デキストロメトルファンOTC咳止め薬の再分類は不要(FDA諮問委)

 14日、デキストロメトルファン(DXM)含有OTC咳止め薬による潜在的リスクとベネフィットについての検討を行う諮問委員会(Drug Safety and Risk Management Advisory Committee Meeting)が開催され、DXMをコントロールが必要な成分に再分類し、処方せんによる販売のみとすべきとしたFDAの提案は、評決の結果9対15で支持されませんでした。

September 14, 2010: Drug Safety and Risk Management Advisory Committee Meeting Announcement
http://www.fda.gov/AdvisoryCommittees/Calendar/ucm211003.htm

 今回の諮問委員会は、若者の間に広がるデキストロメトルファン(DXM)含有OTC咳止め薬による濫用の懸念を受けて、DXMの科学的、医療上における評価や医薬品の分類の妥当性などについての検討が行われたもので、DXMに濫用の可能性を示す薬理学的・疫学的データがあることについては合意されたものの、濫用の広がりは限定的だとして、今回の結果となったようです。(但し、18歳未満への販売規制は行われる見通し)

 また業界団体CHPAによれば、DXM製剤のOTCのシェアは約90%あるそうで、これがもし処方せん医薬品になった場合、セルフメデフィケーションにおける咳症状への対応に混乱をきたすことは確実で、こういった事情も今回の評決の結果となったようです。

Statement from CHPA on Today’s FDA Advisory Committee Meeting on Dextromethorphan
(CHPA 2010.9.14)
http://www.chpa-info.org/09_14_10_DXMAdCom.aspx

諮問委員会でのCHPAのプレゼンテーションスライド
http://www.chpa-info.org/media/secureresources/r_6740.pdf

 一方で、委員からはDXMはゲートウェイドラッグとの指摘もあり、濫用防止のための啓発活動はより強化されるものと思われます。

 ニュージーランドなど、規制を検討している各国の対応も今後注目されます。

関連情報:TOPICS
  2010.09.03 デキストロメトルファン濫用による有害事象は少なくない(米国) 
  2010.05.09 デキストロメトルファン濫用問題で9月にFDA諮問委開催へ

参考:
Panel Says No to Reclassifying Cough Syrup Ingredient
(Medpage TODAY 2010.09.14)
http://www.medpagetoday.com/ProductAlert/OTC/22183
Panel: Cough meds should stay over-the-counter
(Msnbc 2010.09.14 AP配信)
http://www.msnbc.msn.com/id/39180323/ns/health-cold_and_flu


2010年09月15日 11:34 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    ブルームバーグ配信記事の日本語訳が掲載されています。

    若者信じて風邪薬販売規制見送り
    (SankeiBiz 2010年10月6日)
    http://www.sankeibiz.jp/econome/news/101006/ecb1010060505000-n1.htm