向精神薬、再び処方日数規制か

 長妻厚労相は29日の閣議後の記者会見で、向精神薬の過量服薬による自殺や自殺未遂を防ぐ対策づくりに乗り出すことを表明したそうです。

 これは、自殺時に向精神薬(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬等)の過量服薬を行っていた例が多く認められたとする最近の厚生労働科学研究の結果を受けて、24日に発出された通知「向精神薬等の過量服薬を背景とする自殺について」に対する厚労省の対応策と思われます。

いわゆる向精神薬の処方に関する注意喚起について
(厚生労働省プレスリリース2010年6月24日、日刊薬業WEB行政情報)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226496464173
(厚労省2010年6月29日掲載)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jisatsu/jisatsu_medicine.html

 近く省内にプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、来月から検討を開始し、8月中に具体策をまとめるとのことですが、2008年の診療報酬改定で、14日分までに処方日数を制限していた向精神薬の一部長期投与可(30日分まで)が、患者が薬をため込みやすくさせたとの指摘があることから、今後はこの措置の見直しなども検討される可能性がありそうです。

 ただ、見直しをして長期投与不可としたところで、結局倍量処方が出ることになり、かえって現場では疑義照会などの負担が増えます。

 医師会・病院への通知にあるように、「自殺念慮等を適切に評価したうえで、自殺傾向が認められる患者に向精神薬等を処方する場合には、個々の患者の状況を踏まえて、投与日数や投与量に注意を払うなど、一層の配慮を行う」ことがまず重要であり、措置の見直しをするのであれば、日数の規制ではなく、自殺既墜のリスクが高い成分を分けるとか、1回あたりの実処方数(眠剤なら30錠まで)での規制を望みます。(リアルタイムで処方履歴が確認できるWEBシステムでもでれきばなおいいのですが)

参考:
向精神薬:過量服薬対策、厚労相が表明 省内にPT
(毎日新聞 6月29日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100629k0000e040070000c.html
【厚労省研究班/自殺者を調査】半数以上が向精神薬を過量摂取‐青少年の8割が精神疾患に罹患
(薬事日報 HEADLINE NEWS 6月29日)
http://www.yakuji.co.jp/entry19712.html


2010年06月29日 13:56 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    記者会見の概要がアップされました

    長妻大臣閣議後記者会見概要(H22.6.29(火)10:20~10:48省内会見室)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/2r98520000007eq3.html

    先日報道されましたが、抗精神薬の過剰摂取による自殺の問題であります。我々もうつ病等に対する薬漬けについては問題意識を持っており、都立松沢病院の院長先生などにも御指導いただいた色々な会での御指摘も受けております。これについては通知を出させていただきまして、7月中にも省内の自殺・うつ病対策プロジェクトチームで集中的に議論をして、8月中をメドに対応策をお示ししていきたいと考えております。診療の過程で自殺のリスクをどう評価するか、処方の際にどういう工夫が必要か、投与日数についてはどう考えるか、医師への普及方法、医療の質の向上に向けた取組などについて議論をしようと考えています。

    記者からこれについての質問はなかったようです。