約3割の成人が処方薬を他人とやりとりをする(米国調査)

 米国の研究者はこのほど、処方薬の他人とのやりとり(borrowing,sharing)の実態についての調査結果をまとめ、 Journal of Women’s Health 誌のオンライン版に発表しています。

Prescription Medication Borrowing and Sharing among Women of Reproductive Age
(Journal of Women’s Health. ahead of print. doi:10.1089/jwh.2007.0769.)
 http://www.liebertonline.com/doi/abs/10.1089/jwh.2007.0769
 http://www.liebertonline.com/doi/pdfplus/10.1089/jwh.2007.0769

 この調査は、保健行動についての傾向や消費者の意見を調べる目的で全米60万家庭を対象に毎年行われている HealthStyles surveys(メールによる調査)の2001年から2006年の成人のデータ26,566人(回答率73%、うち277人分は対象から除外)に、国勢調査のデータを加味して分析が行われています。

 質問では、「今まで、だれかと処方薬を共有した(shared)ことがあるか?」や、薬の種類について、抗アレルギー薬、鎮痛剤、にきび治療薬、mood medications、抗生物質、避妊薬、その他、わからないの8つのカテゴリーに分け、どれに該当するか等を尋ねています。

 その結果、女性の28.5%、男性の26.5%が他人との処方薬のやりとりをしたことがあると答え、妊娠可能な年齢の女性(18歳~44歳)に限ると36.5%と高い比率を占めたそうです。(一方で、45歳以上の女性では19.5%)

 また、この妊娠可能な年齢の女性が他人とのやりとりをした薬剤は抗アレルギー薬が43.8%と最も多く、次いで鎮痛剤が42.6%、抗生剤が32.3%を占めていて、やり取りした理由としては、「処方せんがあったが期限が切れた、もらわなかった」「同じ病気を抱えて同じ薬を使っている人がいた」「家族から手に入れることができた」などをあげています。

 抗アレルギー薬というと、皆さんもご存知のように、妊婦に禁忌あるいは使用を避けるものが少なくありません。研究者らも、妊娠可能な女性たちが日常的に処方薬をやりとりしている実態を知っておくべきだとし、医療提供施設は患者に対し、処方した薬剤を他人が使用した場合に催奇形性のリスクがあることを伝えるよう求めるとともに、医療へのアクセス、時間的アクセスのしやすさ、薬局へのアクセスのしやすさについても今後検討する必要があるとしています。

 参考:Adults Commonly Share Prescription Drugs with Friends and Family
      (Medpage TODAY 2008.8.26)
    http://www.medpagetoday.com/ProductAlert/Prescriptions/tb/10673


2008年08月27日 13:48 投稿

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