「医薬分業」公開ディスカッションが開催

 すでに、各紙でご存知かと思いますが、12日、医薬分業における規制の見直しに関する規制改革会議(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/meeting.html)の公開ディスカッションが開催されています。

 議事録はまだアップされていませんが、動画と公開ディスカッション後の記者会見録がアップされていますので、是非ご確認ください。

規制改革会議公開ディスカッション(平成27年3月12日)
(政府インターネットTV)
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg11463.html?t=142&a=1
(1:37:30 あたりからです)

 配布資料はこちらです

公開ディスカッション(テーマ2:医薬分業における規制の見直し)
(内閣府)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/discussion/150312/gidai2/agenda.html

 日薬森副会長のスライドの中で紹介されている論文は以前紹介しました。

 TOPICS 2014.07.14 医薬分業が進展すれば薬剤費は減少する(国内研究)

規制改革会議 公開ディスカッション終了後記者会見録
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/discussion/150312/interview0312.pdf

 各紙の報道は様々で、6月の答申に盛り込まれるのではないかとの論調も少なくありませんが、上記会見録を見ると微妙な言い回しとなっており、さらなるヒアリングなど、健康・医療ワーキング・グループで議論を深めることになるそうです。

以下、気になる部分を抜粋します。

○記者
 今日の議論を拝聴していますと、やはり同一の建物内という規制については、患者の利便性を考えたときに、見直すべきではないかという意見が多かったと思うのですけれども、基本的にはそういう方向で、今後、議論が行われるということでよろしいでしょうか。

○岡議長
 今日の公開ディスカッションでは、2つの論点に分けて審議したわけでございます。国民あるいは患者の利便性という視点からもう一度いろいろ議論をしてみたらどうだろうかということが一つ。もう一つは、薬剤師、あるいは薬局のサービスの評価をもう一度してみよう。今日の話にもありましたように、薬剤師さんにもっともっと活躍してもらう部分もあるのではないのかという点もありますし、コストの問題についても、ただコストが高いとか安いという議論をしても余り意味がないわけでありまして、他のものも全てそうですけれども、こういうサービスを提供するためにこのぐらいのコストがかかる。逆の言い方をすれば、これだけのコストを払うのだから、これだけのサービスは期待しても良いのではないかと、私どもとしては、サービスとコストという視点でも議論を深めてみようかなと考えております。まだ結論があるわけではございません。今日も議論がいろいろございましたが、例えば、院内の薬局を認めるべきであるという形で今後議論をしていくということは何も決まっていません。今日はいろいろな方の意見を聴いて、これから、国民、患者の利便性という観点と、サービスを中心として考えた上でのサービスとコストという観点。そして、サービスとコストという観点の中では、薬局若しくは薬剤師さんのサービスの在り方についても、もう少し議論をしても良いのかなと考えております。

○記者
 先ほどの岡議長の御説明の中で、サービスとコストの観点が一つ。それと、薬剤師のサービスの在り方について議論していくという御発言だったと思うのですけれども、このうちの薬剤師のサービスについて、具体的には、例えば、今日ちょっと出ていましたが、ICTを活用するとか、そういう新しい薬剤師のサービスの仕方を考えていくとか、そういう感じでしょうか。

○岡議長
 そこまでいくかどうかはまだ分からないと思います。ICTの利活用はこの分野に限らず、私自身、医療だけではなく、いろいろな分野で、日本の成長戦略の核だと思っているのです。ですから、病院と薬局の連携という話もありましたけれども、そのときにペーパーで連携するのが良いのか、ICTを使った方が良いのかは別のテーマとしてあると思うのですが、私が言ったサービスというのは、そこの手前のもっと中身としてのサービス。
 今日もいろいろなお話がありました。現に翁座長にやっていただいたアンケートを見ても、8割の方々が医薬分業のメリットを感じていないという意見があるわけです。しかし一方で、厚労省から医薬分業の目指すべき本来の姿の御説明もありました。私どもとしては、もっと国民に分かりやすい、こういうサービスが薬局で得られるのですよ、ということを厚労省が説明するのか、あるいは薬局が説明をするのかはわかりませんが、そういったことについての議論をもっと深めたいと思います。
 ただ薬局に行って、処方箋の薬をもらっておしまいだけだったら、サービスは何ですかという話もあるでしょうし、あるいは、患者さん、あなたはこういう薬をたくさん飲んでいますが、こうした方が良いですよという指導だとかアドバイスを受けている方もいると思います。今日の議論を聴いていて、薬剤師さんから得られるサービスについては、大きな幅があることを感じました。この辺のところは、どちらか一方に立つと、それだったらそんなものは要らないねという意見も出てくるおそれがあるし、逆に、いやいや困るよ、非常に役に立っているよ、私は助かっているよという国民もたぶんいますから、もう少し丁寧な議論が必要なのかなと思います。

 この間もさまざまな関連記事がアップされています。コメントを見ると、批判的な意見も少なくないのですが、単に分業だけでなく、地域薬局(調剤薬局という言葉は使いたくありません)や地域薬剤師の役割は何なのかというのを突き付けられているように思います。

政治的にアンタッチャブルだった「おかしな医薬分業」の実態が規制改革会議でようやく議論の対象に
(現代ビジネス 2015.03.13)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42469

規制改革会議で議論、「病院内薬局」も認めるべき?
(BLOGOS 議論 2015.03.13)
http://blogos.com/discussion/2015-03-13/pharmacy/

調剤薬局、薬剤師バッシングについて
(BLOGOS 2015.03.16)
http://blogos.com/article/107906/
(前記事で紹介したブログ記事の転載です。コメントに注目→リンク

詳細なコメントについては、動画をもう一度見てから追記したいと思います。

関連情報:TOPICS
2015.03.10 「医薬分業」公開ディスカッションを前に思う事
2015.02.27 病院内の薬局開設をついに容認か?


2015年03月16日 18:17 投稿

コメントが5つあります

  1. 公開討論を視聴して思ったことは、医薬分業の今の実情、それを踏まえて今後のあるべき姿を考える上で、非常に参考になる内容であったことが印象づけられました。
    利便性と医薬分業メリットの二つが大きなテーマでしたが、それだけにとどまらず、医薬分業において大所高所からの議論がなされたとも思っています。
    医薬分業は医師と薬剤師の役割分担を明確にして、医療制度の中で患者メリットを実感してもらうこと。これが本質にあると思います。
    であれば、薬剤師は薬という対物から、患者という対人にシフトして、その中で役割使命を果たして行かなければなりません。
    また、医薬分業というよりも、医師との医薬協働という概念に、より、ステージアップさせなければならない。
    それが今回の公開討論で示唆されたとも感じています。
    厚労省はあくまでも、面分業とかかりつけ薬局(薬剤師)の充実を理念、方針としています。これは医薬分業(医薬協働)の本質を体現するもので、大いに共感を呼ぶものです。
    そのためには、もう、乱立した門前調剤薬局(点分業)ではその役割を果たせない。もちろん、病院内の保険薬局(点分業)でも同様だと思います。
    患者には処方せんの交付(院外か院内)の選択権があります。これは医師法に明確に記載されています。
    ということは、より専門薬を扱わなければならない場合は病院内の調剤所で、そして、標準的というか一般的な薬の場合は面分業のかかりつけ薬局に、患者の自由選択権に基づいて行えばいいことです。
    リフィル処方、ICT活用も、今後の医薬分業においては重要な課題になると思います。

  2. 今更言うまでもないが、やはり、病院内の保険薬局はむちゃくちゃな話・・・・。
    まあ、病院前の乱立した門前保険薬局の有り様も異常だが・・・・。
    病院にはれっきとした調剤所がある。
    医者は患者の意向(利便性など・・)を聞いて、不自由さがあれば、院内処方にしたらいいだけ。ちゃんと、医師法22条に明記されているではないか・・・。
    それをわざわざ、病院内に保険薬局を作れるように一部、規制緩和しろとは規制改革会議メンバー、推進医者の利害絡みのいちゃもんとしか言いようがない。
    医薬分業論の利便性を、こんな問題に絡めて論じるべきではない。
    もっと、患者のためになる医薬分業が醸成する努力を、国を上げてするべき。
    ただ、それだけだ・・・・。
    担当大臣のお買い得発言は医薬分業への勉強不足も甚だしい。
    こんな大臣に、それをようする政府に、医薬分業についてまともな判断ができるわけがない。国をあげて取り組んでもらいたい期待も、情けないこの程度の大臣の発言で半減してしまう。
    無節操なOTC薬販売の店舗拡大に利用した登録販売者やネット販売など等で、政府は規制改革会議の成長戦略一辺倒に加担しただけで、いろんな問題を孕んでしまったことが分かっているのか。医薬品というOTC薬をより一層の雑費品化に加速させただけだ。
    嘆かわしい・・・。
    日医の強欲なわがまま(誤解のないように書くが、現場の医者には立派な人もいるので・・・。)から、日本は成り立ちから不健全な不完全医薬分業になってしまった。
    世界から見れば、日本の医薬分業は異常としか映らないだろう。
    OTC薬スイッチ化も日医の強欲なわがままから進まず、欧米に比べて立ち遅れていることを自覚するべきだ。
    スイッチ化すれば、セルフメディケーションも医療費削減にも貢献できる。
    それも、大幅なスイッチ化が必要だが・・・。
    患者も消費者も医薬品に対するコスト意識を、もっと持たなければ。
    それができない人には救済措置が必要だが・・・・。
    (でも、ドラックストアや大手スーパーが、また、そのスイッチ薬をただの金儲けの商材にしてしまうのだろうな・・・・。)
    でもそれをすれば、医療用メーカーは大反対するだろうな。こいつらは金儲けのため患者を喰いものにすることぐらいしか考えていないからな。
    特に外資メーカーには日本の皆保険制度市場はとても美味しい市場なのだ・・・。
    日本の皆保険制度ももっともっと、これからの時代に応じた大変革が必要かな・・・。
    やっぱり、スイッチ化出来るところはしっかり行い、重病、中病・軽病に対する処方薬の適正配分も行う。後発品もやたらに多すぎるしな。
    不要な処方薬を抱え過ぎでは。これでは国民の負担が持たないのでは・・・。
    だが、医者はメーカーの恩恵を受けるのが減るものな・・。
    それの犠牲が、日本国民の酷税や保険料、そして、増えていく患者の一部負担・・。
    でも、全額負担のOTC薬に比べたら、まだ、国民は処方薬を有難がる・・・。
    医者が処方薬の財源を捻出しているわけではないのに、唯一専門的な立場として患者に恩着せがましく処方薬を処方する。日本の異常な医療風景・・・。
    誰かが書いていたが、薬剤費が上がっているのは、医者の無節操な薬剤処方にあって、それを受けている保険薬局の責任ではないと・・・。
    でも、保険薬局はそれによって恩恵を受けているところもある。
    まあ、どう書いても、まともな医薬分業の実現化は、この異常でおかしい日本では難しいだろうが・・・・。
    暴言、脈絡を欠いた書き放題の駄文にお許しあれ・・・。
    でも、やっぱり、書かずにはいられない・・・。

  3. アポネット 小嶋

    4月16日の健康・医療WGで、公開デフィスカッションを踏まえての論点が示されました。

    第34回健康・医療ワーキング・グループ
    (規制改革会議 2015.04.16 開催)
    http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg3/kenko/150416/agenda.html

    「医薬分業推進の下での規制の見直し」に関する論点
    http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg3/kenko/150416/item2.pdf

    1.患者の利便性(構造の独立性)
    ・医薬分業においては、薬剤師が処方医とは独立した立場で患者に対する薬学的管理を行う必要があるが、医療機関と薬局の経営上の独立性が確保されるのであれば、患者の利便を損ねる構造上の独立性の規制を見直してはどうか。

    2.コストとメリット
    (1)政策の効果の検証
    ・厚生労働省は、医薬分業を進めてきた政策の効果を定性・定量の両面から評価し、検証することとしてはどうか。
     その上で、政策目標を明確化し、PDCAサイクルを構築してはどうか。
    (2)コストの見直し
    ・薬局に支払うコストと受けるサービスが見合っていないと感じる国民が多いという現状を踏まえて、薬局に対する診療報酬の仕組みを見直してはどうか。
     また、同じ診療報酬であってもサービスの質が薬局ごとに大きく異なる現状を見直す必要があるのではないか。
    (3)サービスの見直し
    ・調剤技術の進歩や高齢化の進展などに伴い、薬剤師の業務内容が大きく変わっている。在宅医療への関与など、薬剤師の専門性を活かした業務の在り方を検討してはどうか。
    ・多様な機能・特色をもった薬局が提供するサービスについて、利用者が現状より容易に取捨選択できるよう、薬局におけるサービスと費用を利用者に分かりやすい形で開示する仕組みとしてはどうか。
    ・かかりつけ薬局機能を高めることを目的として、リフィル処方せんの導入や分割調剤の見直しに関する検討を加速してはどうか。

    3.その他(ICTの活用等)
    ・医療分野におけるマイナンバー制度の導入状況などを踏まえて、ICTを活用した薬歴管理などの情報連携の仕組みを構築してはどうか。

  4. 公開討論のメンバーの一人の長谷川氏が、院内と院外の薬代格差に対して過激なコメントしている。薬歴未記載の大手チェーン薬局の発覚などで、医薬分業メリットに見合う薬剤師の役割が果たされているのかと・・・。追い打ちをかけるように、構造上の独立分離の建前から患者の不便性まで書き立てている。
    医薬分業における構造分離をしなくても、経営分離は担保できると・・・。
    医薬分業への経緯を書いている中で、院内処方の医師の薬漬けを解消するために、院外処方が推進されたのではないかと。そのインセンティブを与えるために、医師の院外処方箋料、薬剤師の調剤料、管理指導料の引き上げが行われた点にも言及している。
    ただ、この長谷川氏は本当に医薬分業論の深い意味を理解しようとしているのか。甚だ、疑問に思っている・・・。その本質に触れず、あえて、表面的かつ一面的なところで医薬分業を捉えて、そのデメリットを叫んでいるだけだ・・・。
    言い換えれば、購読数を増やすための読者受けするところだけを取り上げて書いているだけだ・・・。
    将来の日本医療の医薬分業のあるべき姿を考える上で、このような長谷川氏のコメントはあるまじきものだと思います。自分の置かれている社会的な立場が本当に分かっているのだろうか。これでは三流週刊誌の記者と変わらない・・・。
    このような社会的地位のある識者が、ただ、購読者を増やしたいとする目的だけ(歪めた世論換気)で、このような書き方をすることに大いなる嫌悪感を覚えます。
    論説するなら、医薬分業の本質に触れて掘り下げたところからコメントして欲しい。
    長谷川氏以外にもこのような論調でマスコミ、メディア、情報誌に喧伝しているのが多く見られる。
    報道2001の論客の高橋氏(規制改革会議メンバー)もその一人だ・・。
    このような風潮が高まれば、これからの日本の医薬分業は世界標準から大きくかけ離れたものになってしまうだろう。

  5. アポネット 小嶋

    議事録がようやくアップされました。

    議事録では、一部、発言が削除されているところがありますので、動画と確認してみて下さい。

    【規制改革会議】
    「公開ディスカッション」2015.03.12議事録
    http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/discussion/150312/gijiroku0312.pdf

    規制改革会議公開ディスカッション(平成27年3月12日)
    (政府インターネットTV)
    http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg11463.html?t=142&a=1
    (ツイッターで指摘された削除部分 2:44:55 あたり)