塩素除菌ブームの中、危険商品で健康被害

 (首かけタイプの)二酸化塩素商品による除菌効果がブームとなり、私の所でも関連商品についての問い合わせを受けたこともある(ポリシーとしてうちでは取り扱わなかった)のですが、同じ塩素でも次亜塩素酸を含む錠剤が含まれた商品が発売され、健康被害が拡大しているそうです。

 消費者庁は緊急ともいえる注意喚起と回収情報を発出しています。

次亜塩素酸ナトリウムを含むとの表示がある「ウイルスプロテクター」
をお持ちの方は直ちに使用を中止してください。
(消費者庁 2013.01.18)
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/130218kouhyou_1.pdf

[2月18日]ただちに使用中止を(ウイルスプロテクター)
(感染症診療の原則 2013.01.18)
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/340100750a4fc89f5d1d6fe383b5b346

 たぶん、すぐに削除されてしまうとおもいますが、 amazon には次のような商品仕様が記されていました。(コピペしても許される?)

  • ご使用期間:開封後約30日間
  • 除菌範囲:1立方メートル
  • 塩素成分の除菌・消毒対象:新型インフルエンザ・インフルエンザウイルス ・大腸菌・ノロウイルス ・チフス菌 ・ブドウ球菌・サルモネラ菌 ・その他一般細菌
  • 成分・素材:次亜塩素酸ナトリウム(塩素成分)・クエン酸・シュウ酸・硫酸塩・吸水性材料
  • 生産地:中国

商品の説明

【特徴】 ●「ウイルスプロテクター」は携帯用除菌グッズです。開封した時から塩素成分が浮遊するウイルスや菌を除去、嫌なにおいを消臭します。 ●病院・学校・会社・電車・バスなど、ご家族のさまざまなシーンで大活躍! ●ウイルスプロテクターは、常に携帯することで、身の周りのウイルスや菌を除去します。 ●塩素成分の除菌・消毒効果殺菌・除菌はどちらも身体の清潔・衛生や食品の安全性を確保するには欠かせないものです。現在、食品産業においても次亜塩素酸ナトリウムの「塩素成分」の力により除菌を有効的行っていることから人体にもやさしい成分です。 ●「ウイルスプロテクター」を身につける事で有効な「塩素成分」が周囲からのウイルス・細菌を強力にブロックして安全できれいな除菌空間をあなたに提供します。これが「空間除菌」です。 ●次亜塩素酸ナトリウムを錠剤に浸積・安定させ、そこから発生する「塩素成分」効果によりウイルス・細菌を強力に除菌・消臭対策のできる携帯除菌商品です。 ●有効期間は開封後約30日間。 ●首から下げれるストラップ入り♪

【用途】身の周りのウイルス・菌の除去・消臭

【使用方法】 ●「ウイルスプロテクター」を外袋から取り出し、同封のストラップにつけて、首から下げてご使用下さい。 ●付属ストラップを付けて首から下げたり、ポケットに入れて使用すれば簡単にウイルス対策ができます。 ●身分証等と一緒につける事もできます。 ●使用場所:オフィス・介護施設・病院等での職員への配布したり、公共施設・ショッピングセンター等の人の集まる場所でのウイルス・除菌

 どの程度の次亜塩素酸ナトリウムが含まれていたかはわかりませんが、考えてみれば、ハイターを1日中首からぶら下げているようなもので、冷静に考えてみればあり得ない商品です。

 こういったものがブームに乗って効能を謳い、雑貨扱いで広く流通していたのは不思議な話です。

 個人的には二酸化塩素もどうなんだろうと思っています。

二酸化塩素による除菌等をうたった製品の使用についてのQ&A
(愛知県学校薬剤師会HP)
http://yak.a-gaku.jp/kim/sai/pdf/nisakaenso.pdf

二酸化塩素による除菌をうたった商品
-部屋等で使う据置タイプについて-
(国民生活センター 2010.11.11)
http://yak.a-gaku.jp/kim/sai/pdf/nisakaenso.pdf

参考:
朝日新聞 2月18日
http://www.asahi.com/national/update/0218/TKY201302180305.html
産経新聞 2月18日
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130218/dst13021822470010-n1.htm


2013年02月18日 23:56 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    輸入業者が自主回収を始めたそうです。

    「ウイルスプロテクター」の自主回収を開始しました
    (厚労省 2013.02.22)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002vt2p.html

    また消費者庁には、事故情報が21日正午時点で22件、各メディアによれば消費庁への報告が24件、会社には50件の報告があったそうです。

    次亜塩素酸ナトリウムを含むとの表示がある
    「ウイルスプロテクター」について(使用中止及び自主回収のお知らせ)
    (消費者庁 2013.02.22)
    http://www.caa.go.jp/safety/pdf/130222kouhyou_2.pdf

    「首にかけて横向きに寝ていたため、布団と顔の間に挟まるような形になり、やけどを負った。(6歳女児)」という事例があるけど、国にかけたまま寝ていたってことですね。(ちょっと信じられない)

    NHK NEWS 2013.02.22
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130222/k10015718021000.html

    気になったのはメーカーサイトの告知(新聞でもあったらしい)で、代替品を発送するとのこと。どんなものを代替品で送るんでしょうね。

    ダイトクコーポレーション
    http://www.printing-daitoku.co.jp/

  2. アポネット 小嶋

    ツイッターで知ったのですが、2月20日に阿南消費者庁長官の記者会見で、記者との興味深いやりとりがされていたことがわかりました。(報道されていたのかなあ?。脱法ドラッグについてのやりとりも興味深いです)

    阿南消費者庁長官記者会見要旨
    (消費者庁 2013.02.20)
    http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/130220c_kaiken.html

    記者:
    この首からかけるタイプのこういったものというのは、他のメーカーからも出ていて、この次亜塩素酸ナトリウムとは違うものが使われていて、そちらのほうは今回中止をしてくださいというものに入っていませんけれども、そういったものの効果というのは、実際消費者庁としてはどういうふうに捉えていらっしゃるのですか。

    長官:
    今までは、首から下げるタイプの除菌剤についての類似品で事故の報告はないです。ですが、今回公表した対象製品以外は、安全であるかどうかというところについては未確認でありますので、消費者には、何か症状が出たとか、ちょっとおかしくなったとかということがありましたら、気をつけていただきたいと考えております。安全であるとも、安全でないとも、そういうことは言うことはできません。

    記者:
    あともう一つすみません、一方で除菌をするというところで効果・効能をうたっているという意味で、景品表示法というのがかかわってくると思うんですけれども、そういった観点から何か調査されていたりとか、実際に効果がどうなのかということを調べる御予定とかはございますか。

    長官:
    問題意識は持っておりますけれども、まだお話しできるような段階ではありません。

    記者:
    輸入元も販売元も、本当に私は1日に何回電話したか分からないんですが、本当につながりません。本社のほうに電話したら、またいろいろなところにたらい回しにされるんですが、後で連絡しますと、消費者に後で連絡をするように対応していますということなんですが、これ、やはりかなり混乱しているのではないかと思うんですが、消費者庁にどのくらいの問合せがあったのか。それで、今、何か伝えられること、例えば回収にしても、有害物質規制法でやるんだということではないかと思うのですが、それでしたら輸入元が回収しますよね。それについて大体何か見通しはあるのか。疑問点にどこも答えてくれないんですね。例えば、では汗に接しないで使っていいのかとか、そういう細かい点にどこも答えてくれるところがなくて、電話が全然つながらないので、やはりちょっと気になっていたのですが、どのぐらい問合せがあって、どういうふうに答えたのか。消費者が納得できるような答えができるところがあったら、少し教えていただけないでしょうか。

    長官:
    昨日の段階で、消費者安全課に寄せられた問合せは150件以上電話であったと報告を受けております。先ほども申し上げましたが、「類似商品を使っても大丈夫か」とか、「つながらない」とかという問合せだったということです。
    聞いている話によりますと、事業者のほうはかなりの回線を用意して電話対応に当たっているようですが、やはりほとんどつながらない状態だと。たくさんの電話がかかっているという状態だそうです。
    この件については厚生労働省が所管しており、先ほど相川さんがおっしゃったように、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律に基づいて、厚生労働省が指導していくということになります。ですから、厚生労働省のほうが対策を打っていき、事業者も指導していくという形になると思いますが、本当に消費者への情報提供が、どの程度できるのかというところは、十分ではない状態であると思っていまして、消費者庁も厚生労働省と連携しながら、そのような情報をきちんと流すように情報収集して、努めていきたいと思います。

    記者:
    それから、10年に国民生活センターのほうが二酸化塩素についての空間除菌がどのくらいの効果があるかみたいなのは商品テストをしているのですが、そのときも結局明解なものは全く分からなくて、事業者側もそれにアプローチしているところはほとんどなくて、1社だけあったんですが、それについてはきちんと安全性が本当に確認されているかどうか、その資料からは分からなくて、本当に人体に悪影響みたいな、気持ちが悪くなっているという相談もかなり来ているので、今回は特にここに下げるものですので、本当に安全なのか。効果・効能もなくて、薬事法上はうたったらいけないと思うんですけれども、インフルエンザに効くとか。ただ、ウイルスに効くというふうにはうたっていいので、みんなインフルエンザ予防で使っているんだと思うんですね。でも、その辺が全く何もなくて、それを消費者庁が放置しているというのは、国センは要望を出しているんですが、表示も直っていないです。表示もインフルエンザに効くとか、O-157に効くとかという表示がまだ見られますし、全くそこのところはなくて、更に二酸化塩素と、今回もハイターと同じ成分のものですよね。二酸化塩素工業会のところには、二酸化塩素は大丈夫で、トリハロメタンでしたか、何とは出ませんとかいろいろ書いているんですけれども、それも本当なのか。その辺も、やはりただ使ってはいけませんだけで、では他の商品の考えは、その辺も今後この問題をきっかけに、ちゃんと踏み込んでいただいたほうがいいのではないでしょうか。その辺はどうなのでしょうか。

    長官:
    その辺は厚生労働省と情報交換しながら対策をやりたいと思います。

    記者:
    それはどこがやるんですか。とりあえず、厚生労働省は、でもそんな試験機関は持っていないですよ。どういう方針で進めていくのでしょうか。

    長官:
    そこはまだ具体的な計画までをつくろうという段階まで行っていませんけれども、この問題をきっかけに取組を強めていくという方向で、厚生労働省と当たりたいと思います。

    こういった製品は、現状ではチェックの網にかけられないのでしょうね。