たばこのパッケージに視覚に訴える警告は必要

 現在日本で販売されているたばこについては、健康を害することを記した警告文が以前より目立つようになりましたが、海外ではさらに上をいく取り組みが行われています。

 既に、カナダ・ブラジル・タイ・オースタラリア・シンガポールなどでは、法律でたばこのパッケージに絵入り(写真)表示を義務づけていて、カナダ国内の調査によれば、禁煙を実行した30%の人がパッケージの写真を見て実行したと答えるなど、視覚でたばこの害を訴えることは、禁煙実現のための有力な手段として位置づけられつつあります。

 EUでは、2004年10月に42種類の絵柄(14種類の警告メッセージとそれぞれに対応する3種の絵柄)を公表し、加盟各国はその中から選んで使う取り決めがされていますが、英国保健省では27日、2007年秋からの実施を目指して、3つの具体案を提示し、国民からの意見を求めることを開始しました。

  Consultation on the Introduction of Picture Warnings on Tobacco Packs
   http://www.dh.gov.uk/assetRoot/04/13/54/96/04135496.pdf[567KB]
      (EUの42種類の絵柄が掲載されています)   

 英国保健省の一案によれば、メッセージは14種類すべてをローテーションで使用するものの、絵柄(写真)については、同じ内容で効果が薄れるのを避ける為に、まず4種類(病気に侵された肺・死に瀕した喫煙者・胎児写真など)を採用し、状況をみて他の絵柄に置き換えるとのことです。

 日本でも、たばこ税の引き上げなど、徐々にですが喫煙者を減らす政策がとられています。しかし、たばこ税は貴重な財源ということもあり、喫煙者が急激に減るような劇的な政策が行えないのが現状です。英国保健省の提案ではこういった喫煙者減少による税収減と、かかるであろう医療費を具体的に示して、税収減の落ち込みが医療費の減少でカバーできるというデータを示して、理解を求めています。

資料:たばこ規制枠組み条約発効記念の催しの記録集(2004.11.27)[PDF:5.1MB]
     http://www.jcancer.jp/nonsmoking/tabaco.pdf
       (オーストラリア・ブラジル・タイの取組みが紹介されています)

Impact of the graphic Canadian warning labels on adult smoking behaviour
  (Tobacco Control 2003;12:391-395)
     http://tc.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/12/4/391

参考:Graphic images to deter smokers (BBC NEWS 2006.5.26)
     http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/5017616.stm


2006年05月29日 22:00 投稿

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