豪州王立GP協会（Royal Australian College of GPs,RACGP）と豪州薬剤師会（Pharmaceutical Society of Australia,PSA）は5月1日、関係方面に向け、質の高い処方をサポートするために専門のGPと協力できるよう、診療所薬剤師（general practice-based pharmacists）に資金を投入するよう共同で呼びかけを行っています。
【PSA/RACGP JOINT MEDIA RELEASE 2025.05.01】
Pharmacists and GPs united on the value of multidisciplinary care
https://www.psa.org.au/joint-media-release-pharmacists-and-gps-united-on-the-value-of-multidisciplinary-care/
RACGPは2025年2月に公表した下記のような報告書を公表の中で、GPで薬剤師が従事することで、薬による副作用の大幅な減少、救急外来受診の減少、病院再入院の減少に寄与しているという研究報告があるとし、独自の試算によれば、4年間で推定5億4500万豪ドル（約500億円）の医療費節約につながると指摘。
Our Plan for Accessible, Affordable General Practice care for all Australia
(RACGP 2025.2）
https://racgp.foliogrc.com/refdocs/347/public_show
また、2019年から5年間に行われた試行プログラムでは、
- 患者とGPによる薬剤使用の質が向上
- 薬剤師の関与により、より安全で効果的な薬物療法の実施に貢献
- 患者の服薬リテラシーと服薬アドヒアランスが向上
- GPにおける薬剤師雇用の可能性について理解が深まる
といった成果があったそうです。
Integrating non-dispensing pharmacists in general practice
（North Western Melbourne Primary Health Network）
https://nwmphn.org.au/commissioned_act/pharmacists-in-general-practice/
こういった診療所薬剤師の取り組みは、患者からの質問に答え、処方を監視し、薬物療法の見直しを行い、患者が薬について理解できるように支援し、薬の安全で効果的な使用を確保するうえで有用だとして、今回の共同声明に至ったと思われます。
PSAでは5月に行われる総選挙に向けての公約（綱領）（2025 federal election platform）の中での「より多くのGPプライマリケアチームに薬剤師を組み込む」ことを掲げ、政党や無所属議員に対し、薬剤師が医療でより大きな役割を果たし、オーストラリア国民の健康維持に貢献できるよう支援する改革を支持するよう求めています。
なお、豪州における診療所薬剤師の業務や役割についてはこちらの論文で紹介されています。
Pharmacists in Australian general practice: Discussion of the findings of an evaluation from 2016 to 2021
（J Pharmacy Practice and Research 7 Nov 2023）
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jppr.1878
参考：
Joint call for funding GP-based pharmacists
（Pharmacy Daily 2025.05.01）
https://pharmacydaily.com.au/news/joint-call-for-funding-gp-based-pharmacists/114785
関連情報：TOPICS
2025.04.22 practice pharmacist（診療所薬剤師）の役割(NZ)
2025.04.17 職能団体の政治活動はどうあるべきか
2025年05月01日 13:56 投稿
