規制改革会議、医薬品通信販売の規制等に対し再検討を要請

 28日,規制改革会議(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/)は,6月1日から6月30日まで実施した集中受付月間において寄せられた「全国規模の規制改革要望」についての関係省庁からの第1次の回答をに対し,再検討要請事項を公表しました。

全国規模の規制改革要望に対する各省庁からの回答への再検討要請について【発表資料】
 (規制改革会議 2009年8月28日,厚労省のエクセルファイルをご覧下さい)
 http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/accept/200906/0828/index.html

 この中には,一般用医薬品の通信販売や登録販売者試験の受験資格要件等についての項目が含まれています。厚労省は薬事法等に従い,通信販売の見直し等は行わないと回答していますが,これに対し規制改革会議では,下記の様に厚労省に対して,再検討するよう要請しています。(再回答は後日公表されます)

求める措置の具体的内容
(提案主体名)
再検討要請の内容
(厚労省の回答は元資料をご参考下さい)
平成21年5月29日発令の通知(「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の施行について」(平成21年5月29日薬食発第0529002号医薬食品局長通知)、参考:薬局及び店舗販売業の店舗が存しない離島)は、ただちに撤回されるべきである。
((株)ケンコーコム/NPO法人日本オンラインドラッグ協会)
○ 厚生労働省の回答において、なぜ対面で情報提供を行わなければ安全を確保できないかという点についての合理的な説明は何らなされていない。
○ これまでにインターネット販売に直接起因して発生した健康被害や副作用は確認されておらず、店舗販売に比較してインターネット販売が著しく危険であることを示す客観的な事実も示されていない一方で、規制によって多くの消費者や薬局・店舗が甚大な被害を被っているにもかかわらず、このような規制を継続する科学的かつ合理的な理由を説明していただきたい。
○ 厚生労働省は、対面販売と比較してインターネット販売は危険であるという理由で自ら第3類以外の医薬品のネット販売を禁止している一方で、離島居住者および継続使用者に対して第2類医薬品のネット販売を認めるのは矛盾ではないか。離島居住者および継続使用者のネット販売を認めた結果、むしろネット販売においても医薬品の安全・適切な選択使用を確保できること、少なくともネット販売が重大かつ致命的なリスクを抱えていないことを自ら認めたも同然ではないか。
現行省令のうち、第3類以外の医薬品のインターネット販売を一律に禁止する部分(改正薬事法施行規則第15条の4、第142条(準用)、第159条の14〜17、附則第23条〜第30条(厚生労働省令第10号、厚生労働省令第114号))は、撤回されるべきである。
((株)ケンコーコム/NPO法人日本オンラインドラッグ協会)
○ 厚生労働省の回答は、店頭販売に比べてネット販売が3つの点で問題があるとするが、これらは後述の理由で合理性がないと考える。厚労省は、なぜこれら3点が問題と考えるのか、合理的な理由を示すべきである。
1.「購入に当たって医薬品を示しながら説明等を行うことができないこと」とあるが、そもそもなぜ問題であるのか。サイト上には通常医薬品の画像が掲載されているし、医薬品を示さずとも適切な情報提供を行うことで、購入者による医薬品の安全・適切な使用を確保することは可能である。
2.「購入者が情報提供を求めた場合の対応に時間を要すること」とあるが、情報提供を求めた場合の対応に(店舗による対面販売と比較して1日程度多く)時間を要することで、なぜ医薬品の安全・適切な選択使用を確保できないといえるのか。ネット販売においても、リアルタイムでの情報提供は、電話や電子メールを活用すれば可能であるが、一方でネット販売においては、情報提供に厳格な即時性を求めていない購入者も多くいる。いつどのような方法で情報を入手したいかは、購入者が自ら選択可能とすべきではないか。
3.「購入者側のその時の状態を把握することが困難であること」とあるが、対面でないからといって購入者側のその時の状態が把握できないとはいえず、また対面であっても購入者側のその時の状態が把握できるともいえない。そもそも購入者側のそのときの状態を把握する目的は、医薬品の安全・適切な選択・使用を確保する点にあるが、ネット販売においても、サイト上で豊富に提供される情報の閲覧、システム的に導入された問診への本人による回答、電話やメール等による本人の専門家に対する相談によって、当該購入者の医薬品の安全・適切な選択・使用を確保することは可能であるし、現に弊社はそのような方法で情報提供を行っている。一方で、対面であっても家族や会社の部下、介護ヘルパーなどが代理で購入する場合、当該代理人が使用者の状態や既往歴、既往症など正確に把握しているとはいえず、医薬品の安全・適切な選択・使用を確保するための情報提供がどの程度可能かははなはだ疑問である。また仮に適切な情報提供がなされたとしても、当該代理人が提供された情報を正確に使用者に伝えられるかについても大いに疑問がある。
第3類以外の医薬品のインターネット販売を一律に禁止するのではなく、一定の安全性を確保しながらインターネットで医薬品を販売するための方法を早急に定め、医薬品のインターネット販売を再開させるべきである。そのために、医薬品のインターネット販売を行う事業者やインターネットを利用して医薬品を購入する消費者、行政法学者などを構成員に含めた検討会を設置し、そのあり方の検討を開始すべきである。
((株)ケンコーコム/NPO法人日本オンラインドラッグ協会)
○ 厚生労働省も指摘するように、国民のライフスタイルは多様化しており、かかる国民の様々なニーズに答える必要があるはずである。厚生労働省として医薬品の購入手段を一方的に制限するのではなく、消費者自身が対面かネット、電話等の情報通信技術を活用するかを選択できるようにするのがベストである。パブリックコメントに寄せられたように、今回の規制によって、離島居住者とか特定の時点における特定の医薬品の継続使用者のみの医薬品の入手が困難になったわけではない。厚生労働省は、近くに薬局・店舗があるかないかに関わらず、多様化したライフスタイルの中で、店舗における医薬品入手困難者は多数存在することを再認識し、かかる消費者の実態を的確に把握して対応を検討するのが肝要ではないか。
○ 2年後にはさらに、離島居住者も継続使用者も必要な医薬品を入手できなくなる。そうならないためにも、可及的速やかに検討会を設置し、ネット販売における情報提供のあり方をはじめとするルール作りを開始すべきである。
○ 今日現在、少なくとも第3類医薬品についてはネット販売を適法に行うことができるが、ネット販売に関するルールは整備されているとは言い難い。かかる観点からも検討会は早急に設置されるべきである。
 消費者の利便性と安全の確保の両立を図った上で、第3類以外の一般用医薬品についても広く通信販売が可能となるような提供方法を検討し、薬事法施行規則を再改正すべきである。
((社)日本経済団体連合会)
「郵便等販売については、このことが確保される状況にはない」とあるが、この指摘を裏付ける合理的な理由・状況を明らかにしていただきたい。
また、「郵便等販売を含む一般用医薬品の販売制度については、その周知徹底を図り、定着させていくことが最優先である」とあるが、新制度の周知徹底とともに、引き続きその制度の見直しも同時に進めるべきである。
インターネットを含む通信販売による一般用医薬品の販売規制について、第2類の一般用医薬品等も販売できるよう規制を緩和すべきである。
(日本商工会議所)
一般用医薬品の通信販売は、薬局に行き購入することが時間的、地理的制約により困難な消費者にとって大変利便性が高く重要なものであるとともに、立地により商圏が限定されている中小薬局のビジネスチャンスでもある。
現在、離島と継続使用者に対する経過措置が講じられているが、経過措置による購入者の安全上の問題の有無などを検証したうえで、通信販売でも安全を確保できる販売ルールについて早期に検討いただきたい。
平成21年2月6日公布の「薬事法施行規則等の一部を改正する省令」において、郵便等販売(いわゆる通信販売)を行うことができるのは第3類医薬品のみに限定され、そのほとんどが第2類医薬品である伝統薬の郵便等販売が禁止されることとされた。その後、2年間の経過措置を盛り込んだ改正省令が施行されたが、経過措置に拘りなく、従来通りの通信販売が継続できるようにすること。
((社)九州経済連合会)
地域には、従来認められていた通信販売を前提としたビジネスを展開している薬局や薬店もあり、改正薬事法の施行により売上げが減少している。
立地により商圏が限定されるビジネスでは経営努力にも一定の限界があり、通信販売に依存してきた地域の薬局や薬店では、廃業に追い込まれる可能性もある。
このことは、地域の医薬品製造販売業者においても同様で、自らの製造医薬品を、直接、需要者に通信販売してきた業者にとっては、これまでのビジネスの道を閉ざされ、廃業を余儀なくされることにもなり、結果として、その承認医薬品は消滅することになる。
現在、離島と継続使用者に対する経過措置が講じられているが、経過措置期間中に購入者の安全上の問題の有無を、早急に国の審議会あるいは中立的な機関などで検証していただきたい。
安全性が確認された場合、速やかに通信販売が継続できるよう販売規制を緩和して頂きたい。
平成21年2月6日公布「薬事法施行規則等の一部を改正する省令」により、第2類医薬品は、購入の都度、対面販売となる。 (平成21年5月29日通知「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の施行について」により、継続使用者及び離島居住者には2年の経過措置あり)
医薬品の安全な提供については、「対面のみ」と範囲を狭める方針は撤回し、第2類医薬品も従来通りに郵便等で販売できるように要望する。
((株)八ツ目製薬)
厚生労働省は、対面販売でないと安全性が担保できないと主張する。一方、服用者の代理人が購入することは認めており、貴省が主張する法改正の主旨と整合性がとれていない。また、代理人の条件は設けられておらず、薬剤師又は登録販売者が医薬品を販売する際に、購入者が、服用者本人か、代理人かの確認を行なわなくても販売が可能になっている。貴省は、服用者本人の知人同僚が店舗で対面により、登録販売者から情報提供を受け、代理購入する方が、服用者本人が電話等で薬剤師から直接情報提供を受けるよりも安全確保が高いとの見解だが、服用者本人でない者に対面販売する方が、安全性の確保が高いとする根拠をご提示頂きたい。特に伝統薬や漢方薬、生薬製剤にいたっては、専門的な知識を有する薬剤師が、服用者本人との電話等による直接的な対話により、情報提供、相談応需を行い、販売する方が、遥かに安全性が高いと考える。貴省の今回の法改正は、過去から行われてきた実状の調査を一切行わず、形式的な検討会を行い、尚且つ、貴省の一方的な判断により行われたものであると確信する。
弊社の江戸時代からの伝承薬は第2類医薬品であるが、平成21年2月6日に公布された「改正薬事法に基づく改正省令」により郵便等販売が第3類医薬品のみに限定されたために、新規顧客への通信販売できなくなり、大きなダメージを受けている。医薬品の安全な提供については「対面のみ」と範囲を狭める方針は撤回し、第2類医薬品も従来通りに郵便等で販売できるようにすること。
((株)日野製薬)
前回の提案理由の中で「高齢化社会を迎え、外出が困難な人が増えつつある中で、購入手段を一方的に規制するのは、憲法第25条からみて、正しい法令であるかは大いに疑問である。」と主張したが、このことに対する回答が含まれていない。憲法25条に違反していない根拠を明確にすること。明確にできない場合は、憲法違反していることになるので、速やかに、医薬品の安全な提供については「対面のみ」と範囲を狭める方針は撤回し、第2類医薬品を郵便等で販売できるようにすること。
平成21年2月6日公布「薬事法施行規則等の一部を改正する省令」により、第2類医薬品は、購入の都度、対面販売となる。 (平成21年5月29日通知「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の施行について」により、継続使用者及び離島居住者には2年の経過措置あり)
漢方薬について、初回、店頭販売を行った上で、2回目以降の電話相談による郵送販売の継続を期間を限定せずに可能とするように要望する。
(漢方薬など医薬品の郵送販売継続を守る会)
回答について、「薬剤師又は登録販売者が対面で情報提供を行って販売する」ことで「医薬品の安全・適切な選択使用を確保する」という見解ですが、この点に関して疑問があります。第1類医薬品では、薬剤師による書面での情報提供が義務付けられていますが、第2類医薬品では、これは努力義務となっており、購入の際の必須事項ではありません。さらに第1類・2類を問わず、購入者が情報提供の必要がない旨を販売者に言えば情報提供の必要はないとされています。また、ドラッグストアなどの店頭では、購入者を記録する義務もないため、どの薬が、何時、だれに売られたかという点については一切不明な状態で医薬品が販売されています。さらに、購入者は、本人でなく代理人でも構わないので、販売店の薬剤師又は登録販売者が医薬品を服用する人の状況を把握できないまま販売するケースも多々あると考えられます。
対面販売がこのような状態で行われている一方で、漢方薬の郵送販売に場合は、購入者は、最初に、店頭で十分に時間をかけて、対面販売し、購入者の症状・薬歴・病歴など詳しく伺った上で薬を販売しています。また、いつどのような薬を販売したかという点についても患者ごとに記録を残しています。その上で、その記録を元に継続服用を希望される患者に送っています。
この両者を考えた時に、対面さえすれば医薬品販売における安全性が確保されるとするのは、矛盾が大きいといわざるを得ません。
ほとんどの医薬品は、対面販売といっても、既往症や薬歴のチエックもせず、さらに購入者は代理人で構わないとするなら、服用者の情報が全くないままに販売され、販売後のフォローもない状態で販売されていることになります。ドラッグストアなどの店頭で、2、3分の応対の中で、また、相手を特定できない状況で、どのくらい安全適切な医薬品の選択・使用ができるのでしょうか?
このような販売方法に比べて相手の情報をしっかりと持ったうえで、服用者本人とコミュニケーションして直接薬を送ることが、安全性において劣るとは思えません。
この矛盾を抱えたまま、多くの高齢者や雪国・へき地・離島にお住まいの方、障害者やその家族といった方の漢方薬を継続して服用するための大きな手段を奪うことに本当に意味があるのでしょうか?
もし、安全性を担保するという理由で、現状の第3類以外の医薬品の郵送販売が認められないとするなら、対面販売においても、しかるべき販売記録の保持、(販売した医薬品及び住所氏名等の記録)は行うべきではないかと考えます。もしそれを行わないとするなら、この郵送販売規制は、妥当性を欠くものではないかと考え、再度見直しが必要と考えます。
薬事法施行規則第159条の5第2項6号、1〜6に該当する者と同等以上の知識経験を有すると都道府県知事が認めた者の該当者について、現行該当者の他に、医療国家資格者を追加していただきたい。(国家資格を有する医療従事者は、学校教育において解剖学・生理学・病理学・衛生学等を共通に基礎専門学科として履修しその上で専門職としての専門学科を履修するようにカリキュラムが編成されており、登録販売者に求められる資質は充分に備えています。看護師・柔道整復師・歯科衛生士・などのパラメディカルスタッフなどを受験資格適応者に含めることにより登録販売員資質向上の一因にも繋がると考えます。)
(個人)
1.登録販売者は、購入者等の状況を観察し、又は聞き出し、その状況を踏まえて、必要な情報提供又は相談対応を行うことにより、購入者等の適切な一般用医薬品の選択を支援する役割を担っているとの回答について、柔道整復師は施術において患者の主訴を基に現任されている問診・視診などの判断により施術を行い、施術後の支援相談も行っている。よって、このスキルは登録販売者に応用できる。
2.役割をしっかりと果たすことができるようにするためには、あらかじめ、専門家である薬剤師又は登録販売者の管理・指導の下、受験資格として実務経験を積むことを通じて実践的な資質を身につけている必要があるとの回答について、実践的自主講習会(医師・薬剤師などによる、例:30時間)などで対応できる。
3.医療系資格の免許に基づく実務経験は、登録販売者試験の受験資格として求められる実務経験としては認められないとの回答について、前記のような実践的自主的講習会などにより実務経験に対応できる。現行の登録販売者の基礎医学知識に対し、柔道整復師は、学校教育において解剖学・生理学・病理学・衛生学等の基礎医学を履修しており国民の衛生水準の向上に貢献できる。登録販売者の能力到達度は、知事試験の合否によるものであるから、受験資格者は多い方が資質向上に繋がる可能性を秘めていると解する。よって、柔道整復師などを受験資格者に加えて頂けますよう再提案いたします。

 折しも,「消費者の立場にたった政治」を行う民主党が政権を担った今,今回の規制改革会議の再検討要請について,どのような対応や方針が示されるか注目です。

関連情報:TOPICS 2009.08.17 政権交代で医薬品の通信販売の規制緩和は不可避?


2009年08月31日 18:08 投稿

コメントが3つあります

  1. 登録販売員・・・柔術整体師や鍼灸師 マッサージさんと拡大していくのでしょうね。漢方薬を中心に売りたいそうです。確かに 漢方の基礎である経絡を学んでいる鍼灸師さんに比べると 薬学部を出ただけでは 負けますよね。ドラッグの事務の仕事をしていても受験していますからね。
    ネット販売も 消費者にしたら便利。
    薬の監視人として 考えてみたら いかがでしょう?
    不正な使い方 不適切な使い方 それによって被害が出たら 当然 販売した側にも責任を持ってもらいましょう。これが 消費者の基本的な考え方であるという覚悟を 監視です。
    今 大手メーカーだけが供出している副作用被害救済。
    もっと拡大して 使い方の間違いで起きた副作用被害も救済です。
    当然、売っている業者全体の責任。ネット業者も マッサージやさんも。製造業者はもとより。
    三木谷さんたちのような中間的放置業者も責任の一端は持ってもらいましょう。当然です。
    消費者保護ですから。
    医薬品である限り 副作用被害救済供出の重さを抱えるべきだと思います。
    疑いのあるものは全て副作用の時代ですから 伝承薬も例外ではないのです。
    医療用との相互作用についても情報伝達が不備な分も 責任があると考えて欲しいものです。
    そして、それらの監視役。薬剤師が一番相応しいですよね。きっと。

  2. アポネット 小嶋

    登録販売者試験の資格要件緩和の要望について,提案者は次のような提案理由を示しています(一部示しましたが全文を紹介します)。

    現薬事法施行規則第159条の5第2項6号の登録販売者の受験資格者に、免許に基づく実務1年以上の医療国家資格者を加えていただけますよう、ご検討御願い申し上げます。介護保険での中核をなす介護支援専門員(ケアマネ)の受験資格者については、広く現行の医療・保健・福祉の国家有資格者(21業種)のマンパワーを国民のために活用なさいましたように、登録販売員の受験資格者においても、医療従事者などを活用されてはいかがでしょうか。現に看護師などは医師の指示において、歯科衛生士は歯科医師の指示において医療現場で薬剤を取り扱っており、柔道整復師も業務範囲内において許された湿布剤などを扱っているところです。国家資格を有する医療従事者は、学校教育において解剖学・生理学・病理学・衛生学等を共通に基礎専門学科として履修しその上で専門職としての専門学科を履修するようにカリキュラムが編成されており、登録販売者に求められる資質は充分に備えています。看護師・柔道整復師・歯科衛生士・などのパラメディカルスタッフなどを受験資格適応者に含めることにより登録販売員資質向上の一因にも繋がると考えます。つきましては、国民のためにマンパワーを幅広く活用されることをご提案いたします。尚、現行の1年以上の販売実務経験条件に対応させるべく、医療国家資格者は免許に基づく実務1年以上などの条件などを併せてご提案致します。

    これに対し,厚労省は次のような回答を行っています。

    ○ 登録販売者は、購入者等の状況を観察し、又は聞き出し、その状況を踏まえて、必要な情報提供又は相談対応を行うことにより、購入者等の適切な一般用医薬品の選択を支援する役割を担っている。登録販売者は、その役割を適切に果たすことを通じて医薬品の販売等に関し保健衛生上の問題が生じることを防止するものであり、看護師や歯科衛生士など、薬剤師を除くその他の医療系資格取得者とはその役割が明確に異なっている。
    ○ 登録販売者は、試験に合格し都道府県に登録後、すぐに一人でも、店舗販売業又は配置販売業の許可を受けた店舗等で医薬品を販売等することができる。そのような場合にも、その役割をしっかりと果たすことができるようにするためには、あらかじめ、専門家である薬剤師又は登録販売者の管理・指導の下、受験資格として実務経験を積むことを通じて実践的な資質を身につけている必要がある。
    ○ 登録販売者として業務を行うに当たっては、医薬品の販売等の現場において、医薬品の取扱いを知ることのほか、購入者等からの要望を聞きそれを専門家に伝えて応答の仕方を知ることなどを通じて座学では習得しにくい知識を身につけ、かつ、習得した知識の実践への生かし方を学ぶことが必要である。
    ○ これらの実務経験は、看護師等その他の医療国家資格者が、その職務の中で得られる諸経験とは全く性質を異にするものである。したがって、医療系資格の免許に基づく実務経験は、登録販売者試験の受験資格として求められる実務経験としては認められない。

    厚労省としては当然の回答ですね。

    今回の要望は,接骨院か鍼灸院の方が治療効果を高めたり,経営の原資とするために漢方薬を販売することを念頭に提案したのではないかと想像しますが,伝統医学で治らない場合には,その時点で専門家に紹介するのが本来あるべき姿です。

    規制改革会議は,規制緩和で医薬品産業の活性化をも考えていると思いますが,くすりは本来「専門家の助言の下,必要な人が必要なだけ使う」というのがあるべき姿です。実践的な資質が30時間程度の実践的自主講習会で身につけられるという規制改革会議の考えも同意できませんね,

  3. アポネット 小嶋

    厚労省は,上記再検討事項に関して回答を行っています。従来通りの見解でした。

    全国規模の規制改革要望に対する各省庁からの再回答について【発表資料】
     (規制改革会議 2009年9月4日,厚労省のエクセルファイルをご覧下さい)
     http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/accept/200906/0904/index.html

    このうち,登録販売者試験の資格要件については,

    「登録販売者試験は,医薬品に関する基礎知識を基に,実際に登録販売者として情報提供及び相談応需を行えるかどうかを問うもの,すなわち実践的な資質を確認するものである。そして,こうした実践的な資質を確認するに当たっては,その前提として,薬剤師や登録販売者による情報提供及び相談応需を学ぶことを通して,医薬品の販売等の現場において知識の実践への生かし方などを学ぶ必要がある。柔道整復師が学校教育において履修する基礎医学等の知識は,医薬品の販売等の現場において得られる実務経験から得られる実践的な資質と同等でないことは自明である。」と回答しています。

    また,新たな検討会などの設置は現時点では考えていないとの回答も行っています