国民生活安全対策委員会答申(日医)

 日本医師会(http://www.med.or.jp/)は14日の定例記者会見で、『国民の健康で安全な生活』の確保に向け、医師会として何をすべきか、何「ができるかなどについてまとめた、国民生活安全対策委員会の報告書を公表しています。

国民生活安全対策委員会答申
「『国民の健康で安全な生活』の確保に向け、医師会として何をすべきか、何ができるか。~国民が生活する上で生命・健康に脅威となる重大な事象の検証及びその対策~」について
(日本医師会 定例記者会見 2012.3.14)
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120314_5.pdf

 この報告書は、2002年度の設置以来、国民の健康で安全な生活確保についてのさまざまな検討を行ってきた同委員会の、2010、2011年度の検討事項をまとめたもので、「健康食品」や「漢方薬」など私たちにも関連の深い分野についても記されています。

 このうち、健康食品については、2010年に同委員会の小委員会として設置された「健康食品安全情報システム委員会」がこの2年間に取り組んだ活動などをまとめた報告書が別に作成されています。

 健康食品安全情報システム委員会がまとめた報告書では、医療提供者の立場として健康食品について、

  • 健康の保持などに効果のある成分(未知の成分含む)が濃縮して含有されている他、医薬品成分を含有している場合(医薬品にしか使用が認められていない場合、国内未承認の成分の場合を含む)があり、副作用・」アレルギーに懸念がある
  • 患者が健康食品を摂取していることを伏せている場合は、相互作用の把握、原因究明に、遅れが出る
  • 多くの種類の食品を、一度に摂取したり、用量を大幅に超えた摂取の懸念がある
  • 「がんが治る」などの過大な宣伝方法を信じたために、適切な時期に、医師の診療を受けるチャンスを逸失するおそれがある。
  • 医師における健康食品の成分や有害性などに関する情報不足している
  • 医師が、患者の健康食品の摂取状況を把握できていない状況がある

などとした問題点を指摘し、「健康食品にもリスクがあることを認識してもらう」「かかりつけ医を持ってもらい、健康食品を摂取していて何らかの不調を感じたら医師へ相談、受診をすること」「医師による処方や治療の前に、健康食品を摂取していることを医師に告げてもらう」などの啓発が必要だとしています。

 健康食品(ここでいう健康食品は、海外からの個人輸入によるダイエット食品も含む)の販売の担い手の一つとなっている私たちにとって、今回の医師会の報告は肝に銘じる問題です。

 薬剤師会も、くすりの専門家を名乗る職能団体である以上、本来であれば独自に薬科大学などとの共同で、こういった問題に対する学術的・社会的検討を行うべきであり、そのことにより、薬剤師への信頼が高まるものと思います。(一応これら委員会には日薬の東洋彰宏氏など、他の職能団体も委員として名を連ねているけど)

 また、日医で行っているデータベースを現場の薬剤師も利用できるという仕組みは作れないものでしょうか?

資料:
「健康食品」・サプリメントについて(日医ウェブサイト 2012.1.30)
http://www.med.or.jp/people/info/knkshoku/000709.html
(日薬も一般向けにこういったページが必要)
第49回 消費者委員会(内閣府 2011.03.04)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2011/049/shiryou/ 

関連情報:TOPICS
 2010.06.25 健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて(パンフ)


2012年03月15日 01:48 投稿

コメントが2つあります

  1. シッフズジャパン鈴木

    特定保健用食品(トクホ)は比較的、長期にわたって摂取されること、商品の知名度が高いことから、患者から聞き取り易いと思います。
    脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病などの脳卒中地域連携クリティカルパス
    に、「血圧を正常に保つことを助ける」、「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」トクホ食品を記録することは出来ないでしょうか。

  2. アポネット 小嶋

    特定保健用食品(トクホ)は健康が気になる方を対象にしている食品で、病気の治療のために使用するものではありません。

    トクホ(特定保健用食品)とか栄養機能食品って何?
    (東京福祉保健局 食品衛生の窓)
    http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/hoei/hoei_003/hoei_003.html

    「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」ものなどでは、難消化性デキストリンを含むものがあり、これは医薬品のα-グルコシダーゼ阻害薬と同じような働きがあり、医師の治療を受けている場合には影響があると考えられ、併用は勧められていません。

    「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」表示をした食品
    (「健康食品」の有効性・安全性情報)
    http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail375.html

    未病の段階でお薬手帳などに記録をすることは意義があると思いますが、連携パスで補助的に治療目的で使用するというのは難しいと思います。