英医薬品庁、タムスロシンのスイッチを承認

 MHRA(英国医薬品庁)は3日、前立腺肥大の症状を緩和するOTC薬“Flomax Relief”(タムスロシン塩酸塩0.4mgカプセル)を承認したと発表しました。

Reclassification encourages men to play a more active role in their healthcare(MHRA Press Release 2009.12.3)
http://www.mhra.gov.uk/NewsCentre/Pressreleases/CON065433

 MHRAでは、昨年11月27日から1ヶ月半にわたりに、タムスロシン塩酸塩0.4mgカプセル(英国商品名:FLOMAX、本邦販売名:ハルナール他)について、POM(処方せん薬)からP(薬局用薬)への変更についての public consultation(日本のパブリック・コメントに該当)を行い(TOPICS 2008.11.28)、OTCへのスイッチを検討していましたが、今回承認の決定を発表しました。数年かかると思っていましたが、予想より早かったですね。

 MHRAによれば、Flomax Relief は45歳〜75歳の男性向けで、薬剤師のcosultation 後に購入が可能となります。

 具体的な販売方法は、英国王立薬剤師会やメーカーからガイダンスが示されると思いますが、始め2週間分を薬剤師のアドバイスの下で購入・使用し、効果が認められればさらに4週間分が購入が可能。その後6週間以内に医師から確定診断を受ければ、さらに継続購入が可能というpublic consultationで示された案のようになったようです。

 医療制度やOTC薬の承認の仕組みが異なるとはいえ、医師と連携し薬剤師の職能を活用してセルフメディケーションを推進する英国政府の取り組みをうらやましく思います。このスキームがうまくいけば、おそらく降圧剤のスイッチも夢ではないでしょう。

 おそらく public consultation の結果も公表されるでしょうから、こちらも注目ですね。

 価格は14Capが8.99ポンド(約1320円)、 28Capが16.99ポンド(約2490円)と手頃(?)です。発売は2010年の春になるとのことです。

関連情報:TOPICS
  2008.11.28 タムスロシンのOTC化を検討(英国)
  2009.01.22 英国薬剤師会、タムスロシンのスイッチ支持も課題は少なくない
  2009.01.17 処方せん医薬品スイッチに対する英国医師の本音
  2008.12.05 英国におけるスイッチOTC25年の歩み
  2008.04.05 薬剤師はさらなる役割を担うべき(英国)
  2009.11.05 こんな進め方ではスイッチOTCが増えることはない

参考:
Tamsulosin POM to P switch gets green light
(PJ Online 2009.12.3 一定期間を過ぎるとログイン必要)
 http://www.pjonline.com/news/tamsulosin_pom_to_p_switch_approved

12月4日 0:40更新


2009年12月03日 23:20 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    いよいよ4月に発売のようです。

    専門のサイトも開設されています。

    Flomax Relief http://www.flomaxrelief.co.uk/

    ログインできれば、薬剤師向け資料が入手できそうですが・・・・

    PJ Online によれば、英国王立薬剤師会も発売前に販売ガイダンスを出すようです

    OTC tamsulosin available to order
    (PJ Online 2010.2.23 一定期間を過ぎるとログイン必要)
    http://www.pjonline.com/news/otc_tamsulosin_available_to_order

  2. アポネット 小嶋

    4月の発売を控え、PJ Online に関連記事(論説に近いもの)が掲載されています。

    How OTC tamsulosin could help you reach an untapped market
    (PJ Online 2010.3.25 一定期間を過ぎるとログイン必要)
    http://www.pjonline.com/pjbi201003_otc_tamsulosin

    記事によれば、男性の場合こういった疾患の啓発は女性とは異なるアプローチがあるということのようです。

    緊急避妊薬などのOTC薬を販売する場合には、プライバシーに配慮したスペースがでの説明が奨励されていますが、普段薬局を訪れることが少ない男性にとっては、こういったスペースの存在を知らない場合が少なくなく、また「血圧やコレステロールのチェックができます」という張り紙を見ても、高い料金がかかるのではないかという先入観があるそうです。

    Racks of make up and no spanners
    (The Men’s Health Forum)
    http://www.menshealthforum.org.uk/content/men-and-pharmacy-racks-make-and-no-spanners

    記事でこの筆者は、こういった健康増進のためのサービス(health-promoting service)が無料であることを強調すべきだとしています。

    また、Flomax Relief のプロモーションは、消費者向け啓発リーフだけではなくメディアや広告ダイレクトメールなどを通じて広く行われ、欧州サッカーチャンピオンリーグのTVコマーシャルとして放映されるようです。(YouTubeにアップされたら紹介します)

    一方、Flomax Relief の公式サイト(http://www.flomaxrelief.co.uk/)に、専門職向け資料も掲載されています。医療専門職の確認を求められるかもしれませんが、簡単にダウンロードできます。

    Healthcare Professional Home Page
    http://www.flomaxrelief.co.uk/hcp.aspx
    http://www.myilearn.co.uk/flomax/

    薬剤師向けトレーニングガイド(Pharmacist Training Guide)には、フローチャートを用いた販売の流れ、生活指導のポイント、医師への紹介のタイミング、ケーススタディなども盛り込まれています。(日本でもOTCロキソニンはこういったものが作られるのでしょうか?)

    また、「薬剤師はこういった手順で販売が行われます」といった内容が書かれたGP、Primary Care 向けページがあります。おそらく、Flomax Relief の継続販売には医師のチェックが必要なことから、こういったページが設けられたのかもしれませんが、薬剤師がどのようなことを行っているかを知ってもらう上でも必要なのでしょう。