医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会が開催

 注目の「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」の第1回会合が、24日開催されています。各紙が、委員の発言を伝えています。(下記配布資料と関連記事(TOPICS 2009.02.27)あわせてごご覧下さい)

第1回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会(2009年2月24日開催)
    WAMNET資料(2月27日掲載)
    厚労省資料(3月3日掲載、個別資料はこちらの方がきれいです)
    議事録(3月24日掲載、厚労省ウェブサイト)

また、3月3日、日本オンラインドラッグ協会が、当日の検討会の様子について、議事録速報としてアップしています。

検討会速報
 http://comments.online-drug.jp/archives/189652.html

日本オンラインドラッグ協会活動報告2008
 http://www.online-drug.jp/2008/

慶應義塾大学総合政策学部教授・国領二郎氏(資料PDF:589KB)
  • 移動困難は高齢・過疎・少子化の日本の社会構造としての問題でもある。子育てをしているお母さんや、運転ができない高齢者など、医薬品のネット販売を必要としている人は数多い
  • 安全対策をやっていかなければいけないのは確かだが、インターネットのほうがちゃんと情報提供できる仕組みを作りやすい面もある。より多くの情報を届けるものとして、ネットは真の安全を確保する上で有効
  • ネットでの医薬品販売を規制すると、むしろ違法な業者が増えるのではないか
  • 世界的には処方薬も含めてネット利用が進展している。鎖国を続けられるとは思い難い。対応が遅れると、販売ノウハウ(アマゾンのような情報集積を利用)をためた海外販売事業者に席巻される
楽天・三木谷浩史社長(資料PDF:4,085KB)
  • 医薬品の通信販売は現行法上適法で、役所の判断で規制するのは違法
  • 既にネット販売で生計を立てている人がおり、省令で重要な権利を侵害するのは違法性が高い。なぜネットばかりいじめるのか
  • 全国186市町村には薬局がなく、ネット販売規制反対の署名は57万人分も集まっている
  • ネットでは説明責任の担保は100%取れる。情報提供の面でネット販売の方がその役割は果たせるはずだ
  • 今まで起こった薬害とか副作用、ネットではなくて自殺とかは店舗販売での話。圧倒的にネットのほうが、安全に販売ができる
全国伝統薬連絡協議会・綾部隆一氏(資料PDF:1,102KB)
  • 自社製品については薬剤師より熟知している。6月以降も販売」を続ける措置を講じてもらわないと企業が存続できない。
    (※ ふと思ったのですが、電話に対応する人は全て登録販売者か薬剤師なのでしょうか?)
  • 通信販売が禁止されると、伝統薬の継続的な提供ができなくなり、日本の誇る文化遺産が失われる
  • ネットの議論の中で、伝統薬が消失したら取り返しがつかない損失だ
日本オンラインドラッグ協会・後藤玄利理事長全体版(資料PDF:1,640KB)
  • 団体の代表ばかりで議論するのではなく、薬の購入が困難な方々を呼んでまず意見を聞くべきだ
  • 副作用リスクをできるだけ減らす安全策もつくった
全国薬害被害者団体連絡協議会・増山ゆかり氏(資料PDF:602KB)
  • 薬害は薬が引き起こしていると誤解をしている人が多いが、薬害は社会構造の欠陥や情報の不開示といった人的な要素が副作用被害を深刻化させている。対面販売ということが、何よりも薬を消費する人にとって安全を担保するものと考えている
  • 高齢者や障害者の方の購入と言うが、そういった方たちこそ、対面でそれぞれの状況に合わせた説明を行って医薬品を購入してもらう必要がある
  • 障害を持つ方は本来、薬のリスクが高いはずで、医療機関で専門家と接点を持って購入するのが望ましいのではないか。ネットで買うことの危うさも知ってほしい
  • 薬は専門家からリスクの説明を受けて使うべきで、すべてのネット業者でこれを保証することはできないのではないか
  • 本当に安全が十分に確保できるのかというのは、正直なところあまりイメージがわかない
納得して医療を選ぶ会・倉田雅子氏
  • ネットでは大量の情報を提供できるが、購入者の薬に関する知識には幅がある。情報を咀嚼できなければ入っていかない
望月眞弓委員(慶應義塾大学薬学部教授)
  • 相手が本当に自分の説明を理解してくれているかどうかを確認し、安全性を担保するためには双方向での情報のやりとりが重要になる
一橋大学大学院法学研究科教授・松本恒雄氏
  • 対面での購入というのは当然、効果はある。インターネットがほかの販売方法に比べて圧倒的に劣っているのかということの議論は必要。一方で匿名性などにおけるネットのマイナス面もある。さまざまな長所短所をしっかり見据えながら検討することが第一

 日本経済新聞によれば、この検討会は3月まであと2回開催されるようです。

関連情報:TOPICS
   2009.01.23 厚労相、ネット販売に関する検討会設置を示唆
   2009.02.06 改正省令の公布とパブコメ結果が公表
   2009.02.03 一般用医薬品の通信販売継続を求める署名が30万を突破
   2009.01.20 OTCの通信販売継続等を求める緊急会議が開催

参考:
ネット販売議論がスタート‐初会合開く
厚生労働省医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会
(YAKU-JOB.COM 薬剤師関連ニュース2月27日 薬事日報配信)
 http://yaku-job.com/news/item_983.html
日本経済新聞2月25日(宅配版)
マイコミジャーナル 2月25日
 http://journal.mycom.co.jp/news/2009/02/25/009/
毎日新聞 2月24日
 http://mainichi.jp/life/health/news/20090224k0000e040039000c.html
47NEWS 2月24日(共同通信配信)
 http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009022401000269.html
Internet Watch 2月24日
 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/02/24/22555.html
CBニュース 2月24日(一定期間を過ぎるとログインが必要です)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/20758.html
読売新聞2月24日
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090224-OYT1T00498.htm
ITPRO 2月24日
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090224/325407/
NHK 2月24日(動画あり)
 http://www.nhk.or.jp/news/k10014366331000.html
TBSi 2月24日(動画あり)
 http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4069892.html

2月24日14:10 20:40、25日 0:00 10:10、27日14:50 23:00、3月3日20:00、3月24日 16:50更新 


2009年02月24日 12:37 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    検討会後、日本オンラインドラッグ協会(JODA)が、検討会の報告と論点の説明を行っています。

    「医薬品のネット販売規制、憲法違反の可能性も」業界団体側が説明会
      (Internet Watch 2月24日)
     http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/02/24/22566.html

    確かに、通信販売規制反対派の意見をもう少し聞くなどの配慮も今後は必要かもしれませんね。

  2. 一般用医薬品のリスクを認識している度合いの違いが 意見の違いに反映されていたように思います。
    登録販売員試験に合格した店長達は、医療用医薬品服用のお客さんの問い合わせに対して、とても用心深くなってきました。単に痛み止めはどこにある?といった程度の話からでも、薬剤師がいる店舗に問い合わせしてきます。
    それに比べて、相変わらずネット上には 素人では判断でき難い誘導的なサイトが多いです。
    素人が使った時に 安全性の担保が多いか少ないかという議論に 真摯に聞く耳を持って欲しいものです。
    消費者保護の姿勢の高いほうが、安全性が高いと判断するべきなのでは?
    健康食品のテロップのように おざなりな「これは個人の感想であり・・・」をリスク情報として「出している」と主張するネット業者の自主規制が どこまで可能なのかを見極めるべきかな?
    一方で、客の安全性を考慮しない売り方をしている国家資格者の淘汰のために 薬剤師会は何をしていくのでしょうか?
    医薬品は毒(リスク)です。毒の販売に当然制限は必要です。