患者の利便性があれば、医薬分業の経済的利用は許されるのか?

 僻みやっかみになりそうなのでこの話題はあまり取り上げたくはないのですが、 北播磨総合医療センターのケース(TOPICS 2013.04.08)とは別の問題点があるのではないかと思い調べてみました。(地元の事は詳しくわからないので、あくまでWEBから入手した情報を元にまとめました)

 目に留まったのはいずれも下記の地元紙の記事です。(リンクが切れたらすみません)

新大病院に商業施設、来年オープン
コンビニやレストランが入居
(新潟日報 2013.08.26)
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20130826062970.html

 新潟大医歯学総合病院が、敷地内に商業施設を建設する計画を進めているという話で、施設は外来棟前に建てられ、薬局とコンビニのほか、レストランや理美容店が入る計画だそうです。

 当然地元からは反発も。

新大商業施設内に保険薬局入居計画
薬剤師会などから異論
(新潟日報 2013.08.26)
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20130826062969.html
http://tokku.jp/news/index.php?page=clipping&clipping_id=473912

 どう見ても病院敷地内で、とても公道に面しているとは思えない場所への薬局誘致については今に始まったことではないのですが、当時の大学が示した公募要項を見ると、「コンビニエンスストア機能」「コーヒーショップ機能」「レストラン機能」及び「バス待合室」といったアメニティ機能を併設することが必須になっていましたが、薬局を併設することを大学側では求めていませんでした。

新潟大学医歯学総合病院アメニティモール整備運営事業・公募
(サイト不明)→リンク

新潟大学医歯学総合病院交通アクセス
http://www.nuh.niigata-u.ac.jp/access/

周辺地区の路線価図
http://www.rosenka.nta.go.jp/main_h24/kanto/niigata/prices/html/41127f.htm

 公募の結果、一般財団法人協和会というところが今年1月に優先交渉権者となったのですが、この法人のHPを見るともともと病院内の売店や種々のサービスを行っているところで、何とこの病院近くで薬局も開設しています。(トップページには薬剤師募集の文字も)

アメニティモール整備運営事業について
(新潟大医歯学総合病院 2013.01.28)→リンク

一般財団法人 協和会
http://www.h3.dion.ne.jp/~kyowakai/

 新潟日報の記事によれば、大学側は、「保険薬局を入れるかどうかは建設、運営業者側の提案であり、大学は直接関与していない」とはしていますが、公募要項になかった薬局設置の提案を受け入れたことには理解に苦しみます。(おそらく、厚生局からは内諾を得ているとしか思えないけど)

 また、「公募型プロポーザル方式」とはなっているものの、公募選定の結果だけしか示されておらず、不透明感も残ります。

 さらに、土地の賃料は路線価 3,450円/m3に基づいて設定されるとのことですが、実際の賃料は不明です。

 一方、新潟日報の記事によれば、協和会の理事長は「薬局の出店は利用者の利便性で考えた。独占にならないよう2店舗にした」と話しているとのことなので、少なくとも1店舗については、入札で出店企業を募ることになりそうです。(少なくとも賃料はまかなえそうですね。また貸しってのもできちゃうんだ)

 いずれにしても、特定の薬局を優遇した感も否めません。大学にもこの法人にもおいしい話ですよね。

 またもや、医薬分業の経済的利用に他なりませんが、きっと関東信越厚生局新潟事務所は「バス停があるから公道とみなす」と言いそうですね。

 これが前例となって、他の大学病院が追従しなければいいですけどね。

関連情報:TOPICS
 2013.04.08 地方都市で薬局用地78坪が何と10億円で落札
 2013.05.04 地方自治体による病院等医療施設前の薬局用地売却に関する質問主意書


2013年08月27日 12:04 投稿

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