2025FIP年会から(メモ)

今年8-9月にコペンハーゲンで行われたFIPの年会ですが、内容について報じたものをほとんど見かけませんしたが、こちらをチェックしていたら、コミュニティ薬局部門での受賞者の紹介がありました

CPS AWARDS DURING THE WORLD CONGRESS IN COPENHAGEN
(CPS Bulletin 2025.10.08)
https://cpsfip.blogspot.com/2025/10/cps-awards-during-world-congress-in.html

1.Rapid Fire Award Oral Presentation
豪州の研究者がまとめた「薬学における業務範囲の概念と定義の探究:系統的レビュー」で、つい最近に論文化もされています。

Exploring the concept and definition of scope of practice in pharmacy: A scoping review
(Res Social Adm Pharm 2025 Oct 3)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1551741125004681

2.Innovation Award
イタリアの地域薬局によるプロジェクト「リズムを失わないで:イタリアの薬局における遠隔医療の役割(“Don’t Lose the Rhythm: The role of telemedicine in Italian pharmacies”.)」で、デジタル診療と遠隔モニタリングが、特に慢性疾患を抱える患者にとって、ケアの継続性をどのように向上させるかを実証が紹介されています。

これは、Bluetooth経由でスマートフォンに接続された3誘導心電計を用い、専用アプリを使用することで、わずか数分で心電図(ECG)を計測し、心拍リズムの異常を検出すという心臓スクリーニングを行うというものです。

このプロジェクトにより、診断が遅れると予後が悪化する可能性のある症例を早期に特定することが可能となるのこと

Congresso mondiale FIP: Fenagifar riceve l’Innovation Award
(Farmacianews 2025.09.05)
https://www.farmacianews.it/congresso-mondiale-fip-fenagifar-riceve-linnovation-award/

イタリアでは、コロナ禍をきっかけに、薬局に心電図計、ホルター心電図、血圧ホルターモニタリングが設置されているとのこと

3.Policy & Practice Award
薬局が気候変動による混乱(異常気象やその他災害)にどのように備えることができるかという点に焦点を当てたカナダの研究者が受賞

もともとは、腫瘍薬剤師として働いていた方で、国境なき薬剤師(Pharmacists Without Borders Canada)でのボランティア活動の中で、異常気象や気候全般が、様々な国の患者の健康にどのような影響を与えるのか、暑い日に薬を飲むと何が起こるか、副作用にはどのような影響があるか、薬自体の品質にどのような影響を及ぼすかといったテーマで研究されているようです。

Heat and Health Risks: What You Need to Know About Your Medications
(WebMD Podcats 2025.09.04)
https://www.webmd.com/podcasts/20250904/heat-and-health-risks-what-to-know-about-medications

最近では、世界的に薬学教育におけるプラネタリーヘルス(人間と地球の健康が相互に依存しているという考え方に基づき、地球環境の持続可能性と人間の健康の増進を両立させることを目指す概念)関連の研究も進められているようです

A Scoping Review of Planetary Health Education in Pharmacy Curricula
(Am J Pharm Educ. 2025 Mar;89(3))
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39954786/


2025年10月11日 14:21 投稿

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