大豆イソフラボン、更年期症状の改善に疑問

 大豆イソフラボンは日本でも更年期症状の改善に広く使われていますが、Arch Intern Med.誌にこの効果に疑問を投げかける論文が掲載されています。 (薬剤師関連のstudyについて、一部については下記のスタイルで紹介しています。記述法などに誤りがございましたらご指摘下さい。)

研究の
目的や背景
使用者が増えている大豆イソフラボンサプリメントが骨密度の低下や更年期の症状に効果があるかどうか
研究の方法 二重盲検ランダム化比較試験
どんな人が
研究の対象?
腰椎または股関節の bone mineral density T score が -2.0以上の閉経5年以内の45~60歳の女性248人
どんな介入? 介入群には毎日200mgの大豆イソフラボンサプリメントを2年間摂取(介入群122人、プラセボ群126人)
何を比較? 腰椎などの骨密度の変化、更年期症状の変化(服用開始時176人にほてり、寝汗などの一つ以上の更年期症状)
わかったこと ・骨密度の変化は有意差がなかった
・大豆サプリメント介入群でほてりを感じる人が多かった(48.4%対31.7%、P=0.02)
・膣の細胞学的特数、コレステロール値、トリグリセリド値、甲状腺刺激ホルモンはグループで差がなかった
・大豆サプリメント介入群では便秘が多く発現した(31.2%対20.6%、P=0.06)
コ メ ン ト 非介入群で脱落者が多かったという問題がありますが、更年期症状の一つであるほてりが介入群で多かったことや副作用も少なくないことから、大豆イソフラボンの有用性に疑問を投げかけるものとなっています。一部研究者らは、自覚症状の改善には、SSRIやガバベンチンなどの方が有用ではないかという意見も出ています。
論 文 名 Soy Isoflavones in the Prevention of Menopausal Bone Loss and Menopausal Symptoms
掲載雑誌  Arch Intern Med. 2011;171(15):1363-1369.
リ ン ク  http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/171/15/1363

関連情報:TOPICS 2011.01.19 SSRIと更年期障害によるほてり

論文紹介記事:
Soy No Help for Bone Loss, Hot Flashes
(ABC NEWS 2011.08.08 Medpage TODAY 配信)
http://abcnews.go.com/Health/WomensHealth/soy-bone-loss-hot-flashes/story?id=14257986
Soy Tablets Little Help for Bone Loss, Hot Flashes
(WebMD 2011.08.08)
http://www.webmd.com/menopause/news/20110808/soy-tablets-little-help-bone-loss-hot-flashes
Soy Supplements Don’t Ease Bone Loss, Menopausal Symptoms: Study
(HealthDAY 2011.08.08)
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=655667


2011年08月09日 12:42 投稿

コメントが2つあります

  1. 独立行政法人国立健康栄養研究所http://hfnet.nih.go.jp/で検索すると、いろいろな科学的根拠情報があり、食品の効能効果(個人的には食効と呼んでますが)は、日を追うごとに検証は必要ですねぇ(費用もかかりますが)。個別の素材(DNAレベル)の原産地・原料・栽培法などの検証とか。市販されてる数々の健康食品(テレビ通販はどれほどかわかりませんが)に検証がないのが不安です。食品はバランス良く摂取しましょう。

  2. アポネット 小嶋

    コメントありがとうごさいます。

    国立健康栄養研究所の「健康食品」の安全性情報にリンクをはっておきます。

    ダイズ
     http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail84.html

    それと忘れていましたが、5年前に必要以上にとりすぎないようにとした勧告が出ていましたね。

    大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
    (内閣府食品安全委員会事務局 2006年5月16日更新)
     http://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html

    大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方
    (食品安全委員会 2006年5月)
     http://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-singi-isoflavone_kihon.pdf

    TOPICS(旧サイト)
     2006.02.01 大豆イソフラボンについての国の基本的な考え方
     2005.12.14 大豆イソフラボン、1日の摂取量の目安は30㎎