薬と社会をつなぐキーワード事典(書籍紹介)

 さまざまな分野で、分野ごとの学問や領域について理解する上で必要なキーワードについての解説が加えられた「キーワード事典」が出版されていますが、このほど薬と社会のつながりを考えるうえでカギとなるキーワードについて、事柄の解説や考え方をまとめた書籍が出版されました。

 この書籍については、私もいくつかのキーワードについて分担執筆させて頂きました。(随分、他の執筆者から添削や注文がありましたが) 

 こんな時期なので紹介するのはどうかと思いましたが、オンラインのサイトでも少しづつ販売が始まりましたのでちょっと紹介します。(現時点ではまだ出版元での紹介ページはありません)

薬と社会をつなぐキーワード事典(発行:本の泉社
(大村紙業株式会社 書誌サイト)
http://www.ohmura-books.jp/bd/ISBN978-4-7807-0600-0.html

 本書は上記の通り235項目のキーワードをあいうえお順に解説したもので、キーワードは15の分野(分野ごとに重複あり)に及んでいます。そのいくつかを紹介しています。

薬と薬学一般 医学・薬学教育と臨床薬理学、生活改善薬(ライフスタイル・ドラッグ)、日本漢方と中医学、ディジーズ・モンガリング(病気の売り込み)、薬学教育6年制
 医薬品の開発/臨床試験/承認 新しい創薬技術、医薬品の有用性(使用価値)、漢方薬の臨床評価、子的資金による臨床試験、性差医療と薬物療法
 医薬品の流通・販売 医薬品のインターネット販売、医薬品の市場撤退、医薬品のDTCマーケティング、薬剤経済学
 医薬品の適正使用 EBM(根拠に基づく医療)、医薬品の適応外使用、おくすり手帳、抗菌薬の合理的な使用、抗精神薬の合理的使用、ドーピング、薬物乱用
 薬局/薬剤師 学校薬剤師、専門薬剤師、ファーマシューティカルケア、薬剤師と災害医療、薬剤師と在宅医療、薬剤師と臨床検査
 保険・医療 漢方エキス製剤、健康教育とくすり、診療ガイドライン、WHO必須医薬品薬品モデルリスト、補完代替医療、薬剤師とプライマリヘルスケア、ワクチン行政
 医療制度 医薬分業、 医薬品副作用被害救済制度、医療保険制度、混合診療、診療報酬制度、薬価基準制度
 医薬品の安全対策/副作用/薬害 医薬品の市販後安全対策、患者からの副作用直接報告制度、健康食品の安全性、薬害、害有害事象と副作用(害反応)
 医学・医療の倫理 医薬品の評価と選択をめぐる利益相反、インフォームド・コンセント、患者の権利、くすりと信仰、臨床試験における被験者保護
医療・医薬品と情報  医薬品情報担当者(MR)、医薬品の安全性情報の伝達、患者向け医薬品情報
 疫学・統計処理 EBMにおけるエビデンスのレベル、疫学、コクラン共同計画、システマティック・レビューとメタアナリシス、ランダム化比較試験(RCT)、薬剤疫学
 食品の安全 アグリビジネス、1日摂取許容量(ADI) 、遺伝子組み換え食品、健康食品の安全性、食品添加物の安全性、ダイエタリー・サプリメント、輸入食品の安全対策
 環境の安全性 医薬品・パーソナルケア製品による環境汚染、化学物質によるアレルギー、化学物質への職業性暴露、化学兵器、シックハウス症候群、タバコによる健康被害、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)、農薬汚染
 法規・基準 医薬品の範囲に関する基準(食薬区分) 、医療法、環境基準、タバコ規制枠組み条約
 機関・組織 医薬品の規制機関(各国)、英国国立医療技術評価機構(NICE)、国際がん研究機関(IARC)、米国食品医薬品局(FDA)、パブリックシティズン

 くすり、食・環境、薬学・薬剤師をめぐる最近の話題を理解するうえで必要な多くのキーワードが網羅され、それぞれ歴史や背景についての解説も行われています。

 すなわち薬学の領域は上記のように広く、将来どの分野で働くかを考えている薬学を学ぶ学生さんや、本サイトで出てくるキーワードについて深く知りたい方は、是非ご一読下さい。価格は税込み2,500円です。


2011年04月08日 15:56 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    Amazonの‘クリックなか見!検索’で、まえがき、目次と索引がみれますので、本書の目的、取り上げたキーワードやどのようなキーワードが引用されているかがわかります。

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