副作用自発報告システムの実証研究が始まる

 TOPICS 2009.01.10 など、本サイトでは、副作用情報収集のために患者さんによる直接報告の仕組みが必要とたびたびお伝えしてきましたが、慶應義塾大学薬学部大学院薬学研究科医薬品情報学講座などのグループがこの1月、WEBによる報告システムの試行サイトを立ち上げ、実証研究をスタートしています。(2011年7月までの予定)

医薬品副作用報告システム http://rx.di-research.jp/

副作用報告スシテムポスター

 この実証研究は、平成21年度より厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)を受けて実施されているもので、確認したところ、次のようなプロセスで報告を行うようになっています。

  1. 副作用症状があらわれたのは誰ですか?
  2. 副作用症状について記入してください。
  3. 副作用症状があらわれた時に使用していた医薬品について記入してください。
  4. 副作用の症状はどうなりましたか?
  5. 過去に医薬品を使用して、今回と同じか、似ている副作用があらわれたことがありますか
  6. あなたについて教えてください。(連絡先等)
  7. 副作用の症状について、検査データなど詳細な情報を聞くことができる医療機関はありますか?

 各ページとも、チェックボタンなどWEBを活用したものとなっており、使い勝手はまずまずです。(医療職向けもこのようにすれば、報告しやすくなり、データが多く集まるのに。)

 対象は、英国などのように処方薬だけではなく、一般用医薬品も含まれており、データは慶應義塾大学薬学部医薬品情報学講座に送られるようになっています。

 患者さんや生活者に本サイトの存在を知らせ、実証研究を有意義なものにするためにも、薬局や薬店、病院での広報も必要ではないでしょうか。(日薬・日病薬レベルでも広報を)

 なお、この厚生労働科学研究である「患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究」は、下記サイトからその内容を見ることができます。(現在平成21年度分が掲載。下記検索画面で、患者から副作用情報または200940067Aというキーワードを入れ、検索をかけて下さい)

 厚生労働科学研究成果データベース検索トップ
   http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIST00.do

関連情報:TOPICS
 2010.07.10 薬剤師口コミ、患者副作用報告の代行サイト
 2009.10.25 生活者からの副作用自発報告システムは日本でも必要(国内研究)
 2009.01.10 患者副作用直接報告は、医療専門職からの報告を補完する
 2008.02.19 イエローカードオンライン副作用報告システムが本稼動(英国)
 2007.04.07 Adverse Medicine Events Line(豪州)

2月10日 リンク追加 


2011年01月11日 16:23 投稿

コメントが3つあります

  1. アポネット 小嶋

    1月26日公表の医薬品・医療機器等安全性情報275号で、今回の研究の概要が紹介されています。

    「患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究」について重要な副作用等に関する情報
    http://www1.mhlw.go.jp/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/276-2.pdf

    厚労省では、「この研究での成果も参考としつつ,早期に患者さんからの副作用報告制度を導入できるよう具体的な検討を進めています。」としています。

  2. アポネット 小嶋

    日病薬は、主任研究者の望月眞弓氏からの協力要請を受けて、本研究に協力することを明らかにしています。

    厚生労働科学研究費補助金「患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究
    (主任研究者 望月眞弓)」へ協力してください
    (日本病院薬剤師会 2011年1月28日 リンクすみません)
    http://www.jshp.or.jp/cont/11/0128.html

    PMDAからのリンクだけでは、報告は限られるでしょうから、賢明な対応ですね。

    日薬にも依頼がいっているのでしょうか?

    HPのトップページでリンクというのもいいと思うですが。

    これを機に、日薬と日薬共同で告知ポスターでも作ったらどうでしょう。

  3. アポネット 小嶋

    ポスター(リーフレット)が作成されていました。

    医薬品の使用後にあらわれた不快な症状(副作用)を報告してみませんか?
     http://rx.di-research.jp/data/campain_ad.pdf
       (元記事追加画像からもリンク)

    リンク先の2ページ目には研究の趣旨などが書かれています。

    メインページにはカウンターもついていますね。1月19日から13日の時点で約4800アクセス(コメント追記前に比べ500増)だそうです。

    もっと全国紙などのメディアも取り上げてもらえないのでしょうか?

    (13日追記:日経が記事で取り上げています。)