第2回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会

 12日、「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」の第2回会合が開催されました。(資料のうちWAM NET掲載のものは三木谷・後藤委員のものしか掲載されていません。)

第2回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会(2009年3月12日開催)
 議事録(4月9日掲載) 厚労省資料(4月7日掲載) WAMNET資料(3月19日掲載)

 資料は今回も全部で170ページもあり、中でも楽天の三木谷氏と日本オンラインドラッグ協会(JODA)の後藤氏の資料はあわせて100ページ以上にも及んでいます。(厚労省資料が掲載され次第リンクします)

 資料を見ると、楽天・JODAは3月4日のフォーラム(TOPICS 2009.3.4)で行ったのと同じプレゼンテーションを行ったようですが、前回検討会で指摘された事項や発言についてきちんと見解(反論)を書面で示している点は印象に残りました。

 検討会の様子についてのメディアの扱いは第1回より小さくなっていますが、「インターネットで安全な仕組みができるなら、前向きな方向で検討すればいいのではないか」などの意見が出されるなど、賛成派と反対派が真っ向から対立する前回とは様変わりしたようです。下記ネットニュースなどが詳しく伝えています。

消費者ニーズ抑えるのは・・〜 医薬品ネット販売規制で”一致点”求める提案
  (マイコミジャーナル 2009年3月12日)
  http://journal.mycom.co.jp/news/2009/03/12/048/

医薬品のネット販売の行方は(健康美容EXPOニュース2009年3月12日)
  http://news.e-expo.net/news/2009/03/post-862.html

【新制度施行検討会】ネット販売議論、新たな展開‐“安全性”は別途検討の方向
   (薬事日報 Headline News 2009年3月13日)
  http://www.yakuji.co.jp/entry9429.html

 日薬児玉会長ももちろん発言していますが、提出された資料を見ると、独自に無薬局(または薬種商が一件もない)の町村数がどれだけあるかを調べた結果などを示したうえで、「薬局・一般販売業・薬種商販売業がない町村の住民であっても、近隣の市町村の薬局等から医薬品の購入は可能であり、さらに、このような町村に対しては配置販売業による医薬品の供給が行われていると考えている」「医薬品販売の安全性を担保するには、目で見て顔を見て販売する対面販売によって担保することが必要」と改めて主張したものの、新たな見解といえるようなものは示されなかったようです。

 日本チェーンドラッグストア協会の小田氏も、楽天の三木谷氏が「無薬局・無薬店地区が186カ所もある」と主張していることに対し、「186地区は薬局の無い地区であり医薬品販売業は含まれていない。薬店といわれる「一般販売業」「薬種商販売業」「配置販売業」を加えると、全ての地区をカバーする。無薬局・無薬店地区の最も多い北海道でも、全地域で配置販売業がカバーしている」と反論すると共に、「薬が買えなくて困っている人に関しては、行政サイドで対応すべき問題」と述べています。(採算があわないところは私たちはやりませんと言っているようなものですが)

 これに対し、JODAは保健所や消費者センターに寄せられる苦情(健康食品を買わされたなど)などを取り上げて、配置販売業者の資質などについて疑問を投げかける資料を提出しています。

 一方、全国薬害被害者団体連絡協議会の増山氏は、未成年者の喫煙防止で、電話・FAXを含むたばこのインターネットの販売に踏み切る事例を引き合いにして、「一般用医薬品には、薬物依存という深刻な社会問題がある。薬物依存は購入者自身では自制がきかないうえに、ネットなどでは地人の目にふれることもないまま購入できる状況は薬物依存を助長しかねない。また電話やネットやり取りでは、他人になりすましたりすることを防ぐための、個人認証をどう担保するかという問題は避けて通れない。」として、安全性確保について議論する前に、個人認証をどうするか議論すべきであると主張したそうです。(私も増山氏と大体同じ立場です。現状ではこの点がネット販売ではまだ担保できていないと思います)

たばこ専門店 さくらんぼ
 http://www.tabako-sakuranbo.co.jp/top.php

 今後は論点を改めて整理し、ネット販売、店舗販売問わず、いかに安全を担保し、国民に医薬品を平等に届けるかということが今後の議論の中心になるようです。

 ところで、JODAは3月4日付けで、日薬に対し公開質問状を提出しています。

報道内容に関するお問い合わせ
 (NPO法人日本オンラインドラッグ協会2009年3月4日)
   http://www.online-drug.jp/img/20090305.pdf
   http://www.online-drug.jp/2009/

 これは、去る2月20日・21日に開催された日薬臨時総会で、「今後も電話を用いた漢方薬の郵便等販売を継続する意向を副会長が表明した」との旨が、22日のRISFAXで報じられたことに対する真偽を確認するもののようです。

 想像するところに、現場の声を代議員より突きつけられ、場当たり的に答弁した可能性も考えられます。きちんと現場の声を把握しなかったツケといえばそれまでですが、今日の情報社会、業界紙などが取材に入っているなかで、外向きと内向きでもし2つの見解示すとなると大いに考え物です。どのような回答をするかが注目されます。

関連情報:TOPICS
  2009.02.24 医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会が開催
  2009.03.04 一般用医薬品通信販売継続を求めるフォーラムが開催される
  2009.02.27 第1回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会の資料が公表
  2009.01.26 OTC鎮痛剤で依存が起こるか?(英国)

3月13日 17:40 リンク追加 19日 13:20 更新 4月7日 17:20 更新 9日17:00リンク追加 


2009年03月13日 00:20 投稿

コメントが5つあります

  1. アポネット 小嶋

    関連記事が次々とアップされています。

    【日本の議論】厚労省に乗り込んだ楽天・三木谷氏 薬のネット販売は是か非か
    (産経新聞3月15日)
     http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090315/plc0903151300004-n1.htm

    大衆薬ネット販売規制の是非を問う
    (DIAMOND ONLINE 3月18日)
     http://diamond.jp/series/yamazaki/10072/

  2. アポネット 小嶋

    DIAMOND ONLINEで19日も記事が掲載されています。

    「薬の通信販売禁止」をごり押しする“既得権死守”勢力の隠された狙い
    (DIAMOND ONLINE 3月19日)
     http://diamond.jp/series/tsujihiro/10065/

    「改正薬事法の標的は、通信販売業者ではなく小売りの新規参入組」「既存の薬局、薬店業界がドンキホーテなどの大型デイスカウント店が安売りのみならず、家庭へのデリバリーまで始め、それがコンビニに広がるに至って看過できなくなった」という部分が目を引きました。

  3. アポネット 小嶋

    第1回検討会に続き、日本オンラインドラッグ協会が、当日の検討会の様子について、議事録速報としてアップしています。

    「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」第二回傍聴メモ
     (日本オンラインドラッグ協会)
     http://comments.online-drug.jp/archives/482718.html

  4. アポネット 小嶋

    厚労省ウェブサイトに資料がようやく掲載されました。元記事にリンクさせました。

  5. アポネット 小嶋

    厚労省ウェブサイトに議事録が掲載されました。元記事にリンクさせました。