第1回チーム医療の推進に関する検討会

 8月24日のTOPICSで紹介した「第1回チーム医療の推進に関する検討会」が,28日開催されています。

第1回チーム医療の推進に関する検討会(2009年8月28日開催)
  資料:http://www.mhlw.go.jp/za/0828/c19/c19.html
 議事録:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/08/txt/s0828-6.txt

 第1回検討会では,慶応大学看護医療学部教授の太田喜久子氏が,平成20年度に行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究として行った「医師と看護師との役割分担と連携の推進に関する研究」でわかった,医師と看護師との役割分担と連携についての先行事例を紹介しています。(スライド〜PDF:6914KB)

 私は病院薬剤師ではありませんが,スライドを見ていて,糖尿病など薬剤の効果の確認は看護師ではなく十分経験を積んだ病院薬剤師でも可能な部分があるのではないかと思いました。このスライドで薬剤師の名称が出てくるのは麻薬に関する部分であることを考えると,看護師にとって病院薬剤師は,薬の管理と情報の提供さえ行っていればよいとしか考えていないように思えてなりません。(やっぱり,看護師の業務拡大のための検討会?)

 検討会では,「チーム医療を明確に定義する必要がある」などの意見も出されたとのことで,チーム医療における病院薬剤師の役割も明確化されることを期待したいと思います。病院薬剤師からのヒアリングは注目ですね。(責任重大ですね)

 今後,学者や医療関係者などからヒアリングを重ね,年度内に報告書をまとめる方針とのことです。

関連情報:TOPICS
  2009.08.24 28日、チーム医療の推進に関する検討会が開催
  2009.01.07 専門薬剤師 vs 専門看護師
  2008.12.28 「新しい業務」の展開には、まず現況調査が必要
  2008.09.22 看護師による薬剤の処方は有用(日本学術会議提言)

参考:CBニュース8月28日(一定期間を過ぎるとログイン必要)
    http://www.cabrain.net/news/article/newsId/23993.html


2009年08月29日 01:10 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    10月1日、議事録が厚労省ウェブサイトに掲載されました。(元記事でリンク)

    やはり、今回の検討会は看護師による取り組み事例の紹介ということを差し引いても、今後の検討会の目的は何なのかという疑問が委員から出ています。

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    有賀徹委員(昭和大学医学部救急医学講座教授)

    内科のドクターの代わりに、場合によってはナースが踏み込んできているのではないか。

    そのようにみていくと、チーム医療の推進とは言うものの、資料を見ていると、ナーシングスタッフが局面によっては足りない医療資源の穴埋めをしてくれという形で話を進めることになるのかなという気がしないでもないのですが、専門性の高いナースが現場において大変良いことをしてくれるという話は私もよく分かりますから、それはそれでいいのですが、チーム医療と言ったときに、ナースやドクターだけでなくて、その他の職種もたくさんありますので、そこはどうなってしまうのかなと。

    羽生田俊委員(日本医師会常任理事)

    チーム医療を病院の中でと言いましたけれども、座長も言われたように、病院の中だけではないのです。地域で、薬剤師あるいは歯科衛生士とのチーム医療というものも存在しますので、これは病院に限った話ではないということをまず前提としていただきたいのです。

    それから、チームですから、チームを作る場合には必ずキーマンが必要になる。誰が責任をとるかというのは必ず必要になるという中で、いろいろな職種が集まったときに、いろいろな職種の中で責任をとる立場にあるべき人、チームの中での責任者は医師であろう。患者1人に対してチームで医療を推進していく場合には、誰かが責任者にならなければいけないという中では、医師が責任者としてチームをリードしていくべきであろうという気がしています。

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    専門看護師や認定看護師は、医師の指示がなくてもこんなことができるという議論の方向に釘がさされているようにも思われます。

    また、患者の経過観察は看護師だけが行い、病院薬剤師はサポートだけで十分ともとれるような印象です。

    いずれにせよ、薬剤師が他職種との連携を実際にどのような行っているかの具体例をできるだけ多くこの検討会で示すことが必要でしょう。日薬(日病薬)のがんばりに期待します。

  2. アポネット 小嶋

    太田喜久子氏がスライド(資料5→PDF 6.9MB)で概要を説明した、平成20年度に行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究「医師と看護師との役割分担と連携の推進に関する研究」が、厚生労働科学研究成果データベースで見ることができるようになりました。

    厚生労働科学研究成果データベース
     http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIFL00.do

    上記ページから、平成20年度の「行政政策研究分野」をクリックし、さらに「厚生労働科学特別研究 」を選択してクリックすると、研究報告書一覧(200805006A)が出てくるので、これを選択してクリックして下さい。

    全332ページを20ページづつに分割し、PDFで全文が掲載されています。

    ざっとしか読んでいませんが、やはり臨床薬剤師(専門薬剤師)がいなくても専門看護師がいれば、医療の質が上がるという論調です。

    また、医療過疎地における無薬局(採算優先で設置できないか・・・)や薬剤師の不在問題も考えさせられます。

    こういった報告書を見ると、薬剤師はもっと地域やコミュニティでの活躍の場(特に疾病予防・保健活動)を模索する必要があるのではないかと感じます。(保険調剤業務の遂行に時間が割かれて無理か・・・)

    病薬も同様の研究報告書をまとめて、広く一般にアピールする必要がありそうです。