分が日本でスイッチ候補の俎上にのぼるかは大いに疑問)

 一方で、こういった調査結果や販売に関する資材の検討は、要指導・一般用医薬品部会での審議となり、現時点では非公開での審議になる公算が高くなっていて、肝心な部分が事前には公開されない可能性があります。 

 米FDAの諮問委では、こういった調査結果や生活者向け資材も事前に公表。また諮問委はWEBで生でその様子をみることができますし、ニュージーランドでは審議は非公開であるものの、事前に議題と審議会提出のメーカー資料を公開し、これに対してのパブリックコメントを行っています。

近く議事録が示され、可否が明らかになる経口避妊薬のスイッチに関する資料とパブコメ結果
http://www.medsafe.govt.nz/profs/class/agen53.htm
http://www.medsafe.govt.nz/profs/class/agen53OralContraceptives.pdf
http://www.medsafe.govt.nz/profs/class/agen53comments.htm

 ただ、全般的には本当に大きな前進であり、このスキームがすぐに動き出すことを期待するものです。

 さて、個人的にスイッチの候補として挙げたい成分ですが、海外の使用状況をみれば、まずPPI、緊急避妊薬に加え、トリプタン製剤や、制吐薬(ドンペリドンは欧州では処方せん薬化の動きもあるけど)もニーズはあると思います。

 さらに、アクセスなどを考慮して、タミフル(ニュージーランドでは季節限定で購入可能)やヘルペスの内服薬も対象にいれてもいいかもしれません。

 また、日本では未承認(日本はセチリスタットが製造承認を受けているが、薬価収載されないため、未だ発売されていない)ですが、抗肥満薬オルリスタット(確か、今は大正製薬が権利をもっているはず)なども候補となります。(ダイレクトスイッチの取り扱いはどうするんだろう)

参考:
処方薬から市販薬へ 厚労省が転用促進の新制度導入へ
(朝日新聞 2015.05.30)
http://www.asahi.com/articles/ASH5Y635ZH5YULBJ01H.html
http://apital.asahi.com/article/news/2015053100007.html

関連情報;TOPICS
 2015.05.24 一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究
 2014.11.22 EMA、緊急避妊薬 ellaOne のスイッチを勧告
 2014.09.30 NZ、豪、英、蘭、米、日本、スイッチが進んでいるのは?
 2013.06.11 ニュージーランドのPharmacist Only Meidicines
 2013.05.14 欧州9か国における地域薬局をとりまく状況
 2013.12.28 タミフル、要薬剤師薬に分類変更へ(NZ)
 2013.01.26 米FDA、オキシブチニン貼付剤のスイッチを承認
 2012.10.15 シンポ「諸外国から学ぶセルフメディケーション支援」に参加して
 2012.09.06 インフルエンザワクチンとトリメトプリムの再分類(NZ)
 2007.05.16 シーズン中は、処方せんなしでもタミフルが入手可能に(NZ)
 2008.12.05 英国におけるスイッチOTC25年の歩み
 2007.12.12 スタチンのOTC化に支持が得られるか?(米国)


2015年05月30日 16:55 投稿

コメントが2つあります

  1. (大変申し訳ありませんが、管理人の判断で対応記事にコメントを移させて頂きました)

    朝日新聞などで、処方薬から市販薬への転換を図る新たな仕組みづくりという記事が掲載されていました。

    厚労省がスイッチ化の仕組みを変えるということですが、どうも、今までのやり方を見てきて、疑念的なところがあります。

    エパデールもそうでした。
    部会の多数決で、エパデールのスイッチ化は決まりました。
    その結果を受けての厚労省の迫力というか、スイッチ化を進めるんだという信念には感動さえ覚えました。中々、厚労省もやるなと・・・。
    でも、そのあとは日医の猛反撃にだんだんと圧されて、販売でのいろんな条件の縛りを付けられて、大正と日水の二社販売のうち、日水は試験販売の段階で降りてしまい、本格販売は大正だけで行くことになりました。
    その後は普及定着という見通しがつかないままになっています。

    今回の消費者を巻き込んだ仕組みによるスイッチ化ですが、薬学会を通すよりも、よりオープンで世論の後押しで、日医を押さえ込もうとする目論見があるような気がします。

    ただ、消費者にどれだけスイッチ化の知識があり、その必要性がどれだけわかっているのかというところには疑問があります。確かに、サポート薬の有識者にも参加してもらうとは言っていますが。

    でも、今度の仕組みのやり方で、日医のわがままを抑え切れることが出来るかどうかです。また、スイッチ化のスピードも、前の仕組みに比べて格段に遅くなる可能性もあります。そういう懸念を持っています。

    スイッチ化は消費者・患者が主役となって軽・中病の薬物治療意識やコスト意識を高め、セルフメディケーションの普及にもつながり、ひいては医療費財政削減効果も期待できます。また、世界常識からしても、今の処方薬騒ぎからしても、通用しない時期に来ていることは間違いありません。

    ぜひ、完成度の高いスイッチ薬化の仕組みづくりにしてもらいたいものです。

  2. OTC業界、調剤業界が大きく揺れています。
    OTC薬業界ではスイッチ薬化の仕組みが変わります。
    今まで薬学会に丸投げで部会で審議されていて、医師の委員メンバーの反発で、スイッチ化は遅々として進みませんでした。
    新しい仕組みとは消費書の声(パブリックコメント)を反映させて、そのサポート役に識者などをつけて、スイッチの候補薬を上げて厚労省部会の俎上に乗せるものです。
    政治の世界で言えば、憲法改正を国民投票でとか、最近での大阪都構想の住民投票みたいなものです・・・。
    その背景には、処方薬剤費を削って、保険財政削減に少しでも貢献させる。
    そして、今、処方薬の社会的な大騒動も利用しています。
    皆保険の上に胡座をかいて処方薬を出していた医者も、自分たちの我が儘でスイッチ薬化の流れを止めることが出来ない。国民の判断に委ねる・・・。
    それが通用しない時代に入ってきている・・・。
    そういう手の込んだ、日医の暗黙の了解の下で、厚労省は日本社会に向かってパフォーマンスをしています。
    消費者が処方薬から市販薬に転用させたい品目のニーズがどこまであるか。
    患者は皆保険の一部負担で、湿布やうがい薬、漢方薬を貰いたいとするニーズは根強い・・。であれば、消費者は候補薬を積極的に上げようとしないでしょう・・・。
    スイッチ化を停滞させる方向に、さらに、逆戻りでは・・・。
    日医の思う壺に入ってしまうのでは・・・。
    厚労省はOTC薬スイッチ化には本気で取り組み気がないのでは。
    とりあえず、花火だけは上げておこうと・・・。
    政府や厚労省は保険薬局の数を減らしたり、後発薬を増やしたり、製薬メーカーには配慮しながらの薬価引き下げ、調剤報酬引き下げで、なんとか、今の保険財政逼迫の難局を乗り切ろう。
    小粒で政治力のない薬剤師への皺寄せだけです・・・。
    そして、経済的一辺倒でそれ以外、なにも分かっていない政府や諮問機関の規制改革会議との歩調をうまく合わせて行こうとする目論見が見えます。
    当然、日医の反発も最小限の抑えることができます。これは政府の希望でしょうから・・。