豪州上院がたばこ包装規制法案を可決、来年12月実施へ

 TOPICS 2011.04.11  2011.09.18 で紹介した、ロゴ、ブランド・イメージ、シンボルなどの使用禁止と、文字の使用制限などを規定した豪州のたばこ包装に関する法案が10日上院議会で可決され、8月に法案を可決した下院で修正案が承認される必要があるものの、2012年12月からの実施が事実上決まったそうです。

Plain packaging legislation passes through the Senate
(yourHealth 2011.11.10)
http://www.yourhealth.gov.au/internet/yourhealth/publishing.nsf/Content/tobacco-label-passedleg

 可決した法律は、WHOのたばこ規制枠組み条約の義務と勧告を実行する内容となっており、次のような対策も行われます。

  • 現在25%のたばこ税の引き上げ
  • 国内でのたばこ製品のインターネット広告の規制
  • 禁煙防止のための社会マーケティンキャンペーンに8500万ドル以上の対策費
  • 電話禁煙相談に500万ドルの対策費
  • ニコチン代替療法のなどのサポートの延長

 実施予定は当初の2012年7月から12月に延期はされましたが、たばこ会社の反発は大きく、今後知的財産の侵害し、違憲だとして裁判に訴える動きがあるようです。

 また、TPPのISD条項(→ウィキペディア)で、今後豪州政府が訴えられるのではないかとの懸念も出ています。

米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか
(ダイアモンドオンライン エディターズチョイス2011.10.24)
http://diamond.jp/articles/-/14540

 これに対し、豪州保健相 Nicola Roxonは、

  • 将来、たばこのパッケージは、喫煙による重大な健康影響への影響を思い出させるものだけの役目を果たす。
  • 大手たばこ会社(big tobacco)は、何百万ドルもの広告キャンペーンなどの合的な手段で、政府と対抗することを明らかにしている。
  • しかし、政府は大手たばこ会社に屈することなく、オーストラリア国民の健康と幸福に最もよい利益になると考えている

などとした声明を出し、たばこ会社と対決する姿勢をあきらかにしています。(日本だったら、ここまで言うかな?)

Senate Passes World First Plain Packaging of Tobacco Legislation
(The Hon Nicola Roxon MP – Minister for Health and Ageing 2011.11.10)
http://www.health.gov.au/internet/ministers/publishing.nsf/Content/mr-yr11-nr-nr238.htm

関連情報:TOPICS
  2011.11.08 たばこ包装への警告写真義務化に待った(米国)
  2011.09.18 たばこ包装の新しいラベル案が示される(豪州)
  2011.04.11 たばこの包装にロゴはいらない(豪州)

参考:
UNDER FIRE: Big tobacco ready for plain packaging legal challenge
(news.com au 2011.11.10)
http://www.news.com.au/business/fired-up-big-tobacco-ready-for-plain-packaging-legal-challenge/story-e6frfm1i-1226192076925
Big Tobacco v Australia:
dangers looming in the Trans Pacific Partnership Agreement
(The Concersation 2011.07.07 AAP配信)
http://theconversation.edu.au/big-tobacco-v-australia-dangers-looming-in-the-trans-pacific-partnership-agreement-1943
朝日新聞11月11日(時事通信配信)
http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201111100162.html
日本経済新聞10月11日


2011年11月12日 14:36 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    21日、下院も可決し総督の同意を経て近く成立するそうです。

    米たばこ大手フィリップ・モリスのアジア法人(香港)は同日、業界側は知的財産権の侵害などとして、国連国際商取引法委員会の仲裁規則に基づいて法的措置の手続きを始めたと発表したそうです

    豪、たばこの箱から宣伝一掃 「世界初」の法案可決
    (47NEWS 11月21日 共同通信配信)
    http://www.47news.jp/CN/201111/CN2011112101002364.html

    一方、豪州保健相は大手タバコ会社に対し、オーストラリア議会の意志を受け入れるよう求めたステートメントを発表しています。

    Parliament Passes World First Plain Packaging of Tobacco Legislation(2011.11.21)
    http://www.health.gov.au/internet/ministers/publishing.nsf/Content/mr-yr11-nr-nr243.htm

  2. アポネット 小嶋

    8月15日、オーストラリアの連邦最高裁は、知的所有権の侵害などと主張してこの法律の無効確認を求めていた大手たばこ業者側の訴えを退け、違憲性はないとする判決を言い渡しました。これで、2012年12月からの規制実施が決まりました。

    反喫煙法で業者敗訴 宣伝一掃は適法と豪最高裁
    (共同通信 2012.08.15)
    http://sankei.jp.msn.com/world/news/120815/asi12081514020001-n1.htm
    http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012081501001865.html

    今回の判決について、豪保健相は歓迎のコメントを出しています。

    World Leading Plain Packaging Laws Given a Clean Bill of Health
    (2012.08.15)
    http://www.health.gov.au/internet/ministers/publishing.nsf/Content/mr-yr12-tp-tp070.htm