小児用OTC風邪薬は4歳未満に与えてはいけない(米国)

 米国の大衆薬の業界団体のCHPA(Consumer Healthcare Products Association)は7日、小児用OTC風邪薬・咳止め薬について、「4歳未満には使用しない」等とするラベル変更(自主変更)を行うと発表しました。

Statement from CHPA on the Voluntary Label Updates to Oral OTC Children’s Cough and Cold Medicines(CHPA 2008.10.7)
 http://www.chpa-info.org/10_07_08_PedCC.aspx

 2日に行われた公聴会(TOPICS2008.10.3)では、安全性を強調したCHPAでしたが、一転して誤用や過量服用によるリスクを認めて今回の措置を発表を行ったことで、米国で驚きをもって受け止められています。(一部報道ではすでにFDAでは、今回のCHPAの対応についてはすでに把握していたようですが)

 CHPAのプレスリリースによれば、今後これらのOTC薬は、「4歳未満は使用しないこと( “do not use” in children under four years of age)」にラベルを変更するとともに、特定の抗ヒスタミン薬を含有するものについては、「子どもを静かにさせたり、眠らせたりするために使ってはいけない(warns parents not to use antihistamine products to sedate or make a child sleepy.)」という文言を新たに加えるとしています。

 6歳未満の使用禁止を訴えていた小児科医の団体からは、今回のCHPAの措置について歓迎の声が上がっていますが、一方でさらに6歳未満にまで引き上げを求める声もあります。 

 CHPAでは、今シーズンに販売されるものからラベルを変更したものを供給するとしていますが、FDAの指示がないとして現時点で旧包装品の回収は行わないとのことです。

 日本では、厚労省医薬食品局安全対策課が2008年7月4日に、2歳未満の用法を有する一般用かぜ薬・小児用(内用)、鎮咳去痰薬(内用)、鼻炎用内服薬について、[用法及び用量に関連する注意]の項に 「2歳未満の乳幼児には、医師の診療を受けさせることを優先し、止むを得ない場合にのみ服用させること。」を追記するよう、日本製薬団体連合会を通じて 製薬企業に対し使用上の注意の改訂指示が行われています(TOPICS2008.7.5)が、海外のように「服用させないこと」との表現とはしなかったこと、使用上の注意の改訂指示に留まったこともあり、現場では「使用上の注意の変更」についてすらメーカーや卸、関連団体などからほとんど伝えられていません。(当然、一般消費者にも当然周知が行われていない)

 日本では、来年6月から予定されている薬事法ではこれら抗ヒスタミン薬は第二類となっており、特別注意が必要な「指定第二類」(現在、指定第二類のリスク分類については、パブリックコメントを実施中)ではありません。本来であれば英国や豪州などのように、年齢によってリスク分類を変えられればよいのですが、わが国ではそういった仕組みはありません。

 この際、これら抗ヒスタミン剤を含むOTC薬は指定第二類に指定し、販売時にこういった注意喚起など(前立腺肥大の悪化なども含む)を図るべきではないでしょうか?

関連情報:TOPICS
  2008.10.08 子ども用OTC風邪薬、さらなる規制には検討が必要(米国)
  2008.07.05 2歳未満はOTC風邪薬は使用せず受診を
  2007.10.12 小児用OTC風邪薬・咳止め薬、自主回収へ(米国)
  2008.09.17 薬事法施行規則等に関するパブリックコメント

参考:Drug Companies: No Cold Medicines for Kids Under 4
  (ABC NEWS 2008.10.7 AP配信)
  http://abcnews.go.com/Health/wireStory?id=5973296
Drug Companies Say No Cold Meds for Kids Under 4
  (Healthday 2008.10.7)
  http://www.healthday.com/Article.asp?AID=620113
Pediatric OTC Cough and Cold Remedies Should be Shunned in Toddlers
  (Medpage TODAY 2008.10.8)
  http://www.medpagetoday.com/Pediatrics/GeneralPediatrics/tb/11213


2008年10月08日 10:49 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    米FDAは8日、今回のCHPAの自主的なラベルの変更についてのステートメントを発表しています。

    FDA Statement Following CHPA’s Announcement on Nonprescription Over-the-Counter Cough and Cold Medicines in Children(FDA 2008.10.8)
      http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2008/NEW01899.html

    FDAでは、CHPAの自主的なラベル変更を支持するとともに、FDAとしてもこれらの製品の安全と有効性を評価し、成分・用量について改訂し続けるとしています。

    また、親や保護者に対して、用法用量を守り、使用上の注意をよく読んでから使用することや、いかなる場合でも大人用のものを子どもに与えないこと、少しでも疑問やわからないことがある場合には、医師または薬剤師に相談するよう呼びかけています。

  2. アポネット 小嶋

    CHPAが自主的に行うとした今回のラベル変更ですが、10日に配信されたAP通信の記事によれば、当初禁止すべきと言われていた6歳未満ではなく4歳未満としたのは、FDAの助言があったからだと伝えています。

    Limit on cold remedies for kids was FDA’s idea(AP 2008.10.10)
     http://ap.google.com/article/ALeqM5iIEfm2CE9PL72XmlQGIhaB9fmlTAD93NT2CG0

    AP記事によれば、CHPAはの今回の決定について、「CDC(疾病管理予防センター)がまとめたデータを分析した結果、禁止は4歳未満が妥当」としたFDAの意見を取り入れたものだったことを認めていて、事実上FDAの見解であるということになります。

    今回の4歳未満禁止とした根拠に疑問を持つFDAの外部専門委員も少なくなく、まだまだ、この問題は波紋を呼びそうです。