FDA、2歳未満へのOTC風邪薬の使用中止を呼びかける

 米FDAは17日、「小児向けのOTC咳止め・風邪薬(シロップ剤)の使用で、死亡やけいれん、動悸、意識レベルの低下などの副作用が報告されているとして、これらのOTC薬を2歳未満の乳児に使用しないよう、親・保護者に対して勧告を発表しました。

FDA Releases Recommendations Regarding Use of Over-the-Counter Cough and Cold Products FDA(FDA NEWS 2008.1.17)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/2008/ucm116839.htm
FDA Recommends that Over-the-Counter (OTC) Cough and Cold Products not be used for Infants and Children under 2 Years of Age(Public Health Advisory 2008.1.17)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/PublicHealthAdvisories/ucm051137.html

 FDAでは昨年10月に行われた非処方せん薬諮問委員会(Nonprescription Drugs Advisory Committee)と小児科諮問委員会(the Pediatric Advisory Committee)の合同の委員会で「6歳未満に風邪薬を使用しないことを勧告する」との評決を受けて、これらのOTC薬について検討を行ってきましたが、2歳未満への使用については、有効性と安全性が示されなかったとして、今回の発表となりました。

 一方、2歳から11歳までの子どもについては現在、有効性や安全性のデータを検証中として、使用中止の勧告は行いませんでした。春には結論が示される予定とされていますが、各紙が使用中止が6歳まで広がるのではないかとみています。FDAでは当面はOTC風邪薬・咳止めについては、次の点を守っての慎重な使用を求めています。

  1. ラベルに記された用法を守って服用させなさい
  2. これらの薬は、一般的な風邪の治したり、治りを早めるわけでないことを知っておくべきである
  3. 多くのOTC風邪薬や咳止めは、複数の成分を含まれているので、どんな成分が含まれているかを確認すべきである
  4. くすりを量る場合は、専用のカップを用い、家庭にあるスプーンなどは用いないこと
  5. これらの薬を購入する場合は、安全キャップのあるものを選び、子どもの手の届かないところで保管すること
  6. これらの薬は子どもたちを休めるためや眠らせる目的では使わないこと
  7. 2歳以上の子どもに風邪薬や咳止めを用いる場合も、医師または薬剤師、その他医療専門職に相談すること

 OTC Cough and Cold Products: Not For Infants and Children Under 2 Years of Age Questions and Answers for Consumers(FDA 2008.1.17、一般消費者向けQ&A)
  http://www.fda.gov/consumer/updates/coughcold011708.html

 日本語訳が、海外公的機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.6 No.4に掲載されています
  http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly6/04080221.pdf

 今回の勧告に対し米国内では、「大衆薬業界に配慮して、6歳未満まで使用中止の勧告を行わなかったのではないか」とする声も一部団体から挙がっており、春にも示される2歳以上への使用の取り扱いについてのFDAの見解が注目されます。

 一方日本でも、日本大衆薬工業協会が、昨年の諮問委員会の勧告を受け、これらの薬を服用する場合は用法・用量を厳守することや、1歳未満には医師の診療を受けさせることを優先するよう注意を呼び掛けていますが、日本のシロップ剤の濃度は米国の製品の1/10〜1/20程度として、米国のように販売中止や自主回収のような措置は現時点ではとられていません。

 しかし、抗ヒスタミン剤の過量服用による有害事象の危険性はわが国でも注意すべきであり、ニュージーランドのように薬剤師の管理下での販売が必要と思われます。

 関連情報:小児用シロップ剤(かぜ薬、咳止め薬及び鼻炎用薬など)の使い方にご注意を
       (JSMI トピックス 2007.11.26)
       http://www.jsmi.jp/news/0711/20071126_topics.html

TOPICS 2007.10.20 FDA諮問委、6歳未満に風邪薬を使用しないことを勧告
      2007.10.12 小児用OTC風邪薬・咳止め薬、自主回収へ(米国)

  Over the Counter but No Longer under the Radar?
    Pediatric Cough and Cold Medications
     (NEJM. 2007; 357(23):2321-2324)
    http://content.nejm.org/cgi/content/full/357/23/2321

 参考:Young Kids Should Not Take Nonprescription Cold Products, FDA Says
    (Health-System Pharmacy News 2008.1.17)
 http://www.ashp.org/s_ashp/article_news.asp?CID=167&DID=2024&id=23864
    共同通信1月18日
     http://www.47news.jp/CN/200801/CN2008011801000030.html
     http://www.47news.jp/CN/200801/CN2008011801000140.html
    産経新聞1月18日
     http://sankei.jp.msn.com/life/body/080118/bdy0801181205001-n1.htm
    ロイター通信1月17日

1月18日 15:40掲載 21:50更新 2月25日リンク追加 2010年5月16日リンク再設定  


2008年01月18日 15:40 投稿

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