次回調剤報酬改定の論点

 25日に開催された診療報酬基本問題小委員会で、次回調剤報酬改定の論点が示されています。

第150回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会(2009年11月25日開催)
 厚労省資料(11月26日掲載)(こちらの方がきれいです)
 WAMNET資料(11月25日掲載)(PDFファイルのp25-31)

基本問題小委員会? ─ 調剤報酬(11月25日の中医協)
 (ロハスメディカル 11月26日)
 http://lohasmedical.jp/news/2009/11/26031227.php?page=7

後発品調剤率は来春から「数量ベース」に変更へ
(日経DIオンライン 11月27日 要会員登録)
 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/200911/513295.html

論点として、次の5項目が挙がっています。

  1. 後発医薬品調剤体制加算について、その算定状況と数量ベースでの後発医薬品調剤率に関する薬局の分布状況、さらには、後発医薬品の説明・調剤に積極的でない薬局におけるその原因を踏まえ、算定要件を含めた加算の在り方について、どのように考えるか。
  2. 長期投薬時における一包化薬調剤料と内服薬調剤料の差を縮めるため、一包化薬調剤料を見直し、内服薬調剤料の加算として位置付けるなど、患者に分かりやすい点数体系とすることについて、どのように考えるか。併せて、長期投薬の増加を踏まえ、現行22日分以上の調剤料が一律となっている内服薬調剤料の在り方について、どのように考えるか。
  3. 投薬日数の伸びと調剤に要する手間の観点から、湯薬の調剤料の在り方について、どのように考えるか。
  4. ハイリスク薬が処方された患者に対して、調剤時に関連副作用の自覚症状の有無を確認するとともに、服薬中の注意事項等について詳細に説明することについて、調剤報酬上の評価をどのように考えるか。
  5. 調剤基本料の特例(18 点)について、時間外加算等や在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定に係る処方せんの受付回数上の取扱いをどのように考えるか。

 資料を見ると今回の改定のポイント(理由)は次のようになるようです。

  1. 後発医薬品調剤体制加算を80%以上の薬局が算定しているが、数量ベースの調剤率は18%程度にすぎない。
    (ハードルを上げて、後発医薬品への変更を進めたい?)
  2. 一包化薬の調剤料が日数が多いほど高くなり、内服薬の調剤料との差が大きすぎる
    (手間がかかることを考えれば、差があって当然と思うのですが。長期処方を制限するとか、リフィルを認めるなども検討して欲しいですね。大いに疑問有り)
  3. (手間を考えれば認めて上げるべきでしょうね)
  4. 平成20年度改定で、入院患者に対する薬剤管理指導料について、特に安全管理が必要な医薬品(ハイリスク薬)が使用されている患者に対する薬学的管理指導を重点的に評価することに対応して、薬局でも評価を認めるようです。
    (「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日薬2009年11月)ということが紹介されていますが、公表されたのでしょうか? 中身を知りたいですね。ちなみに、日病薬は同様のものを今年10月にすでに公表しています)
  5. 大型門前薬局でも、夜間・休日等の対応や訪問薬剤管理指導を行い、地域医療に 貢献している薬局があるので、18点とするのはどうかということなのでしょうか。

 CBニュースによれば、後発医薬品調剤体制加算について、磯部総一郎薬剤管理官が、数量ベースの調剤率を段階的に評価する考え方もあるなどと発言しているようですが、そんなことをしたら、また薬局によって支払う金額が異なるという事態がでてきます。そういった矛盾をどうしてお役人は考えないのでしょうね。こういった加算(調剤基本料も同様)は、患者さんの自己負担から除外することも考えてほしいですね。(でも、日薬の委員の提案か・・・)

関連情報:ハイリスク薬の薬剤管理指導に関する業務ガイドライン(Ver.1)」について
        (日病薬2009年10月21日)
         http://www.jshp.or.jp/cont/091021.html

参考:CBニュース(11月25日 一定期間を過ぎるとログイン必要)
     http://www.cabrain.net/news/article/newsId/25323.html

11月25日 22:30更新  26日12:20 18:10 27日10:40 リンク追加


2009年11月25日 18:58 投稿

コメントが2つあります

  1. ソラトブブタ

    >「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日薬2009年11月)ということが紹介されていますが、公表されたのでしょうか?

    記事に呼応するかの如く、11月24日に日薬から都道府県薬剤師会あてに会員に周知のこととして資料が送付されています。ベースは、日病薬の21年10月版です。

    後発医薬品の利用促進は、薬局のフィーを上げるだけでは進みません。

    後発医薬品に対して薬剤師、患者、そして医師が正しくその位置づけ(品質等の問題も含め)を理解する必要があります。

    薬剤費は最も削りやすいから、後発医薬品の利用で少しでも削ろうとのもくろみでしょうが、それは単に後発医薬品の使用促進だけに止まらず、不必要な(安易な)医薬品の処方(投薬)、飲み残し医薬品の問題等も同時に取り組むべきでしょう。(そこで薬剤師が腕を振るわなかったら・・・)

    後発医薬品の調剤率によって段階的に報酬を設けられては、それこそ、さらに利用者に説明がつかない料金体系になってしまい、2にあがっている「患者にわかりやすい点数体系」とやらからまた一歩後退してしまいます。現行の報酬体系ですら、薬剤師を始め、審査側も、理解しかねている位ですから・・・・・・

    薬局の後発医薬品在庫の問題が利用促進が進まない一つの原因とされているようです。そのために、後発医薬品の利用に積極的に取り組み薬局を評価しようとの思いから段階的に加算するとの発想なのでしょうが・・・・再考すべきだと思います。

  2. アポネット 小嶋

    コメントありがとうございます。

    「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」は、近く日薬HPにアップされるのでしょうね。

    診療報酬で○○を評価して、加算を設けましょうという話は医科でも出てきていますが、その加算により患者さんは負担が増えることもまた事実です。

    患者さんによっては病院・医院や薬局を選べない場合もあるはずです。それを、施設基準などの違いだけで患者さんの負担が異なってしまうのはどうかと考えます。

    システム的には難しいかもしれませんが、少なくとも調剤報酬については、薬品代は定率負担、技術料は定額負担(加算分は原則保険で100%)という仕組みに変えるべきではないかと思います。

    本当に必要な業務に集中するためにも、薬代の違いについての説明することに時間を割くことがないようにしてもらいたいものですね。