ロシュ社の安全性情報の報告システムに不備がある(EMA)

 欧州医薬品庁(EMA)は21日、スイスのロシュ社について、安全性に関する報告が不足しているとして調査に乗り出したことを明らかにしてます。

European Medicines Agency acts on deficiencies in Roche medicines-safety reporting
(EMA Press Release 2012.06.21)

 不足されているとされたのは、ロシュ社が米国内で行っているPatient support programmes(低所得患者向け医薬品割引のプログラム)で集められた死亡例15,161例を含む8万例の評価と、国(おそらく米国のことだと思う)に寄せられた関連性が疑われる有害事象23,000例、及び臨床試験での600のインシデントに関する報告の評価に関するもので、英国医薬品庁(MHRA)の調査で明らかになったそうです。(各紙によると1997年から15年分のものらしい)

 具体的な医薬品名は挙げられていませんが、同社や抗がん剤や抗HIV薬など、副作用の多い医薬品が少なくないことから波紋がひろがっています。(タミフルなんかはどうなんだろう?)

 MHRAは21日、「ロシュ社の行動は受け入れがたいもので、われわれの調査で報告システムの不備が確認された」とする声明を出す一方、患者に対しては現在使用中の薬をやめないよう呼びかけています。

MHRA statement on investigation into Roche
(MHRA 2012.06.21)
http://www.mhra.gov.uk/NewsCentre/CON155772

 EMAでは報告義務を行ったとして、ロシュ社に対して、対応のための包括的な行動計画を求めたそうです。

 一方、ロシュ社は意図的なものではないとしたうえで、2013年1月までに(未報告の症例等の評価を行い)報告を行うとメディアに話しています。

参考:
EMA:Roche Failed To Report Lots Of Side Effects
(Pharmalot 2012.06.21)
http://www.pharmalot.com/2012/06/ema-roche-failed-to-report-lots-of-side-effects/
EU agency raps Roche over lax drug-safety reporting
(Reuter 2012.06.21)
http://uk.reuters.com/article/2012/06/21/us-roche-europe-idUKBRE85K1NH20120621


2012年06月22日 18:05 投稿

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