この論評では、カナダにおける薬剤師による処方の現状について、その証明された利点、潜在的な落とし穴、患者ケアへの全体的な影響などが概説されている。（Xに2024.08.11に投稿したものを再投稿しました）
【Can Fam Physician. 2024 Jul-Aug;70(7-8):441-443】
Expansion of pharmacist prescribing could help improve health care access and quality
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11328721/
現在までに、カナダの全10州で、薬剤師による軽症疾患の治療薬の処方が認められている。
一方で、薬剤師による処方は州や地域の問題であるため、カナダ全国的な基準は存在しない。
ほとんどの州の軽症疾患プログラムは、教育と訓練の基準を設定し、薬剤師処方の制限を明確に定義し、個々のポリシーを開発している。
効果的な医療を提供するためには、必要な専門知識、知識、およびトレーニングを有することが不可欠である。
薬剤師のトレーニングと免許は、臨床評価、鑑別診断、適切な治療介入の選択、臨床診療ガイドラインの遵守、薬物相互作用の同定と管理、患者教育の提供、他のプライマリケア提供者とのコミュニケーションなど、幅広い責任を包含している。
薬剤師の規制機関は、業務基準を満たすために継続的な能力の維持を義務付けている。
薬剤師は、規制された医療専門家の別個のクラスとして、軽微な病気のプロトコルの下で薬を処方する際の行為に単独で責任を負い、それによって患者に対する個々の義務と説明責任を負う。
この責任の明確化は、薬剤師主導の処方イニシアチブに内在する自律性と説明責任を強調するものである。
さらに、薬剤師が医師から独立して行動し、定められた業務範囲内で自律的に実践している場合（すなわち、医師から委任された権限に基づいて行動していない場合）、医師は一般的に薬剤師の行為について責任を問われることはない。
具体的な要件は法域によって異なるかもしれないが、規制当局は薬剤師が軽症疾患の処方に関連する倫理的、法的、および専門的な義務に精通していることを期待していることに留意することが重要である。
一部の薬剤師や薬局が直面している膨大な作業負荷を考慮すると、軽度の病気のサービスの提供は大きな課題となる可能性がある。
これは、特に地方や十分な医療が行き届いていない地域での医療へのアクセスに取り組む場合、政府にとって重要な考慮事項である。
しかし、十分なサポートとワークフローの最適化があれば、薬局チームはケアの質を落としたり、既存の業務負担の重圧を悪化させたりすることなく、これらの軽症患者サービスを効果的に業務に取り入れることができる。
例えば、業務範囲をワクチン接種管理などの活動にまで拡大している pharmacy technicianに技術的なタスクを委任すると、作業負荷のプレッシャーをさらに軽減できる。
金銭的な利益相反は潜在的な懸念としてよく指摘される。
薬剤師は倫理規定に縛られており、常にビジネス上の利益よりも適切な臨床判断を一貫して優先することが求められている。
さらに、薬剤師は自分が書いた処方箋がどの薬局でも調剤できることを患者に知らせることが義務付けられており、患者の自主性と選択権を促進している。
さらに、カナダのほとんどの管轄区域では、薬剤師の評価に対する公的報酬は、医師への紹介や市販薬の推奨などの診察結果とは無関係です。
この構造は、患者ケアの公平性を確保し、潜在的な利益相反を軽減することを目的としている。
薬剤師の処方は、患者の5人に1人がかかりつけ医に定期的にアクセスできないヘルスケアシステムにおける小さな戦略の1つに過ぎない。
今後、州および地域は、薬局内でのケアへのアクセスを安全に最適化し、薬剤師と他のプライマリケア提供者との連携を促進し、プライマリケアへのアクセスを改善するための戦略を検討すべきである。
これらの取組みは、継続的な研究と評価と相まって、カナダにおける医療提供の継続的な強化に貢献するであろう。
2025年06月07日 15:24 投稿
