6歳未満に風邪薬・咳止め薬は与えられるべきではない(豪州)

 OTC風邪薬や咳止め薬については現在、カナダ(2008.12.08)、英国(2010.11.10 Update)、ニュージランドでは6歳未満、米国では2歳未満(業界自主規制では4歳未満)の小児では使用すべきでないとされていますが、15日、豪州当局のTGAもレビュー結果を発表(パブコメを開始して(TOPICS 2009.10.23)実に3年近く経っているけど)、これを踏まえ、6歳未満は使用禁止、6歳~11歳は医療専門職のアドバイスの下に使用することを決めています。(2012年9月より順次実施)

OTC cough and cold medicines for children – Final outcomes of  TGA review
(TGA 2012.08.15)
http://www.tga.gov.au/industry/otc-notices-cough-cold-review-outcomes.htm

Children’s cough and cold medicines – TGA advice
(TGA 2012.08.15)
http://www.tga.gov.au/consumers/information-medicines-cough-cold.htm

日本語訳概要(海外公的機関 医薬品安全性情報 2012.09.13)
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly10/19120913.pdf#page=12

 Cough and cold medicine alert for parents
(豪保健相メディアリリース 2012.08.16)
http://www.health.gov.au/internet/ministers/publishing.nsf/Content/mr-yr12-ck-ck041.htm

 TGAのレビューによれば、差し迫ったリスクはないものの、ベネフィットは限られ、潜在的なリスクがあるとして、次のような対応を行うことを明らかにしました。

  • Children under 6 should not be given medicines to treat cough and cold symptoms.
    6歳未満の子どもに、咳や風邪症状を治療するために、医薬品を与えられるべきでない。
  • Children aged 6-11 should only be given medicines to treat cough and cold symptoms on the advice of a doctor, pharmacist or nurse practitioner.
    6-11歳の子どもに、医者、薬剤師または看護師のアドバイスの下でのみ医薬品が与えられるべきである。
  • If a cough and cold medicine is indicated for children aged between 6 and 11 years, the correct dosage should be included on the label to avoid guesswork.
    6-11歳の子どもに、風邪薬や咳止め薬を与えるときは、ラベルに従って指示された量をきちんと服用させること。
  • Cough and cold medicines should be in child-resistant packaging.
    風邪薬や咳止め薬はチャイルド・レジスタンスの包装にすべきである。
  • Particular efforts should be made to inform consumers and health professionals that children under 6 should not be given cough and cold medicines.
    消費者や医療専門職に対し、6歳未満の子どもに風邪薬や咳止め薬が与えられるべきではないことを知らせる個別の取組が必要である。
  • There is no need to change the scheduling of these medicines or their availability through pharmacies or other retail stores.
    薬局または小売店における入手方法やscheduling(医薬品の分類)の変更は(現時点では)必要とされない。

 レビューでは関係団体の意見書なども示され、業界団体の一部からは反対の意見も示されましたが、結局、他の国と足並みをそろえることになりました。

 ラベルが変更され、6歳未満の子どもの使用ができなくなるのは、下記成分を1種類でも配合されたものです。

鎮咳薬 コデイン、ジヒドロコデイン、デキストロメトルファン、pholcodine、pentoxyverine
去痰薬 グアイフェネシン、ブロムヘキシン、塩化アンモニウム、トコン(ipecacuanha)、セネガ、アンモニア
鼻粘膜充血除去薬 プソイドエフェドリン、フェニレフリン、oxymetazoline、xylometazoline
抗ヒスタミン薬 クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、フェニラミン、brompheniramine、doxylamine、triprolidine、dexchlorpheniramine

  さて、日本ですが、米FDAでコデインの有害事象の問題も明らかになったばかり(TOPICS 2012.08.16)ですし、果たして対応はこのまま(TOPICS 2009.11.11)でよいのでしょうか?

関連情報:TOPICS
 2012.08.16 コデイン類配合小児用かぜ薬は指定第2類でいいのだろうか?
 2012.04.19 見直しませんか、いわゆる“かぜ薬”
 2009.11.11 小児用OTC風邪薬、添付文書の変更に踏み込まず
 2009.10.23 OTC子ども用風邪薬、薬剤師の管理下での販売が必要(豪州)
 2009.10.08 6歳未満に風邪薬・咳止め薬は与えられるべきではない(NZ)
 2009.05.12 OTC小児用風邪薬・咳止め薬のさらなる注意喚起は見送りへ
 2008.10.08 小児用OTC風邪薬は4歳未満に与えてはいけない(米国)
 2008.07.05 2歳未満はOTC風邪薬は使用せず受診を
 2009.03.01 英国当局も6歳未満にはOTC風邪薬・咳止めを使用しないよう勧告
 2008.12.19 カナダ当局、6歳未満にはOTC風邪薬・咳止めを使用しないよう勧告
 2008.10.08 小児用OTC風邪薬は4歳未満に与えてはいけない(米国)

参考:
Cold cures off limits to kids
(The West Australian 2012.08.16)
http://au.news.yahoo.com/thewest/a/-/wa/14562575/cold-cures-off-limits-to-kids/
Children’s cold products on outer
(The Age 2012.08.16)
http://www.theage.com.au/national/childrens-cold-products-on-outer-20120815-2491x.html

9月17日 リンク追加


2012年08月17日 12:45 投稿

コメントが1つあります

  1.  英語圏では、米国を除き、6歳で統一の方向が固まったといえるのでしょう。
     友人の小児科医に尋ねても、子供に薬を飲ませるべからず。解熱薬、鎮咳薬は論外。とし、欧米の常識と説教されます。
     そのような意味合いからは、一貫しているのかもしれません。
     しかし、「参考:」に掲げられた現地新聞の見出しは、子供は風邪薬(の恩恵)から締め出された、という趣旨に読み取れます。
     我が国においても小児(実際には中学生まで含めている地方自治体が少なくない。)医療無料化によって、普段の健康管理や多少の手当てを自ら行うことが家庭内で消滅し、なんでも病院へ駆け込むことが増えている。そのような傾向を更にお進める事となるのだろうか?