訪問看護ステーションに輸液の事前配置が可能に

規制改革推進会議・医療介護WGで指摘や、薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会での議論のとりまとめを受けて検討されていた、訪問看護ステーションに輸液を配備することを可能とする件について、通知が発出されています。

【厚労省】
地域における薬局機能に係る体制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/00001.html

指定訪問看護事業者における医薬品の取り扱いについて
(令和7年12月25日 医薬発第1225第5号)
https://www.mhlw.go.jp/content/001623283.pdf

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今回配備が可能となるのは、輸液のうち、等張性電解質輸液製剤及び低張性電解質輸液製剤(ただし、開始液及び脱水補水液に限る。)についてで、配備が可能となるのは、以下の(1)~(5)に掲げる要件を満たす場合に限ることとされています。

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今回の措置について現場の看護師からは、夜間に高齢者が下痢や嘔吐で脱水症状時に往診医が「点滴が必要」と判断した際、訪問看護ステーションに在庫があれば、その場ですぐに点滴を開始できるなど、 深夜・休日の急な体調変化に迅速に対応できるようになるといった歓迎の声があります。

一方で、今回の措置については、協議先の薬剤師に定期的な確認などの規定が盛り込まれるなどハードルが高くその実効性に疑問があるのではないかとする指摘もあります。

またこの通知では、医薬品を対象となる輸液のみとした理由について次のような説明を行っています。

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今後は、鎮痛解熱剤や下剤、浣腸、抗菌剤など輸液以外の医薬品などの取り扱いに焦点が移りますが、現時点ではそれは原則認められないとする見解のようです。 日薬も、これ以上の規制改革は認められないとの姿勢ですが、では地域によってリソースに大きな差がある現実を考えたとき、果たして全て処方による調剤・提供(配達)が必要なのでしょうか?

また、OTCでの対応をといっても、効能・効果や容量など、対応できる一般用医薬品がない場合も少なくありません。例えば、

  • ピコスルファート液のOTCはない
  • センノシド単剤のOTCはない
  • 浣腸は容量が異なる

このため慣例的に、事前処方というのも一つの手段もとられていますが、医療保険の趣旨からいって果たしてどうなのでしょうか?

市販薬には限界があることを考えると、医療用医薬品というだけで、自由に販売ができない課題への対応(零売)も必要になっていくと思います。

第2回 健康・医療・介護ワーキング・グループ(2025.03.14)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2501_02medical/250314/medical02_agenda.html
(議事録)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2501_02medical/250314/medical02_minutes.pdf

第10回 健康・医療・介護ワーキング・グループ(2024.04.26)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_04medical/240426_01/medical10_agenda.html
(議事録)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_04medical/240426_01/medical10_minutes.pdf


2025年12月29日 12:04 投稿

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