調剤報酬の改定案が示される

 5日、中医協の診療報酬基本問題小委員会が開催され、来年4月からの調剤報酬の改定案が提示されました。

第114回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会(2007年12月5日開催)
   資料(WAM NET 12月5日掲載)

 今回の改定案は、在宅患者の緩和ケアや後期高齢者医療において薬剤師の取り組みを十分に評価する方針に沿ってまとめられており、前回の改定とは異なり大幅な見直しとなりそうです。

 注目点は、後発医薬品の調剤率による調剤基本料の加算、基準調剤加算、一包化加算などの見直し、薬剤服用歴管理料と服薬指導加算の統合など多岐にわたっていて、今後の議論を見守る必要がありそうです。以下に、厚労省が提示した具体的な検討内容を示します。

1.調剤基本料及び基準調剤加算等の見直しについて

1)調剤基本料の基準調剤加算は、患者に対する薬学的管理及び服薬指導、薬剤に関する情報提供、開局時間外の調剤、医薬品の備蓄、麻薬の管理指導等に関する薬局の体制について、評価しているものである。

2)薬局における後発医薬品の調剤をより進める観点から、薬局の調剤基本料を見直した上で、新たな加算の区分を設け、後発医薬品の調剤率が30%以上の場合を評価することとしてはどうか。

3)上記に加え、開局時間外の調剤の体制については、輪番制等で対応している場合に比し、開局時間帯でも医師又は患者の求めに応じて自らの薬局のみで24時間調剤可能な体制を整えている場合の方が、患者の薬歴も確認できる等、より適切な薬学的管理指導が可能であるこ とから、このような取組をより評価することとしてはどうか。

2.調剤技術料の時間外加算等について

1)現行の時間外加算、休日加算及び深夜加算は、輪番制による当番保険薬局等、救急医療の確保のために調剤を行っていると認められる保険薬局の場合を除き、夜間、休日又は深夜に開局している薬局については、算定できないこととされている。

2)地域の救急医療体制や診療所の夜間開業等に対応する薬局を一層評価する観点から、夜間、休日又は深夜に開局し、調剤を行っている薬局においても、時間外加算等を算定できるようにしてはどうか。

3.一包化薬の取扱いについて

1)現行の一包化薬の調剤料は、処方医の了解を得た上で、服用時点が異なる2種類以上の内服薬を、服用時点ごとに一包として患者に投与した場合に算定できることとされている。しかしながら、多くの種類の内服薬が処方されていても、服用時点が全て同一の場合には、処方医の指示に基づき一包化を行っても、一包化薬の調剤料は算定できない状況にある。

2)服用時点が異なるか否かにかかわらず、一包化の手間は同様であることから、複数の内服薬が処方されており、一包化が必要な場合には、一包化薬の調剤料を算定できることとしてはどうか。

4.調剤料の自家製剤加算における錠剤の半割の取扱いについて

1)現行の自家製剤加算は、個々の患者に対し市販されている医薬品の剤形では対応できない場合に、医師の指示に基づき、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫を行った場合を評価したものである。

2)しかしながら、1錠の半量を投与するために錠剤を正確に半分に分ける場合と、錠剤を粉砕し、適切な添加物を加え散剤を製した場合とが同点数(投薬量、投与日数等に関係なく1調剤につき90点)とされていることを踏まえ、錠剤の半割については、投与日数も考慮した上で、自家製剤に要する手間に応じた評価としてはどうか。

5.薬剤服用歴管理料及び服薬指導加算の見直しについて

1)現行の「薬剤服用歴管理料」は、患者ごとの薬剤服用歴に基づき、 薬剤に関する情報を文書等により患者に提供した上で、「薬剤の服用に関し、基本的な説明及び指導を行った場合」に算定することとされている。

2)他方、薬剤服用歴管理料の加算である「服薬指導加算」は、「直接患者又はその家族等から服薬状況等の情報を収集し、これに基づき薬剤の服用等に関し必要な指導を行った場合」に算定できることとされているが、薬剤師と対話をした上で服薬指導を受ける患者の立場からは、「薬剤服用歴管理料」と「服薬指導加算」の算定要件の差が分かりにくいとの指摘がある。

3)ついては、「薬剤服用歴管理料」と「服薬指導加算」を統合し、その中で、「患者等から収集した服薬状況等の情報に基づき服薬指導すること」を評価することとしてはどうか。

6.長期投薬情報提供料1の見直しについて

1)現行の長期投薬情報提供料1は、14日分を超える長期投薬に係る 薬剤の安全使用の観点から、患者に薬剤を交付した後、服用期間中に 重要な情報(例えば、当該薬剤の使用上の注意の改訂等)を薬局が入手した場合に当該患者に連絡することにつき、患者の同意を得た場合 に算定することとされており、実際の情報提供の有無にかかわらず、 算定できるものである。

2)しかしながら、長期投薬情報提供料1の算定回数に比し、実際に患者等に対して情報提供した回数は1割以下にとどまっていることから、 現行の算定要件を見直し、あらかじめ同意の得られた患者に対して、実際に情報提供した場合のみ算定できることとしてはどうか。

7.在宅患者訪問薬剤管理指導等について

1)後期高齢者医療に関しては、
ア 入院中の患者に対して、薬局の薬剤師が、退院後の在宅医療を担う医師、看護師等と共同で、退院後の療養上必要な服薬指導等を行った場合
イ 在宅患者に対する必要な薬学的管理及び指導について、
 (1)薬剤師が他の医療関係者や介護・福祉関係者と連携、情報共有をして実施した場合
 (2)臨時処方や医師及び歯科医師の急な求めに応じて実施した場合
等を評価することについて、概ね合意が得られたところであるが、75 歳末満においてもそのニーズがあると考えられることから、後期高齢者の場合と同様に評価してはどうか。

2)また、高齢者が多く生活する施設で訪問薬剤管理指導を行う場合の評価についても、訪問にかかる時間的・距離的な負担等が少ないこと等を考慮し、後期高齢者に限らず、適正な評価としてはどうか。

8.麻薬管理指導加算について

1)在宅での緩和ケアを推進するためには、在宅における麻薬の服用、保管、廃棄などが確実に行われることが重要であることから、在宅患者に対する麻薬管理指導加算の算定要件に、薬剤師が、定期的な残薬の確認及び廃棄方法に関する指導を行うことを追加してはどうか。

2)また、麻薬が処方されている外来患者についても、麻薬の服用、保管等が確実に行われるよう、薬剤師が、電話等により定期的に患者に 確認するとともに、麻薬の服用に係る薬学的管理及び指導を充実させることとし、外来患者に対する麻薬管理指導加算において、これを評価することとしてはどうか。

 CBニュースによれば、1.について「チェーン薬局など、夜間に開業している薬局にも点数が付いてしまうのはいかがなものか」として、支払い側の委員が難色を示し、夜間開業する薬局の時間外加算については継続審議となったそうです。

 一方、この委員会では後発医薬品使用促進のための環境整備案についても話し合われ、処方せんの書式の変更やお試し調剤(但し、処方せん発行医療機関に連絡が必要)など、委員会に示された骨子案については了承されました。

 ただ、11月9日の同委員会の案では示されていた、薬剤師による処方医への確認なしでの「剤形変更」については、日医の反発が強かったため、今回の提示案からは削除されています。

関連情報:TOPICS
 2007.11.10 一定割合以上の後発医薬品調剤で基本料上乗せ
 2007.11.22 日医、厚労省の後発医薬品使用促進案に懸念を表明

参考:CBニュース12月5日
    http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=13412
    http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=13397


2007年12月05日 22:10 投稿

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