X上では、来る参議院選挙への対応をめぐって意見が先鋭化していますが、海外では国政選挙の際どのようなことが行われているかを紹介します
いわば一党支配が長年続いている日本においては、政権政党にのみ働きかけをしていますが、政権交代が行われる多くの国では、与野党問わず働きかけを行っています。
例えば、5月に総選挙行われる豪州では、豪州薬剤師会(The Pharmaceutical Society of Australia (PSA) )が、選挙における公約(綱領)(2025 federal election platform)を発表し、政党や無所属議員に対し、薬剤師が医療でより大きな役割を果たし、オーストラリア国民の健康維持に貢献できるよう支援する改革を支持するよう求めています。
【Ausutralian Pharmacist 2025.03.24】
2025 federal election: what policy changes will pharmacists see?
https://www.australianpharmacist.com.au/2025-federal-election-what-policy-changes-will-pharmacists-see/
- 業務範囲レビューのすべての推奨事項の実施
- 薬剤師の労働力をフルに活用するためのスキルアップ
- 薬剤師が業務範囲内でPBS医薬品を処方することを許可する
- 回避可能な医療過誤やミスによる被害の軽減
- Home Medicines Reviews(HMRs)へのアクセスの改善
- 高齢者ケア現場薬剤師の採用促進
- 医薬品の安全性とアクセスの格差を解消するために、アボリジニおよびトレス海峡諸島民の医療サービスに薬剤師を配置
- より多くのGPプライマリケアチームに薬剤師を組み込む
政治活動というのはこういうもの
連邦選挙を控えている豪州では、The Pharmaceutical Society of Australia (PSA)が選挙公約(federal election platform)を発表【Ausutralian Pharmacist 2025.03.24】
2025 federal election: what policy changes will pharmacists see?https://t.co/JMvVxi1sLZ…— 小嶋 慎二@community pharmacist (@kojima_aponet) March 24, 2025
また、今月連邦選挙が行われるカナダでも、カナダ薬剤師会(Canadian Pharmacists Association (CPhA) )が、すべての政党に対し、薬剤師やその他の医療専門家がその教育や訓練を十分に発揮できるようにすることで、カナダの医薬品供給を守り、プライマリ・ケアへのアクセスを改善する具体的な行動を約束するよう求めています
【CPhA 2025.03.24】
CPhA calls on federal parties to prioritize drug supply protection and expanded access to primary care
https://www.pharmacists.ca/news-events/news/cpha-calls-on-federal-parties-to-prioritize-drug-supply-protection-and-expanded-access-to-primary-care/
・カナダの医薬品供給の保護
・プライマリケアへのアクセス拡大
何百万人ものカナダ人が、必要な時に必要な場所でプライマリケアを受けることができず、待ち時間は全国的に悪化し続けています。
薬剤師は、全国各地のコミュニティで質の高い、利用しやすいケアを提供する、解決策の不可欠な一部です。
しかし、規制や資金面での障壁があるため、薬剤師は教育と研修の成果を最大限に活かして実践することができません。
より持続可能で患者中心の医療システムを構築するため、CPhAは次期連邦政府に対し、州および準州と協力して以下のことを行うよう求めています。
- 薬剤師を独立したプロバイダーとしてプライマリケアに完全に統合する
- 薬剤師主導のケアのための持続可能な資金を確保する
- 薬剤師を職業に就かせ、その職業に留まらせる人数を拡大するために、的を絞った投資を行うこと
CPha会長は、「カナダ国民が投票所に向かう中、私たちはすべての政党に対し、薬剤師の重要な役割を認識し、医薬品供給を守り、プライマリケアへのアクセスを強化する政策に取り組むよう強く求めます。解決策は存在します。私たちに必要なのは、それを実行するという決意だけです。」と述べている。
一方、2月に総選挙が行われたドイツでも、職能団体であるABDAが、連邦選挙に向けて政治家に向け、オーナー経営の薬局の経済状況の改善と薬剤師のスキルの活用拡大について意見書の提出をしています。
【ABDA 2024.12.08】
Broschüre: Kernpositionen der ABDA zur Bundestagswahl 2025
https://www.abda.de/fileadmin/user_upload/assets/ABDA/ABDA_Kernpositionen_zur_Bundestagswahl_2025.pdf
【Pharmazeutische-zeitung 2024.12.06】
ABDA fordert Sofortprogramm für Apotheken
https://www.pharmazeutische-zeitung.de/abda-fordert-sofortprogramm-fuer-apotheken-151828/
ABDA会長は、薬剤師が医療専門知識をもっと医療システムに貢献させたいと考えていることも明らかにした。
海外に目を向けると、特に地域薬局における予防とプライマリ・ケアを通じて、病気の負担、ひいてはコストを削減できることが示されています。
私たち薬剤師は、予防、プライマリ・ケア、そして専門職間の服薬管理を行う準備ができています。
若く、十分な訓練を受けた専門家を擁する持続可能な薬局は、持続可能な医療という課題に対応することができ、またそうしたいと考えています。
独ABDAが、連邦選挙に向けて政治家に向け、オーナー経営の薬局の経済状況の改善と薬剤師のスキルの活用拡大について意見書の提出を検討
【Pharmazeutische-zeitung 2024.12.06】
ABDA fordert Sofortprogramm für Apothekenhttps://t.co/tocE3y3lS8日本でも職能団体はこれくらい言ってもいいと思う…
— 小嶋 慎二@community pharmacist (@kojima_aponet) December 6, 2024
日本の政治スタイルから、政権政党にまずは薬剤師議員を送り込むことは必要だとは思いますが、海外のように、政党や所属を問わず、自らのビジョンを訴え、政策を立案する議員に理解者を増やす取り組み必要ではないでしょうか。
関連情報:TOPICS
2025.04.16 薬剤師職能の活用を(衆院厚労委質疑)
2025.04.16 薬局とともに健康な未来へ(独ABDAポジションペーパー)
2025年04月17日 11:44 投稿