リスク区分変更等に関するパブコメが開始

 10日、一般用医薬品のリスク区分(変更)等についてのパブリックコメントが開始されています。 

「薬事法第三十六条の三第一項第一号及び第二号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する第一類医薬品及び第二類医薬品の一部を改正する件」及び「薬事法施行規則第二百十条第五号の規定に基づき特別の注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する第二類医薬品の一部を改正する件」
(案の公示日 2012年02月10日 意見・情報受付締切日 2012年03月10日 )

 今回のパブリックコメントは、1月11日に行われた薬食審の医薬品安全対策調査会での結果を踏まえて行われるもので、下記成分等についてリスク区分の変更(維持、新指定)について意見募集が行われています。

投与経路 成分名 商品名 区分変更
(指定)案
製造販売後
調査報告書
(メーカー)
内服 トラネキサム酸 トランシーノ 第1類→第2類
(トラネキサム酸(しみ(肝斑に限る。)改善薬)を第2類とする。)
PDF:3,955KB
外用(貼付剤) ニコチン シガノンCQ
ニコチネルパッチ
ニコレットパッチ
第1類のまま PDF:7,908KB
内服 フラボキサート レディガードコーワ 21類→指定第2類 PDF:1,011KB
外用(膣錠) ミコナゾール メディトリート 第1類のまま第2類 PDF:770KB
殺虫剤 ジクロルボス(専らねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除のために使用されることが目的とされる医薬品のうち、人の身体に直接使用されることのないもの(毒薬又は劇薬に限る。))  バポナ(部会提出資料 PDF:316KB) 第1類のまま
(劇薬からは除外)

 パブコメの資料からもリンクがありますが、下記ページの資料にリンクをはっておきました。 

資料:平成23年度第8回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会
    (2012年1月11日開催)
  資料:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021igh.html
 議事録:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000023rp1.html

参考:
【薬食審調査会】スイッチOTCのリスク区分見直し審議
(薬事日報 Headline NEWS 2011.01.13)
http://www.yakuji.co.jp/entry25231.html

5月31日 議事録へのリンク追加


2012年02月10日 13:26 投稿

コメントが7つあります

  1. ミコナゾール膣錠は薬事日報では1類のままになってます。(上記表は第2類)
    確認をお願いします。

  2. アポネット 小嶋

    誤っていました。ご指摘ありがとうございます。

  3. アポネット 小嶋

    日刊薬業の見出しのみですが、3月23日開催の医薬品等安全対策部会で、トランシーノは1類に据え置きになったようです。(この通りだとすれば、異例)

    日薬は据え置きの意見をパブコメに出していました。

    一般用医薬品のリスク分類」に関する意見募集への意見提出について
    (日本薬剤師会 定例記者会見資料 3月8日)
    http://www.nichiyaku.or.jp/press/wp-content/uploads/2012/03/120308_1.pdf

  4.  複数の医師委員から、配合成分の長期連用による血栓形成の懸念、また漫然と長期にわたる連用の恐れが表明され、下部専門委員会での議論やパブコメの紹介もされ、当該医薬品の使用上の注意等の説明もあったのですが、懸念を払しょくするに至らず、(というよりは、医師の懸念があれば、科学的な論議は無用という従来のパターン踏襲で)第一類据え置きに逆転したものです。
     薬剤師会も第一類据え置きをパブコメで示したこともあり、特段の発現はなかった様子です。
     したがって、当該製剤はその構成成分がすべて第3類であるにもかかわらず、第一類に未来永劫留め置かれることとなったものです。

  5. アポネット 小嶋

    いつもコメントありがとうございます。

    下記で調べたら、トラネキサム酸がスイッチされている国はごく限られているのですね。

    OTC Ingredient Tables(AESGP)
    http://www.aesgp.be/publications/otcIngredientTables.asp

    上記リストでは、トラネキサム酸は、antihemorrhagicsに分類されていて、OTC医薬品として販売されているのは、スウェーデンと英国と日本だけです。

    豪州では要薬剤師薬(Pharmacist Only Medicine)だったのが、2007年9月に処方せん医薬品への再分類が行われていますね。

    英国でスイッチされたのもつい最近で、適応症も月経過多に対してで、トラネキサム酸についてさまざまな適応があるのは日本くらいなんですね。

    Press release: First over the counter (OTC) medicine for heavy menstrual bleeding approved
    (MHRA 2010.3.30)
    http://www.mhra.gov.uk/NewsCentre/Pressreleases/CON076475

    Package Leaflet: Information for the User Cyklo-f 500 mg Tablets(tranexamic acid)
    http://www.mhra.gov.uk/home/groups/pl-a/documents/websiteresources/con2030206.pdf

    ちょうど今日から検索がしやすくなったPMDAの一般用医薬品の検索(本ページサイドバー右上)でチェックしてみたら、トラネキサム酸が配合されているものが結構あるんですね。

    最近は総合感冒剤にも広く配合されているし、イブプロフェン+トラネキサム酸の鎮痛剤もあるんですね。

    こういったものでも常用するってことがあると考えると、成分としての「トラネキサム酸」を第3類にしておくこと自体がそもそもまちがいではないでしょうか?

  6. アポネット 小嶋

    薬事日報で記事が出ています。

    【薬食審部会】フラボキサートを指定2類へ‐一般薬のリスク区分見直し
    (薬事日報 Headline NEWS 2012.03.26)
    http://www.yakuji.co.jp/entry25945.html

    (追記)
    また、じほうのMagplusでも記事が出ています。

    医薬品等安全対策部会に注目
    (Magplus 3月26日)
    http://magplus.jiho.jp/magplusplus/report/id/91

    部会の資料等が出ましたらまたリンクをはります。

  7. アポネット 小嶋

    3月23日開催の医薬品等安全対策部会の議事録が公開されました。

    議事録
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002cqdl.html

    資料
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000026c1b.html

    トランシーノが第1類に据え置きになったのは、まいけるさんの情報の通り、皮膚科医師の日野委員による発言がきっかけに一気に決まってしまったようです。(このやりとりだけでひっくり返るのは果たしてどうなのでしょう?)

    過度の期待から、安易に飲み続ける人がいる場合があることも考慮されたようですが、かぜ薬以外の場合ではなぜ第3類なのかという疑問も指摘(中略の部分)され、第一類の位置づけを改めて考えさせられます。

    以下、やりとりからの抜粋です。

    ———————————-

    ○日野委員
     トラネキサム酸に関してですが、長期に投与した場合でも、短期に投与した場合であっても、投与の方法は違っても注射でやった場合はアナフィラキシーの報告があります。今回のように経口の場合、長期・短期にかかわらずアレルギーの面から見ても、これは第1類医薬品に置くべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

    ○松本部会長代理
     先ほど、事務局並びに資料1で長期に投与した場合、そのようなことが起こることがあり得るということに関して、情報提供をするということで、現在の第2類医薬品で様子を見ようということになったのですが。

    ○日野委員
     それは伺いましたけれども、使うのは一般の人であるわけですから、分かるようにするべきだと思います。

    ○松本部会長代理
     そうですね。

    -中略-

    ○國頭委員(呼吸器内科医師)
     トラネキサム酸は止血剤で使います。作用機序からして血栓症が起こっても、まあ起こるだろうという感じですね。どのぐらい起こるのかは私もデータをよく知らないのですけれども、長期にわたって使ったら、どの程度血栓症が起こるのかというデータは実際にあるのですか。ただ、生物学的には極めて可能性が高いものであります。そうすると、リスクからすると、やはりいかがなものかと思うのです。
     この間、外科の先生から聞いたのですけれども、20~30年前は手術の後、日本の外科医は出血が怖いから普通に止血剤を出していました。当時、アメリカの外科医は血栓症が怖いため、ヘパリンを要するに抗凝固剤を流し入れていました。今は、日本でも肥満が多くなったかどうかいろいろあるのでしょうけれども、抗凝固剤の方を先にするようになりました。要するに、そのような意味でもリスクの形が変わってきたのです。血栓症は、実際に患者さんを診ていると、やたらに増えているような気がするのです。第2類医薬品にして、それで特別な注意をと言うぐらいであれば、第1類医薬品のままにしておいた方が話は簡単ではないですか。分類しておいて、この中でこれはいけないので少し余分に注意というぐらいだったら、初めから変えなければいいのではないかと私は思ってしまうのです。

    ○松本部会長代理
     第1類医薬品にするだけの副作用等のものが無いということが一つの理由かと思うのです。調査会でも先生がおっしゃるように、血栓形成のリスクをどうするかというのが一つ問題になりました。先ほどの十分に注意喚起する、情報提供をするということから第2類医薬品で様子を見ようということですね。

    ○國頭委員
     相手は肝斑ですね。

    ○松本部会長代理
     そうです。

    ○國頭委員
     肝斑というのは、要するに女性の見た目の問題ですね。うちの家内もこのようなものを飲んでいるみたいなのですが、やはりズルズル飲むのではないかと思うのは良くないですか。

    ○松本部会長代理
     これは、肝斑に対して効果はあるのですね。

    ○日野委員
     個人的な意見を言わせていただくと、効果はどうかとは思いますが、文献的には効果ありとされています。

    ○國頭委員
     すごくよく効くか、全然効かないということであれば話は簡単なのですけれども、効果はどうでしょうというぐらいだったら、やはりひいき目が入ります。少し良くなっているのではないかと思うと、やはりもう少し飲みたくなるのが人情ではないかと思うのです。

    ○日野委員
     全く無いとは言えないと思いますけれども、私は非常にあるとは思っていません。恐らく、皮膚科の医師は使用する側はそう思っているのではないかと思います。

    ○國頭委員
     そうすると、長期投与したくなるものなのではないのですか。

    ○日野委員
     患者さん側から言うと、続けたくなると思います。

    ○松本部会長代理
     現時点で血栓症が起こったという報告は無いのですね。

    ○安全対策課長
     市販後調査のところで1例、因果関係がよく分からないのですけれどもありました。先ほど先生から御指摘がありましたように、資料3-3の4ページのところに1例あります。

    ○松本部会長代理
     ただ、因果関係がはっきりしないという一つのあれですね。

    ○三谷委員(血液内科が専門らしい)
     私も、國頭先生と同じ印象を持ちます。基本的に、これは病気というものを対象にはしていませんし、コスメティックな問題だけです。薬理学的に血栓のリスクが想定されるし、事実脳血栓の人がいたのだということ自体が少し衝撃なのです。第2類医薬品にされると、情報提供は努力義務になります。そうすると、薬局等ではそれを販売する時に2か月間しか服用してはいけません等、血栓のリスクが高まりますということは一切おっしゃらなくてもよくなるわけです。
     かつ好発年齢はよく知りませんけれども、例えば閉経に近い女性がこれを服用された場合、より血栓のリスクが高まるのではないかと思います。この薬剤を第1類医薬品から第2類医薬品に下げるというのは、少しリスクがあるのではないかと個人的には思います。

    ○松本部会長代理
     配合されている成分がすべて第3類医薬品であるということから、元々このままいけば第3類医薬品になるのが、第3類医薬品では少し問題があるということで、第1類医薬品か第2類医薬品以上ということで議論がいったわけです。先ほどの副作用の程度をどう判断するかとか、これから起こるべきことをどうするかによって決まるかと思うのです。その辺は、調査会で議論したことが、今ここで議論されているようなもので、そのためのパブリック・コメントを得て本日の議論になっているわけです。

    ○石井委員(国立感染症研究所ハンセン病研究センター長)
     私も10何年前まで皮膚科をやっていました。1~2か月ぐらいというのがあるのですが、肝斑というと40代、50代、60代ぐらいの女性が主ですし、ビタミンCも入っているからちょうど飲みやすいのです。そうすると数か月、半年、1年ぐらい飲む場合も結構あります。そういう意味でこの1~2か月というのは少し無理だと思うのです。安心して飲んでしまって長期になることもあると思うので、私としても第1類医薬品に置いておいた方がいいかと思います。

    ○松本部会長代理
     一応これは2か月を限度に使用することを条件にしているわけですから、それで第2類医薬品ということになっていますので、個人的にそれ以上飲むかどうかを予想して議論したら結論が出てこないかと思うのです。2か月で、できるだけ長期にならないようにする注意喚起をすることによって、調査会での判断のように第2類医薬品にしておくことに関してはいかがでしょうか。

    ○日野委員
     くどいようですけれども、やはり第1類医薬品に置くべきだと思います。先ほどおっしゃいましたように、2か月ぐらい飲んで、恐らく2か月間休薬しなくてはいけなかったかと思います。2か月間やめてくださいと薬剤師が言ってくれない限り、飲む側は分からないのではないかと思うのです。2か月間飲んで、2か月間やめてくださいというのを誰が言うことになるのでしょうか。

    ○松本部会長代理
     その辺に関しては事務局からお願いいたします。

    ○安全対策課長
     先生方の今の御議論をお伺いしておりますと、かなり強く薬剤師からの服薬指導をするべきだということだと思いますので、本日の御議論をお聞きしていますと、調査会でも第2類医薬品以上ということで厳しい御意見もありましたので、第1類医薬品に引き続き置くことが適当という御意見だと理解いたしました。