長期間のビスホスホネート服用と大腿骨の骨折リスク(米国)

 米FDAは10日、「医療専門職は、ビスホスホネート経口剤を服用している患者さんが不定型非定型大腿骨転子下骨折のリスクの可能性があることを知っておくべき(FDA recommends that healthcare professionals should be aware of the possible risk of atypical subtrochanteric femur fractures in patients taking oral bisphosphonates.)」とする安全性情報を発表、米国内ではちょっとした波紋を呼んでいます。

Ongoing safety review of oral bisphosphonates and atypical subtrochanteric femur fractures
(FDA Drug Safety Communication 2010.3.10)

4月28日公表の海外公的機関 医薬品安全性情報に日本語訳概要が掲載されています。

海外公的機関 医薬品安全性情報Vol.8 No.8
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly8/09100428.pdf

 今回の発表は、国内で行われている関係学会(the American Academy of Orthopaedic Surgeons’ annual meeting)で長期間ビスホスホネートを服用すると、骨折しやすくなるといった学会発表の報道をうけてのものですが、FDAでは既に2009年に発表された(学会発表は2008年)下記論文に注目し、外部の専門家と共に関心を持って現在解析をすすめているようです。

Subtrochanteric and Diaphyseal Femur Fractures in Patients Treated With Alendronate:A Register-Based National Cohort Study.
(J Bone Miner Res.2009 Jun;24(6):1095-1102)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19113931
http://depts.washington.edu/gim/calendar/hmcjc_abstracts/JCSep09Article.pdf

ASBMR:Alendronate Exonerated in ‘Atypical’ Femoral Fractures
(Medpage TODAY 2008.9.15)
http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/Osteoporosis/10904

 本当に学会発表や上記論文のように骨折予防のはずの薬剤がもしこういったリスクを起こすのであれば、骨粗鬆症治療のあり方が変わる可能性があるかもしれないですね。しかし、リスクを知っておくべきだというのも関連性を示唆しているのでしょうかね。(現時点では関連性はないとしていますが)

 今後に注目ですね。

関連情報:ビスホスホネート(Wikipedia)

参考:
Long-term use of osteoporosis drugs linked to hip breaks
 (USA TODAY 2010.3.10)
http://www.usatoday.com/news/health/2010-03-11-bones11_st_N.htm

4月29日 リンク追加


2010年03月11日 23:47 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    Medpage TODAY や HealthDAY で学会報告の様子が報じられています。

    AAOS:Osteoporosis Drugs May Weaken Bones in Long Term
    (Medapge TODAY 2010.3.11)
    http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AAOS/18956

    Long-Term Use of Osteoporosis Drugs Linked to Fractures
    (HealthDAY 2010.3.11)
    http://www.healthday.com/Article.asp?AID=636826

    研究方法に問題があるとの指摘があるようです。評価は論文として出されてからでしょうが、議論を呼びそうですね。

  2. アポネット 小嶋

    24日、NEJM 誌のOnline Firstに、大腿骨の転子下骨折や骨幹骨折は腰痛骨折に比べ非常に少なく、メタ解析の結果でも、リスクの上昇に優位さが認められなかったとする論文が掲載されています。

    Bisphosphonates and Fractures of the Subtrochanteric or Diaphyseal Femur
    NEJM Published March 24, 2010)
    http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa1001086

    研究者らは、3つのRCTの14195人のデータを解析、ビスホスホネートの使用者の中で大腿骨の骨折リスクが若干上昇したもの、95%信頼区間が広く優位差は認められなかったとしています。(関連性の可能性については否定せず)

    一方で、発生頻度は非常に少ないとして、専門家からは腰椎の骨折予防のベネフィットを優先し、ビスホスホネートを継続使用すべきだとする声が多く挙がっているようです。

    この問題、しばらくは論争が続きそうです。

    No Link to Femur Fractures Found with Bisphosphonates
    (Medpage TODAY 2010.3.24)
    http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/Osteoporosis/19211

    Only Rare Fractures Linked to Osteoporosis Drugs
    (WebMED 2010.3.24)
    http://www.webmd.com/osteoporosis/news/20100324/only-rare-fractures-linked-to-osteoporosis-drugs