チャンピックスの精神神経系副作用、更なる注意喚起が必要

 薬害オンブズパースン会議(http://www.yakugai.gr.jp/)は28日、厚労相及びファイザー社に対し、「禁煙補助剤『チャンピックス』添付文書の『警告』欄内容についての要望書」を提出するとともに、ファイザー社に対し、「チャンピックス『要望書に関する回答』に対する意見及び再要望書」を提出したと発表しました。

禁煙補助剤「チャンピックス」に関する添付文書等の更なる改訂を求める要望書等提出
 (薬害オンブズパースン会議 12月28日)
 http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=735

 チャンピックスの添付文書については、日本でも8月7日に変更の指示(TOPICS 2009.08.10)が行われていますが、同会議では、精神神経障害症状が禁煙自体によっても起こりうることを不当に強調しているなどとして、

  1. 警告欄の冒頭にある「禁煙は治療の有無を問わず様々な症状を伴うことが報告されており、基礎疾患として有している精神疾患の悪化を伴うことがある。」の記載を削除すること。
  2. 米国の添付文書が記載しているように、精神神経症状が本剤を使用しながら喫煙を継続している患者でも報告されていることを明記すること。
  3. 精神神経症状への対処として、現行の添付文書では「重要な基本的注意」に記載されている「これらの症状・行動があらわれた場合には本剤の服用を中止し、速やかに医師等に連絡するよう患者に指導すること。」を、警告欄に記載すること。

 などについて要望し、米国(米国はChanitx)の黒枠警告欄のように、日本でも精神神経症状が発現した場合の対処法を「重要な基本的注意」の項ではなく「警告欄」に具体的に明記すべきだとしています。

米国ファイザー社CHANTIX公式サイト
     http://www.chantix.com/
      (TOPページに精神神経系の副作用の可能性などの注意事項が記されています)

 CHANTIXPrescribing Information(米国ファイザー社)
  http://www.pfizer.com/files/products/uspi_chantix.pdf
 CHANTIX Medication Guide
  http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/ucm088569.pdf

「お医者さんと禁煙」をサポートする すぐ禁煙.jp (ファイザー株式会社)
  http://sugu-kinen.jp/

 チャンピックス錠:PMDA添付文書情報医薬品ガイド

 上記、医薬品ガイドでは、警告欄の事項について、「禁煙中においては、抑うつ気分、不安になる、あせる、興奮しやすい、行動および思考の変化、精神障害、気分の変動、攻撃的になる、敵意を持つ、死んでしまいたいと感じる、などの症状がしばしば見られます。また、精神疾患のある人はこれらの症状が悪化することがあります。この薬との関連性は明らかではありませんが、この薬の使用中にもこれらの症状があらわれたり悪化するとの報告があります。」という表現になっています。確かにChantixの方が表現がストレートですね。

 また、ファイザー社に対しては、車の運転等危険を伴う機械の操作をしないよう患者に指導する旨を記載することや、本剤の適応をニコチン置換療法が使えない場合に限定することなどを改めて求めています。

資料:Strong Safety Signal Seen for New Varenicline Risks
   (Institute for Safe Medication Practices Published May 21, 2008)
    http://www.ismp.org/docs/vareniclineStudy.asp

QuarterWatch Reports(Institute for Safe Medication Practices)
    http://www.ismp.org/quarterwatch/

関連情報:TOPICS
  2009.08.10 チャンピックスに精神神経系の副作用に関する警告欄が新設
  2009.07.02 バレニクリン、精神神経系副作用の黒枠警告追記へ(米FDA)
  2009.01.09 カナダ当局、バレニクリンの注意喚起強化を検討
  2008.10.23 バレニクリンと有害事象(米国)
  2008.05.22 バレニクリン、パイロットは使用禁止(米国)


2009年12月30日 16:54 投稿

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