日本に限らず、社会的孤立と孤独は地域や世代を問わず公衆衛生上の深刻な問題となっていますが、このレビューでは、医療従事者として対話に臨む際にどうアプローチしたらよいか、そして薬剤師の役割を明らかにしています。
【Am J Lifestyle Med. 2025 Aug 1】
From Social Isolation to Connection: A Prescription for Health and Wellness
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12316676/
社会的処方(social prescribing)が普及している国々では、薬剤師に関する研究が行われてきました。
ある研究では、ノルウェーのコミュニティ薬剤師と学生の社会的処方の能力を調査し、知識は限られているものの、成長への強い熱意があることが明らかになりました。
この調査結果は、社会的処方の知識とプライマリ・ヘルスケアへの関与を高めるための教育とさらなる研究の必要性を浮き彫りにしています。
別の調査では、軽度から中等度のうつ病と不安症に対する社会的処方の道筋にコミュニティ薬剤師を関与させることに関する利害関係者の視点を調査しています。
その結果、薬剤師が抗うつ薬の代替となる非薬物療法を提供できるアクセスしやすい存在としての可能性を示されています。
この論文はまた、薬剤師をプライマリ・ケア・サービスに効果的に統合するために、適切なトレーニング、資金、およびサポートの必要性を強調しています。
8件の研究を含むメタ解析では、社会的処方への地域薬局の関与を調査し、特に医療ニーズが高い人々に対する非臨床介入、紹介、およびサービス提供におけるその役割が明らかになっています。
これらを踏まえて、薬剤師には社会的なつながりを促進する6つの重要なアプローチがあるとしています
- 非言語的なサインや患者が話す言葉に注意し、直接質問を投げかける
- UCLA Loneliness Scale といったツールを用いて、社会的孤立と社会的つながりについて客観的な評価を行う
- なぜこういった質問がされるのか、なぜ推奨事項が提示されるのかを説明する
- 地域社会のリソース(ソーシャルワーカー、図書館など)について学ぶ
- 社会的つながりを組み込むための1つまたは2つの方法を見つけ出し、健康行動の変化と同様に、変化が実現可能であることを確認する
- 医療従事者や一般の人々も、社会的孤立や孤独感を経験する可能性があることを忘れないこと
研究者らは、疾患治療から健康増進へと重点が移るなかで、薬剤師はヘルスコーチ、コミュニティ教育者、そしてシステムレベルのイノベーターとして機能することで、薬剤師の役割が拡大するとしています。
(参考)
UCLA Loneliness Scale (Version 3)
https://sparqtools.org/mobility-measure/ucla-loneliness-scale-version-3/
人が他人とのつながりを失っていると感じる頻度を評価する 20 項目の尺度
2025年08月10日 17:26 投稿