処方せんの使用期間周知は徒過の防止が目的

 くま☆さんのところでも紹介がありました、9月30日の厚労省の「処方せんの使用期間にご留意ください」というアナウンスですが、私も改めてなぜ?と思っていましたが、実は休日をはさむなどのために、使用期間を過ぎて薬がもらえなかったという相談が苦情として寄せられていたという背景があったそうです。(仲間の薬剤師に教えてもらいました。どうもありがとう)

寄せられた相談というのが、

3連休前の金曜日に病院から処方せんをもらったが、使用期間があることを知らず、連休明けの火曜日に薬局に提出したところ、当該処方せんは使用期間の4日間を過ぎているので無効と言われた。法令で使用期間は休日を含めて交付日から4日以内と定められており、使用期間を過ぎた場合には、再発行が必要になるとのことであった。処方せんの使用期間(4日間)は、期間内に連休を含む場合には短すぎるので、休日を除く等により、実質的に延長してほしい。

というもので、これまでにも同様の相談が総務省の行政相談や国民生活センターの苦情として複数あったそうです。

総務省では、

  • 医療機関が用いる処方せんの使用期間欄の記載は、文字が小さく患者が見落としやすい
  • 処方せんに使用期間を記載すること以外での使用期間に関する周知及び処方せんの使用期間延長の特例措置に関する周知はほとんど実施されていない
  • この結果、患者本人が、現行の処方せんの使用期間に関する制度についての認識を十分有していなかったことにより、処方せんの使用期間を徒過する事案が日常的に発生

という問題点を分析し、厚労省に対し、次のような措置を行うよう要請しています。

  1. 処方せんの使用期間が4日以内であること及び医師の判断により使用期間の延長が可能であることについて、国民への周知が図られるよう広報啓発を行うこと
  2. 処方せんに使用期間を記載する際には、患者に分かりやすくするため文字の大きさ、配置等に留意するよう医療機関に要請すること
  3. 処方せんの使用期間が4日以内であること及び医師の判断により使用期間の延長が可能であることについて、待合室等に掲示を行うこと等により患者への周知を図るよう医療機関に要請すること

薬の処方せんの使用期間の徒過の防止について(2010年3月30日)
(総務省・行政苦情救済推進会議の検討結果を踏まえた本省のあっせん事例
  概要:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/pdf/100408_6.pdf
あっせん:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/pdf/100408_5.pdf

 「徒過」という単語は初めて聞いたのですが、辞書を引くと「むだに時をすごすこと。無為にすごすこと。(明治期に用いられた語)」だそうで、せっかくもらった処方せんを無駄にしないようにということのようです。

 でも、あっせんから半年ってのもかかりすぎじゃない?と思っていましたが、この9月30日というのは、厚労省の検討結果を求めた期限でもあったのです。(医師会との調整にも手間取ったんだろうな)

 厚労省は、医師会を通じ各医療機関に対し、

  1. 会計窓口で支払いをする際や処方せんを交付する際に、患者に処方せんの使用期間について声掛けをする。
  2. 待合室の掲示板や受付窓口、会計窓口等に、処方せんの使用期間に関する事項を記載したものを掲示又は設置する。
  3. 医療機関のホームページや医療機関が発行する広報誌等に掲載する。
  4. 処方せんに記載されている使用期間について、患者に分かりやすくするため、文字の大きさや配置等に配慮する。 

といった取組例を示し、周知を呼びかけてはいますが・・・・

処方せんの使用期間等について(日医2010年10月6日、埼玉県医師会HP)
http://www.saitama.med.or.jp/hoken/2010/35.pdf

 慢性疾患で処方が固定し、しかも残薬があれば薬局に後で行こうと患者さんが思うのは自然です。

 総務省でも、厚労省に「病状の安定した慢性疾患に限定して処方せんの使用期間を一律に延長することはできないか」と尋ねたそうですが、「同じ慢性疾患であっても患者の症状は人によって様々であるため、診察に当たる医師が個々の事情に応じて該当の可否を判断すべきである。」として、慢性疾患に限定しての一律の延長も困難だとと回答したそうです。

 こんなんじゃリフィル処方せんの導入もずっと先になりそうですね。

関連ブログ:厚労省より処方せん様式に関するアナウンス2件
        (薬局のオモテとウラ 2010年10月2日)
        http://blog.kumagaip.jp/article/41066381.html


2010年11月17日 23:48 投稿

コメントが3つあります

  1. TBありがとうございます。
    なるほど、そういう事情があったのですね。
    業界の間では使用期限があることは常識ですが、患者さんにそれを知っておけというのも酷な話ですよね。処方せんに記載されるのは目を凝らさなければ見えないような字ですし…。

    しかし「徒過」という言葉、私も初めて聞きました。
    行政というのはいろいろな意味でスゴイところだなと、改めて感じました。

  2. 保険薬局での保険証の提示(求められた場合)義務も公報して欲しいですね。
    小さい文字どころか、健康保険法施行規則を読まないと、どこにも記載されてません。

  3. アポネット 小嶋

    コメントありがとうございます。

    総務省の資料にもありますように、処方せんの有効期間が4日と知っている人は医薬分業が進んでいる今日でも6割にすぎないというのは、広報不足としか言いようがありませんが、対応に苦慮するのは地域の薬局の人たちです。

    「厚労省のホームページで呼びけました」「医師会にはお願いしました」と言っても、私も根本的な対策にならないと思いますね。

    「使用期間を周知するため、処方せん様式には使用期間を記載する欄を設けており、患者は処方せんを見れば使用期間を確認できるようになっている。」という厚労省の見解も、「患者が医師に頼めばいいでしょう」みたいで何か逃げの答えですね。

    長期処方がある人は基本的には症状が安定しているわけですから、例えば30日を超える処方については一律7日間まで有効期間を延ばすということはできると思うのですが。

    せっかくの機会ですから、日薬も全国調査をして厚労省に提案した方がいいですよ。