医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会

 2009年度中の施行が予定されている改正薬事法により、一般用医薬品の販売方法が変わることは皆さんもご存知かと思いますが、その販売体制や環境の整備を図るために必要な省令はまだ決まっておりません。8日、これらの省令等の制定にあたって、必要な事項を検討するための第1回検討会が開催されています。

 第1回医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会(2008年2月8日開催)
   資料(WAM NET 2月13日掲載)

 検討会では今後、毎月2回ペースで「報提供等の内容・方法」「情報提供等に関する環境整備」「情報提供等を適正に行うための販売体制」「医薬品販売業者及び管理者の遵守事項等」について話し合われ、4月には報告書としてまとめられる予定です。以下、論点として示された事項を紹介します。 

1.情報提供等の内容・方法に関する論点
販売する際に積極的に行う情報提供の方法
  1. 必ず説明すべき情報の内容
  2. 情報提供の方法
    (情報提供を適切に行うためには、専門家としての判断が求められることから、専門家が購入者側の状態を的確に把握できる方法で行うことが重要ではないか)
  3. 購入者側から情報提供が不要である旨の申し入れがあった場合、それを明確に確認する方法
医薬品の販売の際に書面により提供する情報
  1. 第一類医薬品の情報提供に用いる文書の内容のあり方
    (添付文書に記載されている情報を基本とすべきではないか)
  2. 第二類医薬品の情報提供のあり方
    (必要に応じて薬剤師又は登録販売者の判断により第一類医薬品に用いる文書に準じた文書を用いるよう努めることとすべきではないか)
相談を受けて対応する場合の情報提供の方法
  1. 相談事項や相談者の状況によって、その内容が異なり、これを定型化することは困難ではないか  
  2. 販売時の相談を受けて対応する場合の情報提供は基本的に対面で行われるべきではないか
  3. 販売後の相談及びそれに対する情報提供については、どのように対応すべきか。
2.情報提供等に関する環境整備に関する論点
リスク区分の表示についての考え方
  1. 販売名が記載されている場所と同じ面に記載する。複数の面に販売名が記載されている場合はその全ての面に記載する
  2. 直接の容器又は直接の被包にリスク区分ごとに以下の文字を表示し、枠で囲むこととする。(下記の案1、案2が提示)
  3. 第二類医薬品のうち、特に陳列に注意する製品については、2又はBの文字を枠で囲むこととする。
  4. 直接の容器又は直接の被包の記載が外から見えない場合は、外部の容器又は外部の被包にもあわせて記載する。
  5. 原則として文字は8ポイント以上とする
  6.                                      

医薬品の陳列の考え方
  1. 同一製品群のものについて、第一類医薬品から第三類医薬品をまとめて陳列する場合のあり方
    (製品群の中で区分して陳列するなど混在しないようにすべきではないか)
  2. 第一類医薬品の陳列のあり方
    (専門家が関与した上で医薬品の選択・購入がなされるよう、販売側のみが医薬品を手にとるような方法(いわゆるオーバー・ザ・カウンター)で陳列を行うべきではないか)
  3. 第一類医薬品のリストを薬局又は店頭等で示すことの必要性
    (需要者の選択により使用されることが目的とされている一般用医薬品の特性を考えると、専門家による情報提供が十分確保できることが可能)
  4. 第二類医薬品の陳列のあり方
    (第二類医薬品についても、オーバー・ザ・カウンターとするよう努めるべきではないか。また、第二類医薬品のうち、特に注意を要する成分を含む医薬品については、オーバーーザ・カウンターによる他、積極的な情報提供を行う機会をより確保することを可能となるような陳列・販売方法とすべきではないか)
  5. 現品そのものを陳列せずにそれに代わるもの(空き箱など)を陳列し、専門家のいるカウンターで現品と交換する方法や、専門家のいるカウンターから一定の距離の範囲内のところに陳列をする方法で、積極的な情報提供を行う機会の確保が可能か
  6. 薬局又は店舗においては構造設備基準に陳列に関する何らかの規定を設けるべきか
  7. 配置販売業においても、配置箱の中で第一類医薬品から第三類医薬品の分類が明確になるように、区分すべきか、また配置箱の場合は、顧客が配置箱内の医薬品の場所を変えることがあり得るため、配置時に医薬品を区分することに加えて何らかのエ夫が必要ではないか
従事者の着衣や名札等の考え方
  1. 薬剤師、登録販売者及びその他の従事者を購入者が容易に認識できるように、区別する方法
  2. 実務経験を行う者については、実務経験を行っていることがの識別が容易に行われるようすうにする方法
  3. 配置販売業の身分証明の方法
    (身分証の着用、購入者が薬剤師、登録販売者等のいずれかがわかるような仕組み)
薬局及び店舗における掲示の考え方
  1. 薬局及び店舗において掲示すべき内容にはどのようなものが考えられるか
  2. 購入者が適正に医薬品を購入する観点から、以下のような、薬局・店舗ごとに設定されている項目についても記載すべきではないか。
    ・許可の区分の別
    ・開設者の氏名(名称)
    ・管理者の氏名、業務
    ・勤務する薬剤師、登録販売者の種別、氏名
    ・取り扱う医薬品の種類(第一類医薬品から第三類医薬品まで全て、第二類医薬品及び第三類医薬品のみ、等)とその定義等
    ・購入者が直接医薬品を手にとることができない場所に陳列を行っている医薬品の種類
    ・薬剤師、登録販売者又はその他の従事者の着衣・名札の区別
    ・相談に応じることができる時間(営業時間外を含む)
    ・緊急時の連絡先、住所その他の事項
  3. 掲示する場所
    (消費者が店舗の外からも容易に見ることができるような場所を基本とすべきではないか)
購入前の添付文書の閲覧
  1. 医薬品の添付文書の内容に関しては、購入者が購入前に閲覧できるように環境を整備の必要性
  2. 閲覧の方法
    (添付文書の写し等を備えつける、電子的媒体を利用する)
苦情相談窓口の設置
  1. 苦情を相談窓口設置の必要性
    (制度の実効性を高める観点から、販売方法等について、購入者からの苦情を処理する窓口を設けるべきではないか)。
  2. 苦情処理窓口を設ける機関
    (業界団体や、医薬品販売業の許認可権限を有している都道府県等が考えられる)

 検討会では、まず外箱や容器への表示のあり方について、企業側の準備に時間がかかることを考慮し、他の項目より先行して検討が行われました。その結果、検討会では提示された厚労省から示された素案を元に、文字の大きさは最低8ポイント以上、販売名の大きさに比べ極端に小さくならないよう配慮する、販売名が記載されている面の全てに明記することで一致したそうです。

 ただ、表示する内容については、示された2案について、「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」とするか、「A医薬品」「B医薬品」「C医薬品」とするかでは、意見が割れたそうです。また、単に分類を識別するだけでなく、リスクの程度が異なることを含めた形で認識を促すようにすべきや、色や表示の形状への工夫を求める意見も出されたそうです。

 このため厚労省では、この「表示内容」については2月中にもパブリックコメント行うことを提案し、これを参考に結論を得ることにしました。

 第二類医薬品のうち、特に陳列に注意する製品については、2又はBの文字を枠で囲むこととするとしていますが、商品を手にする消費者はどう捉えられるでしょう? 第二類をいわば2つに分けてしまったことは、よくなかったかもしれませんね。

 関連情報:一般用医薬品販売制度ホームページ(厚労省)
       http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/index.html

 参考:販売体制検討会が初会合-外箱・容器への表示の議論を先行
     (薬事日報 HEADLINE NEWS 2月8日)
     http://www.yakuji.co.jp/entry5778.html

2月14日 13:50掲載


2008年02月14日 13:50 投稿

Comments are closed.