リピトールのOTC化を検討?(米国)

 3日、Wall Street Journal 紙 と New York Times 紙 が米国内での特許がこの秋に切れるリピトールについて、ファイザー社がOTC化を検討しているのではないかと報じ話題になっています。

Pfizer May Seek To Sell Non-Prescription Version Of Lipitor – Sources
(Wall Street Journal 2011.08.03)
http://online.wsj.com/article/BT-CO-20110803-715869.html
(直接リンクだと記事は読めませんが、Googleから入ると読める場合があります)

Pfizer Is Said to Pursue Nonprescription Lipitor
(New York Times 2011.08.03)
http://www.nytimes.com/2011/08/04/business/pfizer-is-said-to-be-pursuing-nonprescription-lipitor.html

 日本でもこの秋にも後発品の発売が予定されているリピトールですが、米国でも11月に特許が切れ、後発品によって米国内だけでも70億ドル以上もの売り上げが大きく減少することが予想されています。

 こういった売り上げ減をいくらかでもカバーするために考えたのが、ブランド名を生かしたスイッチ化です。米国では、クラリチンのスイッチで一定の成果をあげているようです。

 スタチンのOTC医薬品は現在、シンバスタチンが英国のみで販売されていますが、米国では非処方せん医薬品諮問委員会ではこれまでもたびたびスタチンのスイッチ不支持の評決が行われており、各紙とも実現はかなり難しいのではないかと伝えています。

 また、医療関係者だけではなく消費者団体からも、副作用などからOTC化には反対の意見も少なくありません。

 ただ、医療費の高騰から、こういった薬剤を非処方せん薬として販売することにより、保険財政(収支)の負担を低くしたいとの思いがあり、今後、米FDAの支持が得られるかがカギとなります。

 WSJ紙によれば、FDAのスポークスマンも、「生活者が正しく使用できるという資料が整えれば審議の開始を検討する」と答えているので、水面下では準備が進められているのかもしれません。

 また、カウンター越しに販売するというBTC(behind-the-counter)薬制度の導入(米国では薬剤師の管理下で販売するという医薬品のカテゴリーが例外を除きない)の検討や、長期使用も踏まえた販売方法の検討も不可欠です。

 同社では、各紙の取材に対してコメントを拒否していますが、2016年までには可能となるのではないかとの記事もあります。

関連情報:TOPICS
 2007.12.14 FDA諮問委、Mevacorのスイッチは今回も認めず(旧サイト)
 2007.12.12 スタチンのOTC化に支持が得られるか?(米国)(旧サイト)
 2007.11.16 BTC薬制度導入についての公聴会が開かれる

関連記事・ブログ
Over-the-counter Lipitor?  That’s risky
(Consumer Report 2011.08.04)
http://news.consumerreports.org/health/2011/08/over-the-counter-lipitor-thats-risky.html
Is An OTC Version Of Lipitor A Good Idea?
(Pharmalot 2011.08.04)(コメントも注目)
http://www.pharmalot.com/2011/08/is-an-otc-version-of-lipitor-a-good-idea/


2011年08月05日 11:42 投稿

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