新型インフルエンザワクチンに関する安全性評価(中間報告)

 既に報道でご存じかと思いますが、21日、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 安全対策調査会と新型インフルエンザ予防接種後 副反応検討会の合同の検討会が開催され、これまでに報告された新型インフルエンザワクチンの副反応状況の概要が報告されています。25日ようやくその内容がアップされています。

平成21年度薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 安全対策調査会(第4回)及び新型インフルエンザ予防接種後 副反応検討会(第1回)(第1回合同開催)(2009年11月21日開催)
 厚労省資料(11月27日掲載) WAMNET 資料(11月25日掲載)

 厚労省によれば、実施医療機関より厚生労働省に寄せられた副反応報告は、11月19日までに877例が報告され、うち、重篤な症例が68例(13例の死亡を含む)だったそうです。また、20日までの死亡例の報告は21例だったそうです。

 これを受け、合同の検討会として次のような見解を発表しています。

  • 医療従事者2万例コホートの健康状況調査では、安全性の特性からみて、季節性インフルエンザワクチンと差はなく、期待する利益からみて、十分であったと考えられる。重篤な副反応発生についても、死亡や後遺障害に至る転帰のものはなかった。
  • 医療従事者を中心に接種が行われた10月中の接種の現状においても、2万例コホートの調査と同様に、発生している副反応の特徴に、現時点では重大な懸念は示されていない。
  • 11月以降の接種者において、死亡症例の報告が増加している傾向にあるのは、優先接種対象者として、呼吸器、心臓、腎臓等の基礎疾患(重度の基礎疾患)を有する患者への接種が11月から開始していることと関連した事象であると考えられる。
  • しかしながら、重度の基礎疾患を有する患者においては、ワクチンの副反応が重篤な転帰に繋がる可能性も完全には否定できないことから、接種時及び接種後の処置等において留意する必要がある。
  • また、感染リスクは低いものの、高齢者で基礎疾患を有する者はインフルエンザに罹患した場合に重篤な転帰をたどる可能性が高く、新型インフルエンザワクチンにおいて見られているリスクと比較して、相対的に接種のメリットは大きいと考えられる。
  • 重度の基礎疾患を有する高齢者におけるワクチン接種後の死亡であって、ワクチンと明らかな関連がないものとして主治医等が報告したものについては、個別事例の評価以外に、集積した情報の中から、問題や注意を要する情報を抽出することに重点を置いて評価すること。
  • 実施要領において、心臓、じん臓又は呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活が極度に制限される程度の障害を有する者等への接種に当たっては、接種を行うことの適否を慎重に判断するよう、接種を担当する医師に求めているが、これを徹底すること。また、そのような者に接種した場合には、接種後短時間のうちに被接種者の体調に異変が起きた場合でも適切に対応できるよう、接種後一定時間、被接種者の状態を観察すること等について、行政は医療関係者に注意喚起するべきこと。また、ワクチン接種は個々人の判断により行うべきものであることを考慮し、現在の感染状況やワクチンの安全性情報の提供を行政は徹底させること。

新型インフルエンザワクチンに関する安全性評価について
(薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 安全対策調査会及び 新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会 2009年11月21日)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/s1121-2.html

11月27日 14:00リンク追加


2009年11月25日 15:29 投稿

Comments are closed.