平成23年度チーム医療実証事業報告書

3.在宅分野(P183-254)(→全文)
  • 緩和ケア病棟・訪問診療所 医療連携グループ
    (国立がん研究センター東病院)(p183-184)
    ※訪問看護ステーション、調剤薬局、居宅介護支援事業所、訪問リハビリステーション等との情報共有、実践活動へ期待
  • 在宅医療支援チーム(→参考資料)
    (国立がん研究センター東病院)(p185-187)
    ★薬局薬剤師の業務に役立てられるように院内でのがん薬物療法に関する情報提供を行うことで、がん薬物療法の均てん化をはかる
    ★定期的ながん薬物療法に関する研修会の開催
    ◆入院時に、在宅での薬歴情報を病院薬剤師の薬剤師業務に役立てられるように情報提供を行う
    ◆退院時共同カンファレンスに参加して患者情報の共有を行う
  • 独立行政法人 国立長寿医療研究センター
    「在宅医療チームと在宅医療支援病棟との連携」
    (独立行政法人国立長寿医療研究センター)(p188-191)
    ★服薬能力評価、オピオイド・ローテーションの管理、家族指導
  • 在宅緩和ケア専門チーム
    (医療法人社団パリアン クリニック川越)(p192-196)
    ※在宅緩和ケアチームのメンバーには医師・看護師のみならず薬剤師、介護、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの参入が望まれる
  • 在宅ケア推進チーム
    (まるやまホームクリニック)(p197-231)
    ◆薬局が24 時間365 日体制で、医薬品・医療材料の供給
    ◆各種カンファレンスへ参加し、多職種との情報の共有
    ◆医師と協働したプロトコールの作成、薬物療法の検討
    ◆バイタルチェック等のフィジカルアセスメントを実施し薬効、副作用のモニタリングを行い、その内容についてフィードバック、次への処方提案等を実施
    ◆服薬管理(後発品、残薬調整、麻薬管理)による医薬品使用の適正化
    ◆医療材料の供給による医療機関や訪問看護ステヸション負担の軽減
    ◆HPN やオピオイド等の無菌調製
  • 上田地域ケアを支える診療所・薬局連携チーム
    (い内科クリニック)(p232-244)
    ◆在宅ケアなどの場において、健康相談、生活上の問題の相談を受ける窓口に(これらの相談、調査のため、専用の調査用紙を作成)
    ◆薬剤の効果を通して臨床的評価を行うとともに、地域住民の生活上の問題を把握し、孤立感などの精神的な問題を把握
    ◆問題を発見して、診療所医師に情報を提供。薬剤の問題であれば、変更の依頼などを行う。生活上の問題にいては、必要に応じ、医師と相談しながら、訪問看護師、ヘルパー、自治会職員等の派遣の指示につなげる
    ◆訪問看護ステテーション、ヘルパーステーション、自治会への情報提供
    ◆個々の住民応じて、カンファレンス、メール等によりそれぞれの職種などが生活・医療情報などを共有し連携
    ◆医師、薬剤師、ケアマネージャー、研究者等による講演会の実施
  • 蔵の街とちぎ在宅療養支援チーム
    (㈱メディカルグリーン あゆみ薬局)(p245-248)
    ◆看取りまで支える在宅医療の実践のため、チームの一員として在宅患者に対して訪問薬剤管理指導の実施
    ◆多職種連携の為、様々な職種が参加する研修会・交流会を実施し、薬剤師の参加を呼びかける
  • チューリップ・エルシーエス地域連携チーム
    (チューリップ薬局平針店)(p249-254)
    ◆医師の診断に基づく薬剤の適正使用、アドヒアランス向上、バイタル把握による副作用の防止と薬剤効果のアセスメント
    ◆生活を大切にした居宅療養管理指導、福祉職へ研修会企画と実施、情報提供表の作成

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2012年10月20日 16:37 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    リンクの作業の関係もあり、報告書をざっと全部目を通しました。

    いずれも一定規模の施設の取組であり、人員が限られている中小の病院で実際に可能かどうかという問題はありますが、チーム医療の一員として、病院薬剤師がどのような独自活動を求められているかがわかり、地域薬剤師の私でも理解が深まりました。(こういうのを実務実習で見せられたら、進路を病院にする薬学生も増えるんだろうな)

    読んでみて感じたことは、高度調剤とは別に、副作用のチェック、せん妄対策や褥瘡対策などで、チーム医療の一員として他職種や患者とその家族に、薬剤師として視点での情報提供(と共有)が求められていうことです。

    調剤に時間が割かれては当然できないでしょうから、これらを多くの施設で展開するとなると、必要な人員の配置とともに、やはり院外処方など、調剤業務を効率化・簡素化する必要もあるのではないかと思ってしまいます。(海外では院内でも調剤の助手が一般的だったと思う)

    また、こういった取り組みをきちんとするとなると、退院したり、かかりつけ医でのフォローになったりした場合には、いままで病院薬剤師によって行われていたサポートをどう継続するか、地域薬局との連携や役割分担についての検討も必要になるのではないかと感じました。

    一方、地域薬剤師が関わる報告も一部ありましたが、施設完結型と異なり、実際に関わる難しさも感じました。(評価自体も難しい)

    すぐ思い浮かぶのは、在宅分野になってしまいますが、私は行政や開業医と連携した取り組みも、チーム医療に準ずるものとして、もっと事例を集めて検討・評価する必要があるのではないかと思っています。

    具体的には、各地で行われている、地域連携パス、禁煙支援(医療機関との連携も含む)、自殺対策、まちかどセルフチェックなど、セルフケアの支援やゲートキーパー的な関わりなど、他職種協働はさまざまな可能性があります。

    健康増進、疾病の早期発見など長い目で見れば、医療費の抑制につながるものであり、厚労省は是非こういった分野についても、きちんとした評価を行うべきだと思います。(そうすれば、薬学生も地域薬剤師活動にもっと目を向けてくれるはず)