一般用医薬品の具体的販売方法まとまる

 4日、第8回医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会が開催され、改正薬事法において規定された販売の体制や環境の整備を図るために必要な省令等の制定にあたって、情報提供等の内容・方法、情報提供に関する環境整備、情報提供等を適切に行うための販売体制、医薬品販売業者及び管理者の遵守事項等を記した検討会の報告書をまとめました。

「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会」の報告書について
     厚労省(7月16日掲載)     WAM NET(7月9日掲載)

 検討会で意見が分かれていた店舗管理者については、「管理者の指定の基準」の項目で、第一類医薬品を販売する店舗等については薬剤師であることを原則とする一方、「店舗販売業者等が薬剤師を管理者とすることができない場合は、薬剤師が管理者である店舗等において薬剤師の管理及び指導の下で、登録販売者として一般用医薬品の販売に関する業務を一定期間(3年程度)経験した者を管理者とすることができることとする。」とし、将来は登録販売者も管理者になるこを可能にすることで決着が図られました。(となると、現行の薬種商のみで運営されている店舗では、果たして薬種商資格者は自店のみの仕事で将来管理者となることはできるのでしょうか?)

 日薬雑誌7月号にも報告書の概要が紹介されていますが、以下ポイントを紹介します。

1.情報提供等の内容と方法
  • 第一類医薬品に関する情報提供は、販売に従事する薬剤師が行う
  • 第二類医薬品に関する情報提供は、販売に従事する薬剤師又は登録販売者が行うことに努める
  • 第三類医薬品に関する情報提供は、情報提供する者を含めて制度上の規定はないものの、販売に従事する薬剤師又は登録販売者によって行われることが望ましい
  • 情報提供は、対面で行うことが原則
  • 添付文書を基本とした情報提供を行う(具体的内容については報告書(案)参考を)
  • 第一類医薬品の情報提供は義務であるが、継続使用など購入者側から情報提供が不要の旨の申し入れがあった場合には、この義務規定を適用しない。但し、後日相談するために必要な情報(専門家の氏名、連絡先等)を記した文書を交付することなどにより、購入後に専門家が関与できる状態としておくことが適当。
  • 相談を受けて対応する場合の情報提供については、対面対応を原則とし、電話による方法は単純な事実関係の確認などに限定するべき(購入者や購入した医薬品が特定されない限り、不確実かつ不適切な対応になってしまうおそれがあため)
2.情報提供等に関する環境整備
リスク区分に関する表示
  • 直接の容器又は直接の被包に区分について右のような事項を表示しなければならない
  • 表記する文字及び枠の色は、原則として、黒字及び黒枠とし、白字及び白枠としても差し支えないものとする。また、文字の大きさは、原則8ポイント以上とすることが適当
  • リスク区分に関する表示は、添付文書にも記載することが適当
  • 陳列は、第一類医薬品、第二類医薬品及び第三類医薬品ごとに陳列し、同一又は類似の薬効をもつ製品群ごとにリスク区分が混在しないよう区分して陳列することが適当
  • 第一類医薬品については、販売時に薬剤師による情報提供が適切に行われるよう、販売側のみが手にとることができる方法(いわゆるオーバー・ザ・カウンター)で陳列することが適当。また、販売する時間中は、薬剤師を常時置くことが適当
  • 薬剤師による情報提供が十分に確保できることを前提に、同一又は類似の薬効の第二類医薬品等を陳列している場所において、第一類医薬品に関する製品情報(製品名リスト等)を示すことは差し支えない
  • 第二類医薬品については、購入者が直接手に取ることができる陳列でよいが、指定第二類医薬品については、販売側のみが手にとることができる方法による他、販売時に情報提供を行う機会をより確保できるような陳列・販売方法とすることが適当
  • 指定第二類医薬品については、販売時の情報提供を行う機会をより確保できるような方法により陳列・販売されるよう、指定第二類医薬品を陳列するための棚等から一定の距離の範囲内(目の届く範囲?)のところにカウンターを設けることとするなどとし、その場所に薬剤師又は登録販売者を置くことが適当
  • 第一類医薬品(指定第二類医薬品も同様?)を販売しない時間帯は、第一類医薬品を陳列する区画を閉鎖するなど、販売できない措置を施すことが適当
  • 、薬剤師又は登録販売者による情報提供が適切に行われるよう、薬局又は店舗内の情報提供を行うための場所の数に合わせて専門家を必要数確保する
  • 購入者が、医薬品の販売等に従事する専門家である薬剤師、登録販売者とその他従事者とを容易に認識できるよう、着衣・名札など、薬剤師、登録販売者及びその他従事者を区別する手段を講じる必要がある。
  • 新制度の説明や健康被害救済制度に関する事項などの情報を、当該薬局又は店舗の見やすい場所に掲示を行う(具体的内容については報告書(案)参考を)
  • 医薬品を購入する前に添付文書情報を閲覧することができるような環境を店舗等において整備することが望ましい
  • テレビ電話を活用した販売については、新制度が定着するまで3年程度(深夜早朝においても専門家が十分に確保できるまでの間)は第ニ類薬、第三類薬の販売を認める
  • 通信販売は第三類医薬品のみとし、事前に通信販売を行う旨を都道府県に届け出る
4.医薬品販売業者及び管理者の遵守事項等
  • 第一類医薬品の情報提供を行うものが薬剤師であることから、第一類医薬品薬を販売する店舗等の管理者は薬剤師であることを原則とする。但し、薬剤師が管理者である店舗等において薬剤師の管理及び指導の下で、登録販売者として一般薬の販売に関する業務を一定期間(3年程度)経験した者も管理者とすることができる(将来的には、登録販売者でも管理者となることが可能)
  • 販売制度に関する規定に違反した場合、法に基づく行政処分を課す必要がある。特に構造設備基準及び販売体制に関する規定は許可の要件でもあることから、これが守られない場合は許可の取り消しや一定期間の営業停止などの処分を躊躇せず行うべきである

 今回の合意を受けて、日薬では下記のようなコメントを発表しています。(最近このような見解がすばやく示されるようになりました。とてもよいことです。)

「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会」 報告書のとりまとめを受けて
(日本薬剤師会7月4日)
http://www.nichiyaku.or.jp/?p=12290

 薬事日報によれば、厚労省は今後この報告書を踏まえ、政省令策定を急ぎ、9月までには告示する方針だとしています。

 今後の課題ですが、まず既存の薬局・薬店において、薬剤師による情報提供ができるだけの十分なスペースが確保できるかです、一部のドラッグストなどではほとんどがセルフセレクションで購入できる陳列になっているほか、調剤を主体とする薬局でも、新たに第一類販売のためのスペースが必要となるところがあるでしょう。いずれにせよ、今後構造設備が販売業の許可要件となり、違反すれば許可取り消しもあり得るわけですから、既存の薬局・薬店も今からの準備が必要です。

 また、販売時に必要な書面による情報提供の様式について、各薬局(店舗)ごとに行うのか、それとも大衆薬メーカーに丸投げするか、さもなければ日薬が作るかが注目されます。個人的には、第一類医薬品の担い手として薬剤師が責務を負うのですから、日薬先頭になって作成し、会員に徹底することが必要ではないかと考えています。

医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000ax9a.html#shingi58

第1回
(2008.02.08) 
資料 議事録
 第2回
(2008.02.22)
  • リスク区分に関する表示の取扱い
  • 情報提供等の内容・方法
  • 情報提供等に関する環境整備
  • 情報提供等を適正に行うための販売体制
資料 議事録
 第3回
(2008.03.13)
  • 情報提供等を適正に行うための販売体制
  • 医薬品販売業者及び管理者の遵守事項等
  • (資料)委員提出資料→PDF
資料 議事録
第4回
(2008.03.25)
  • 情報提供等を適正に行うための販売体制
  • 医薬品販売業者及び管理者の遵守事項等
資料 議事録
第5回
(2008.04.04)
  • 情報提供等を適正に行うための販売体制
  • 医薬品販売業者及び管理者の遵守事項等
  • ヒアリング(日本オンラインドラッグ協会)
     →スライド
資料 議事録
第6回
(2008.04.24)
  • 検討事項に関する論点の整理について
  • リスク区分に関する表示について
資料 議事録
第7回
(2008.05.16)
  • 報告書(案)について
資料 議事録
第8回
(2008.07.04)
  • 報告書(案)について
資料 議事録 

※厚労省ウェブサイト、WAMNETにリンク

資料:医薬品の販売等に係る体制及び 環境整備に関する検討会報告書(案)
     (5月16日開催の第7回検討会で提出されたもの)
      http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/dl/s0516-8a.pdf
      (管理者についての事項は両論併記されています)
    一般用医薬品販売制度ホームページ(厚労省)
      http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/index.html 

参考:日薬雑誌7月号
   【販売体制検討会が報告書】第1類薬、店舗管理者「薬剤師」が原則
     〜 一定条件下で“登録販売者”認める
     (薬事日報 HEADLINE NEWS 7月5日)
      http://www.yakuji.co.jp/entry7321.html
   関野薬事企画官が講演−新販売制度、専門家の配置と 販売体制は一体
      (YAKU-JOB.com 薬事日報 2008年6月20日配信)
      http://yaku-job.com/news/item_814.html

関連情報:TOPICS
  2008.04.26 一般用医薬品販売の具体的な方法示される
  2008.02.23 OTCのリスク分類表示案がまとまる
  2008.02.14 医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会

7月5日 14:20掲載  9日 17:00更新 22日リンク追加 2013.01.27 更新


2008年07月05日 14:20 投稿

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