20歳から79歳までの日本人男性を対象に行われた遅漏(射精障害:delayed ejaculation (DE))に関する横断的インターネット調査の結果と解析がこのほど発表されています
【Sex Med. 2025 Sep 10】
Prevalence and associated factors of delayed ejaculation: insights from a nationwide internet-based, cross-sectional survey on male sexual dysfunction in Japan
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12421998/
調査は、日本性機能学会の臨床研究推進委員会によって行われたもので、有効回答数6,228人のうち、性行為を報告した5,331人が分析対象となっています。
DEは複雑であまり研究されていない男性の性的機能障害であり、その臨床的意義は性的不満にとどまらず、心理的苦痛、対人関係の困難、生殖に関する健康への影響までに及んでいる。
調査結果によれば、調査対象者のDEの有病率は5.16%で、若い人ほど多く(20-24歳では10%超)、有病率は加齢とともに有意に減少。
58.18%が自身の症状に対する治療を受けたいと答えたが、医療専門家に相談したことがあるのはわずか11.88%。
この結果について研究者らは、若い男性、特に妊娠を目的とした性交を行っている男性は、性交痛によってより深刻な苦痛を感じている可能性があるとした一方、高齢男性は性交痛を経験しても、生殖目的がない場合はそれほど問題視しない可能性があるとしています。
またこの調査では男性の70.4%がセックスレス(月1回未満の性交渉)に分類され、20~24歳層ではその割合が60%を超え、最も高かったことも明らかになっています。
これらの若年男性は、性欲、オーガズム、満足度においても予想を下回るスコアも示されています。こうした結果は、日本の若年層においてパートナーとの性行為が減少しているという広範な社会文化的背景を示唆しており、これが勃起障害(ED)症状の重要性を低下させ、治療を求める動機を減退させている可能性があるとしています。
一方、多変量解析の結果、向精神薬の使用(OR = 2.41)、骨盤外傷(OR = 2.39)、パートナー満足度のが低い(OR = 2.27)、EDの存在(OR = 2.04)、神経疾患(OR = 2.02)、肥満(OR = 1.51)、自慰行為の頻度が高い(OR = 1.24)、性交の頻度が高い(OR = 1.17)がDEと有意に関連。
研究者らは、頻繁なマスターベーションは、強直した体の姿勢や視聴覚的な手がかりなど、性交以外の特定の刺激に対する条件付けされた射精反応を反映している可能性があり、これはパートナーとの性交では再現できない可能性があり、その結果射精困難につながるとしています。
また、性交の頻度を高くすることは、射精遅延を克服するための代償行動と考えられ、不安や生殖へのプレッシャーによって引き起こされることが多く、逆説的に射精障害を悪化させる可能性があるとしています。
2025年09月20日 14:27 投稿
同じ調査データの別の研究がありました
25年ぶりの全国調査で日本人男性の性機能が明らかに
「約1,400万人が勃起障害(ED)」
「セックスの回数1年に1回程度以下が45.7%」
「早漏で悩んでいる人は約910万人」
(日本性機能学会 2024.07.08)
https://www.atpress.ne.jp/news/400999
Erectile Function and Sexual Activity Are Declining in the Younger Generation: Results from a National Survey in Japan
(World J Mens Health. 2024 Aug 30)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11704172/
~ 早漏の実態が日本初の大規模調査で明らかに ~
日本人男性の約4人に1人が『3分以内』の早漏
早漏の最大要因は「勃起障害(ED)」
調査結果をまとめた論文が国際学術誌に正式掲載
(日本性機能学会 2025.09.26)
https://www.atpress.ne.jp/news/546636
Prevalence and Factors Associated with Premature Ejaculation in Japan: First Nationwide Cross-Sectional Survey by the Japanese Society for Sexual Medicine
(World J Mens Health. 2025 Jun 11)
https://wjmh.org/DOIx.php?id=10.5534/wjmh.250094