一般用医薬品販売の具体的な方法示される

 24日、第6回医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会が開催され、この間の議論を踏まえた論点の整理(案)が示されました。以下気づいた点を整理して紹介したいと思います。

1.販売時の情報提供等の内容
医薬品の適切な選択に資する情報の提供 販売の現場における情報提供の実効性を担保する観点から、専門家は、医薬品の適切な選択に資するよう、次のような点について購入者に確認し、必要に応じて質問することが適当。  

・「購入の動機」は何か
・「使用する者」は誰か・ 販売名
・「服用してはいけない人」、「してはいけないこと」に該当するか否か
・「医師等による治療を受けている」か否か(治療を受けている場合)
・「使用前に医師・薬剤師等に相談する必要がある人」か否か

また、購入者への質問に対する返答を中心として、次のような点について、情報提供が確実に行われるようにすることが適当。

・成分及び分量
・効能又は効果
・用法及び用量
・「服用してはいけない人」、「してはいけないこと」に関する情報
・医師等による治療を受けているか否か」に関する情報
  (治療を受けている場合)
・「使用前に医師・薬剤師等に相談する必要がある人」に関する情報   

医薬品の適正な使用に資する情報の提供 専門家は、医薬品の適正な使用に資するよう、購入者に対して次のような点について情報提供することが適当。  

・「外箱、添付文書を保存しておくようにする」旨の情報
・「添付文書をよく読んでから使用する」旨の情報
・「併用してはいけない薬剤」に関する情報
・「副作用が発現したと思われる場合は、直ちに使用を中止し、
  医師・薬剤師・等に相談する」旨の情報
・「一定期間服用しても病状が改善しない場合は、
  医師・薬剤師等に相談する」旨の情報
・「一定期間服用しても病状が改善せずに、悪化した場合は、
  医療機関での診察を受ける」旨の情報
・後日相談するために必要な情報(専門家の氏名、連絡先等)

情報提供した旨の確認 販売時に情報提供を行ったことを示すものとして、購入者に購入後の相談方法等を記した文書を交付することが望ましい。
2.第一類医薬品の販売の情報提供等の方法
書面の交付 第一類医薬品の情報提供は、書面を用いて、その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならない。この書面は、薬剤師による情報提供の内容を購入者ができるだけ理解しやすいようにするためのものであり、購入者の理解を補助することのほか、購入後の記憶を補うものとしての役割もある。  

書面により提供する情報の内容が、添付文書中の「使用上の注意」に係る事項であれば、情報提供に用いた書面は必ずしも交付しなければならないものではなく、必要に応じて交付することで差し支えないものと考える。

書面の内容 製品を特定するための販売名や成分及び分量のほか、販売時に行われる情報提供の内容が記されている必要があり、最低限必要な項目としては、添付文書中の「使用上の注意」に係る以下のような事項とすることが適当。  

・販売名
・成分及び分量
・効能又は効果 ※積極的な情報提供の「購入の動機」に相当。
・用法及び用量 ※同「使用する対象者」に相当。
・使用上の注意のうち次のもの
 「服用してはいけない人」、「してはいけないこと」に関する情報
 「医師等による治療を受けているか否か」に関する情報
  (治療を受けている場合)
 「使用前に医師・薬剤師等に相談する必要がある人」に関する情報

また、上記以外lこ、情報提供の際には、「医薬品の適正な使用に資する情報(上記1)」も書面に記されている必要がある。

購入者側から不要の旨の申し入れがあった場合等の対応 購入者側からら情報提供が不要の旨の申し入れがあった場合(例:購入者側から常備薬として日常使用している、使用中の同一製品を持参してきた等)には、書面の交付は行わなくともよいが、この場合においても、後日相談するために必要な情報(専門家の氏名、連絡先等)を記した文書を交付することなどにより、購入後に専門家が関与できる状態としておくことが適当。
3.相談を受けて対応する場合の情報提供
  • 第一類医薬品に係るものは薬剤師が、第二類医薬品及び第三類医薬品に係るものは薬剤師又は登録販売者が情報提供を行う。
  • 相談を受けて対応する場合の情報提供は、購入者や購入した医薬品が特定されない限り、不確実かつ不適切な対応になってしまうおそれがあると考えられ、店舗等において専門家が対面で直接行うことを原則とする。
  • ただ、相談者側のその時点における状態(体調や様態)によっては、電話による場合等、対面によらない方法で行われることも考えられる。この場合には、単純な事実関係の確認の他、「店舗等への来訪を求めること」「医療機関への受診を勧めること(受診勧奨)」「店舗等への来訪や受診勧奨を前提とした、使用者側の情報収集のための会話」などの対応に留め、それ以上の対応を求められる場合は、 店舗等において対面で直接行われるようにすることが適当。
4.陳列方法、情報提供の場所
第一類医薬品 販売時に薬剤師による情報提供が適切に行われるよう、棚等をいわゆるカウンターの背後に設けるとともに、販売側のみが手にとることができる方法(いわゆるオーバー・ザ・カウンター)で陳列することが適当。  

また、薬剤師が関与した上で第一類医薬品の選択・購入がなされるよう、第一類医薬品を陳列する区画の内部又は隣接する場所に情報提供を行うための設備を設け、その場所に薬剤師を置くことが適当。

薬剤師による情報提供が十分lこ確保できることを前提に、同一又は類似の薬効の第二類医薬品等を陳列している場所において、第一類医薬品に関する製品情報(製品名リスト等)を示すことは差し支えない。

指定第二類医薬品 販売側のみが手にとることができる陳列方法とするよう努めることが望ましい。  

購入者が直接手に取ることのできる陳列を行う場合には、積極的な情報提供を行う機会をより確保できるよう、棚等から一定の距離の範囲内のところにカウンターを設けることとするなど、その場所に薬剤師又は登録販売者を置くことが適当。(陳列に関する規定を構造設備基準に設ける)

その他の第二類医薬品 購入者が直接手に取ることができる陳列でよいが、薬剤師又は登録販売者ができる限り情報提供をするには、第一類医薬品と同様に、販売側のみが手にとることができる方法とするよう努めることが望ましい。
配置販売業における陳列 箱の中でリスク区分が明確になるよう、配置時に区分して配置しなければならない。  

配置後に顧客が配置箱内の医薬品の場所を変えることがあり得るため、配置時に医薬品を区分することに加えて、配置する医薬品の販売名とリスク区分が対比できるような文書を添えて情報提供するなど、適正な陳列が行われるための工夫を行うことが適当。

5.薬局及び店舗における掲示

 国民からみてわかりやすく、かつ実効性のある販売制度を構築するために次の2つの観点は必要不可欠。

販売制度の実効性を高める観点から掲示する情報 ・第一類医薬品、第二類医薬品及び第三類医薬品の定義・解説
・第一類医薬品、第二類医薬品及び第三類医薬品の表示に関する解説
・第一類医薬品、第二類医薬品及び第三類医薬品の情報提供に関する解説
・医薬品の陳列に関する解説
・ 相談時の対応方法に関する解説
購入者が適正に医薬品を購入する観点から掲示する情報 ・許可の区分の別(i)
・開設者の氏名又は名称(ii)
・管理者の氏名、業務
・勤務する専門家の種別、氏名(iii)
・取り扱う医薬品の種類
・従事者の着衣・名札等による区別に関する説明
・営業時間及び営業時間外に相談に応じることができる時間
・緊急時の連絡先  

なお、掲示にあたっては、上記(i)〜(iii)については、薬局及び店舗販売業の許可証並びに薬剤師免許又は販売従事登録証(写しを含む。)を掲示することで対応しても差し支えないものとする。

 掲示する場所については、薬局又は店舗において、購入者が容易に見ることができるようにするとともに、購入者にとって理解が深まるよう、わかりやすい記載に努めることが適当である。また、必要に応じて、同じ掲示情報を複数の場所に掲示することにより、購入者が頻繁に見ることができるようエ夫することが望ましい。

 この他に、論点の整理(案)では、「リスク区分に関する表示」「従事者の着衣や名札等」「購入前の添付文書の閲覧」「苦情相談窓口の設置」「情報通信技術を活用する場合(テレビ電話・通信販売)の考え方」「医薬品販売業者及び管理者の遵守事項等」も示されています。

 また、今回の検討会では、リスク区分表示に関するパブリックコメントに寄せられた意見が明らかになっていますが、次のような現場からの不安や不満の声も寄せられています。

  • 指定第二類医薬品(第ニ類医薬品のうち、特に注意を要する医薬品)については、法第36条の3(一般用医薬品の区分)の規定になく、一般用医薬品等についてのリーフレット等による広報活動等でも触れられていない。今回の提案は唐突になされ、実質、4区分にするというものであり、法の規定を歪めるものである。
    必要であれば、特に注意を要する医薬品については、個々に、明確なエビデンスに基づき、第1類医薬品とすべきではないか。
  • 指定第二類医薬品は案が示されているのみであり、通知等で示してほしい。
  • リスク分類と医薬品の範囲に関する基準等の一部改正について」による区分(いわゆる食薬区分)とに一貫性がない。今後の管理という立場から、リスク2類は食薬区分こおける医薬品扱いに、リスク3類は食薬区分こおける非医薬品扱いとすべきではないか
  • 店舗等での掲示項で、店舗にいる専門家(薬剤師または登録販売者)を購入者が見分けられるか。また、服装・名札などが徹底できるか疑問がある。
  • “広告の商品”“売れ筋の商品”“利益の多い商品”を中心に陳列するのはあたり前であり、「医薬品のリスク分類ごとに分けた陳列」は机上の空論ではないか。また、その陳列をだれが監督・管理するのか。
  • 専門家が消費者にその都度リスクの説明をするのは本当に実行できるのか。現在の店舗実状とかけ離れた対応を求められているのではないか。

 今回の検討会ではこの論点(案)をもとに報告書作成に向けた議論の集約が図られましたが、各紙によると、このうちの「管理者要件」などについては意見の一致が見られなかったようです。日刊薬業によれば、報告書には「両論併記にならざるを得ない」のではないかと伝えています。

 販売側の論理を優先するか、購入者の安全性確保を優先するのか、検討会としてまとめられる報告書(最終的には省令案をパブリックコメント?)を注目しましょう。

 引用資料:第6回医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会
       資料(2008年4月24日開催、WAMNET 4月25日掲載)

第1回医薬品の販売等に係る体制
及び環境整備に関する検討会
2008年2月 8日開催 資料 議事録
第2回医薬品の販売等に係る体制
及び環境整備に関する検討会
2008年2月22日開催 資料 議事録
第3回医薬品の販売等に係る体制
及び環境整備に関する検討会
2008年3月13日開催    
第4回医薬品の販売等に係る体制
及び環境整備に関する検討会
2008年3月25日開催 資料  
第5回医薬品の販売等に係る体制
及び環境整備に関する検討会
2008年4月 4日開催 資料  
第6回医薬品の販売等に係る体制
及び環境整備に関する検討会
2008年4月24日開催 資料  

※厚労省ウェブサイト、WAMNETにリンク

 関連情報:TOPICS
2008.02.14 医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会
2008.02.23 OTCのリスク分類表示案がまとまる

 参考:日刊薬業ヘッドラインニュース(4月28日)

4月26日 14:20掲載 28日更新


2008年04月26日 14:20 投稿

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