平成23年度チーム医療実証事業報告書

8.個別疾病(P451-571)(→全文)
  • 造血幹細胞移植チーム
    (国共連 虎の門病院)(p456-459)
    ★入院時の持参薬確認
    ★移植前処置やその支持療法とともに、感染症やGvHD予防薬等、移植に際して使用する薬剤について処方内容確認および処方提案、患者説明
    ★前処置関連每性および使用薬剤の副作用モニタリング、臓器障害時の投与量設定、抗菌薬や抗けいれん薬を中心とした処方設計・TDM、疾患禁忌ヷ相互作用の確認、代替薬の提案
    ★退院時服薬説明(居宅における薬剤の適正な保管・管理、服用の優先項位の高い薬剤の把握、各薬剤の服薬意義・用法用量、服用できなかった場合の対処法、他の薬剤や食品との相互作用)
  • せん妄対策チーム
    (国立大学法人岡山大学 岡山大学病院)(p460-464)
    ★せん妄を惹起する可能性のある薬剤の管理
    ★病態に忚じた薬剤の提案(せん妄を惹起しやすい薬剤一覧をエビデンスレベルから独自に作成し、使用)
  • 外来化学療法支援チーム
    (金沢大学附属病院)(p465-470)
    ★化学療法レジメンの管理、プロトコルに基づく処方監査
    ★看護師と連携して患者状態の把握、副作用モニタリングを行い、支持療法を処方提案
    ★医師、看護師への薬剤に関する情報提供
    ★副腎皮質ホルモン剤投与患者の血糖値測定状況の確認
    ★栄養状態の把握、疼痛コントロールの把握 など
  • HIV診療におけるチーム医療(薬剤師外来常駐)
    (独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター (p471-474)
    ★相互作用の確認(抗HIV 薬は多剤併用療法が行われることに加え、日和見感染症治療等、抗HIV 薬以外の薬剤が併用される例も多く見られる)
    ★専門外来に薬剤師が常駐する「くすりの相談室」を開設し、患者と面談
    ★HIV感染症患者の約65%は院外処方
  • せん妄予防対策チーム
    (市立豊中病院)(p475-480)
    ★持参薬鑑別時にせん妄を起こしやすい薬剤があった場合、薬剤毎に「せん妄注意」と自動表示されるシステムを構築。また、薬剤部のホームページに「せん妄に注意する医薬品」を一覧で掲載した。(現在は確認できず)
    ★病棟にて薬剤指導を行った際の患者の様子を見て、理解力などを判断
  • 診療科を越えて重症化患者を早期に発見するSIRSサーベイランスチーム
    (NTT東日本関東病)(p481-484)
    ★薬剤関連有害事象の早期の把握
  • せん妄対策プロジェクトチーム
    (長浜赤十字病院)(p485-491)
    ★処方内容や薬効の評価、病態に忚じた処方の提案(マイスリーの10mgが大幅に減少、代わりに転倒リスクが少なく高齢者の身体の負担が少ないロゼレムが3倍に増えたという)
  • がん診療連携拠点病院における精神腫瘍医を中心とした問題解決型リエゾン・チーム(→参考資料)
    (聖路加国際病院)(p492-497)
    ◆院内・院外との地域のリソース(例えば薬局、かかりつけ医など)との顔の見える連携
  • 重症精神障害者の社会復帰を促進するための精神科多職種チーム
    (独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院)(p498-502)
    ★処方薬の薬効と服薬方法、服薬の意義について個別の対象者ごとに説明し、薬物療法に対する理解を深める。
  • デイケアにおける疾病教育チーム
    (独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院)(p503-505)
    ★「おくすり教室」において、薬理作用、服薬継続の意義、必要性、服薬に関連した注意事頄などを教育
    ★「上手な生き方プログラム」「うつ集団療法」において、くすりに関連したセッションの講義を行う
  • 精神科における身体合併症治療専門チーム
    (独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院)(p506-510) 
    ★看護師とともに疾病教育や服薬心理教育を実施
    ★向精神薬と身体科治療薬との相互作用、向精神薬の身体疾患に不える影響、術前後の薬物管理などに関する情報の収集と提供
  • 治療適正化委員会 
    (医療法人静和会 浅井病院)(p511-513)
    ★対象者抽出システムの管理・運用,対象者の抽出,処方提案,各種検査値からみた対忚策の提案,主治医に対する情報提供
  • チーム医療推進特別委員会~チームで取り組む自殺予防対策~
    (医療法人静和会 浅井病院)(p514-516)
    ★精神療法的なサポートを含め患者と面談し結果を処方設計にフィードバック
    ★採用薬剤の見直しを行い、重複投与が行われない環境の整備を図る
    ★大量服薬により致死的な症状に至る可能性のある薬剤が自殺未遂者に処方されていないかをチェック
    ★自殺未遂者が再企図を企てない環境整備として残薬調整を行う
    ★患者・家族教育を実施し頓用薬や睡眠導入剤の適正な服用方法を指導
  • せん妄サポートチーム
    (国立がん研究センター東病院)(p517-520) 
    ★入院時に持参薬確認とせん妄のリスク評価を行い、リスクの高い薬剤を使用している場合には病棟と担当医に対して注意を喚起するとともに、リスクを下げるための処方設計を提案
    ★せん妄治療に対しては、定期的な薬効評価と有害事象対策を行い、錐体外路症状の発現を予防
  • 緩和ケアチーム
    (石巻赤十字病院)(p521-523) 
    ★薬物療法が効果的かつ安全に行われるように、患者及びその家族に薬剤情報を提供するとともに、使用薬剤のコンプライアンスをチェック
    ★個別の薬剤指導は週に5 回、1 回20~30 分程度行い、処方された内服薬についての効果と副作用について確認
    ◆宮城県東部保健福祉事務所が共催で石巻地区在宅ホスピスケア連絡会を開催し、地域の緩和ケア関連機関とともに研修会等を実施
  • 婦人科チーム(→参考資料)
    (碧南市民病院)(p524-526)  
    ★患者状態を確認し、治療提案、薬物療法提案、処方設計、処方提案、処方オーダー、検査依頼、IC 同席、家族面談など含めた薬学的管理
    ★薬剤師は常駐化(不在時は院内PHS または携帯電話で対忚)
  • 精神科における長期入院患者の地域移行支援チーム
    (医療法人唐虹会 虹と海のホスピタル)(p530-532)
    ★服薬に対する疑問、不安、不満などの情報を把握し、チームメンバーと共有
    ★服薬アドヒアランスの向上のための知識や情報を伝える。
  • 統合失調症家族支援チーム
    (福岡県立精神医療センター太宰府病院)(p533-535)
    ★薬物療法に関する情報提供、家族のコンプライアンスの向上を目的とした相談、介入、グループワークの運営
  • 急性期からリハビリテーション・社会復帰までのリカバリー支援包拢システム
    バージョンアップ2011
    (→参考資料
    (社会医療法人近森会近森病院第二分院)(p541-548)
    ★薬についての情報・知識を提供すると共に患者のもつ不安や問題について一緒に考える「薬に立つ会」を、週1回、看護師、作業療法士と実施
    ★疾患を持って生活していくための情報・知識を提供すると共に患者のもつ不安や問題について一緒に考える「○ステップアップ統合失調症心理教育グループ」を、週1回、医師、デイケアメンバー、外来看護師、薬剤師、PSWなどと実施
    ★家族に疾患に関する情報ヷ知識を提供すると共に、家族のもつ不安や問題に対して一緒に考え、また考える力を養うような支援を行う「統合失調症家族相談会グループ」を、月1回、医師、標準版家族心理教育インストラクター(病棟看護師)、看護師(訪問看護ST・病棟)、管理栄養士、作業療法士、PSWなどと実施 など
  • メディカルダイエットサポートチーム
    (医療法人芳和会 くわみず病院)(p553-556)
    ★食事療法や運動療法で改善が見られない場合や健康障害に伴う薬物療法の必要がある患者への薬剤指導
  • 減量外科チーム
    (四谷メディカルキューブ)(p557-571) 
    ★減量外科手術を受ける患者の薬剤管理、術前・術後のの服薬マネジメント

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2012年10月20日 16:37 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    リンクの作業の関係もあり、報告書をざっと全部目を通しました。

    いずれも一定規模の施設の取組であり、人員が限られている中小の病院で実際に可能かどうかという問題はありますが、チーム医療の一員として、病院薬剤師がどのような独自活動を求められているかがわかり、地域薬剤師の私でも理解が深まりました。(こういうのを実務実習で見せられたら、進路を病院にする薬学生も増えるんだろうな)

    読んでみて感じたことは、高度調剤とは別に、副作用のチェック、せん妄対策や褥瘡対策などで、チーム医療の一員として他職種や患者とその家族に、薬剤師として視点での情報提供(と共有)が求められていうことです。

    調剤に時間が割かれては当然できないでしょうから、これらを多くの施設で展開するとなると、必要な人員の配置とともに、やはり院外処方など、調剤業務を効率化・簡素化する必要もあるのではないかと思ってしまいます。(海外では院内でも調剤の助手が一般的だったと思う)

    また、こういった取り組みをきちんとするとなると、退院したり、かかりつけ医でのフォローになったりした場合には、いままで病院薬剤師によって行われていたサポートをどう継続するか、地域薬局との連携や役割分担についての検討も必要になるのではないかと感じました。

    一方、地域薬剤師が関わる報告も一部ありましたが、施設完結型と異なり、実際に関わる難しさも感じました。(評価自体も難しい)

    すぐ思い浮かぶのは、在宅分野になってしまいますが、私は行政や開業医と連携した取り組みも、チーム医療に準ずるものとして、もっと事例を集めて検討・評価する必要があるのではないかと思っています。

    具体的には、各地で行われている、地域連携パス、禁煙支援(医療機関との連携も含む)、自殺対策、まちかどセルフチェックなど、セルフケアの支援やゲートキーパー的な関わりなど、他職種協働はさまざまな可能性があります。

    健康増進、疾病の早期発見など長い目で見れば、医療費の抑制につながるものであり、厚労省は是非こういった分野についても、きちんとした評価を行うべきだと思います。(そうすれば、薬学生も地域薬剤師活動にもっと目を向けてくれるはず)