規制・制度改革に関する分科会中間とりまとめに抗議(中医協)

 16日開催に中医協総会で、診療側委員が連名で「調剤基本料の一元化」など、行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会が1月26日に了承した中間とりまとめに抗議する意見書を提示しています。

行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」の「中間取りまとめ」
(ライフイノベーションWG 関連部分)に対する意見書 2011年2月16日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000127vk-att/2r9852000001284g.pdf

 意見書では、「調剤基本料の一元化」として「次期診療報酬改定で調剤基本料を24 点に一元化することを検討する」と提案しているが、そもそも調剤基本料は40 点を基本とし、受付処方箋数が多く、特定医療機関からの処方箋の集中率が高い一部の薬局だけを例外的に低くして24 点に設定しているものである。それも24 点を算定している薬局は1%程度しか存在しておらず、残りの99%の薬局を「例外」の方に合わせて40 点から24 点に引き下げるという提案にはまったく合理的な根拠がない。万が一このような見直しを行った場合には、多くの薬局の経営が悪化し、国民に不利益をもたらすことが憂慮される。」と指摘し、今後予定されている厚生労働省との協議や、「規制仕分け」での議論に懸念を示しています。

資料:
第6回規制・制度改革に関する分科会(2011年1月26日開催)
配布資料:
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/subcommittee/0126/agenda.html
議事録(2月17日掲載)
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/subcommittee/0126/summary0126.pdf
会議後記者会見(2月17日掲載)
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/subcommittee/0126/interview0126.pdf

関連情報:TOPICS
  2010.12.24 ライフイノベーションWG、調剤基本料の24点への統一を求める(Update) 
  2011.02.17 第9回ライフイノベーションWG議事概要

参考:
中医協総会  基本料一元化案に抗議、「中医協の専権事項」
(日刊薬業WEBフリーサイト 2月16日)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226555415475.html?pageKind=outline
m3.com 医療維新2月16日(要会員登録)
http://www.m3.com/iryoIshin/article/132454/
医療介護CBニュース2月16日
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/32532.html

2月17日リンク追加


2011年02月17日 01:49 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    日医も16日の定例記者会見で、中間とりまとめに対する見解を明らかにしています。

    日医は、「ライフイノベーションWGには、社会保障の理念の下、「いつでも、どこでも、誰でも」同じ医療を受けることができる日本の優れた国民皆保険制度を守ろうという姿勢がみられない。」と指摘し、項目ごとの見解を明らかにしています。

    「規制・制度改革に関する分科会中間とりまとめ(案)」ライフイノベーションWGの検討項目に対する日本医師会の見解
    (2011年2月16日)
    http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110216_1.pdf

    私たちと関連の深いところでは、

    (調剤基本料の一元化)
    ・中医協で十分に議論し、結論を得るべきである。

    (一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和)
    ・利便性を重視した規制改革は慎重な対応をすべきである。
    ・一般用医薬品の販売に際しては、薬剤師が責任をもって情報提供するとともに、
     必要に応じて医師への受診勧奨をすべきである。
    ・インターネット販売は、過剰な宣伝が問題視されている健康食品等の販売にも利
     用されており、広告表示方法によっては購入者が医薬品との区別がつかないおそ
     れがある。さらに健康食品等と医薬品とは相互作用を起こすリスクもある。

    一方で日医は、

    「ライフイノベーションWGは、公的保険の適用範囲を再定義することが必要であるとし、また、セルフメディケーションを推進する必要があるとも述べている。

    公的保険の範囲を縮小し、セルフメディケーションを推進すれば、最終的には、国民は、医療を自費で自己責任で受けなければならなくなる。

    しかし、必要な医療を公平に受けられることこそが国民皆保険の基本である。

    日本医師会は、公的保険の範囲の縮小は断固として阻止し、国民皆保険の堅持と、公的保険範囲のさらなる充実を求めていく。」

    とも指摘し、安易なセルフメディケーションの推進には反対の姿勢を示しています。

  2. アポネット 小嶋

    日薬の17日の定例記者会見で、一般用医薬品のインターネット販売の規制緩和や調剤基本料の一元化に対して反対の立場を明らかにしています。

    規制・制度改革に関する日薬の対応方針
    (日本薬剤師会定例記者会見2011年2月17日)
    http://www.nichiyaku.or.jp/contents/kaiken/pdf/110217_1.pdf

    日薬では、保険調剤報酬の「調剤基本料の一元化」と称する大幅な引き下げは、地域の薬局の緩営基盤を揺るがすものであり、ひいては、超高齢社会に逆行して地域医療の崩壊につながるとして、次のような理由を掲げています。

    従来、調剤基本料は40点が基本であり、24点は例外で、それを24点に”一元化” という考え方は不自然。現実に全国の保険薬局の99%は40点であり、24点はわずか1%にすぎない。例外である1%に99%を合わせるなど暴論といわざるを得ない。

    “一元化”の根拠とされるデータは全国保険薬局数約5.5万件のうち21件(2003年)、同63件(2004年)という極めて少数の薬局に対する、7~8年前の調査であり、かつ、どのような薬局を調査したかの説明もない、全く根拠薄弱なものであり、統計的な意味はほとんどない。加えて、WGの報告書の記載は、WGの主張に都合のよいところだけを取りあげた、極めて恣意的ななものである。