抗肥満薬lorcaserin、FDA諮問委は承認を認めず

 16日、FDAの内分泌・代謝性医薬品諮問委員会(Endocrinological and Metabolic Drugs Advisory Committee)が開催され、エーザイ社の米国子会社が米国における独占的販売供給契約を締結している、Arena社の抗肥満薬 ロルカセリン(lorcaserin、商品名:LORQESS)についての審議を行い、潜在的なリスクがベネフィットを上回るとして、反対9、賛成5、棄権0で諮問委員会として、承認は推奨できないとの結論が出されています。

 エーザイ社もこの結果をいち早くプレスリリースしています。

 lorcaserinに関するFDA諮問委員会の結果を発表
 (エーザイ株式会社 2010年9月17日)
 http://www.eisai.co.jp/news/news201048pdf.pdf

 lorcaserinはセロトニン2C(5-HT2C)受容体選択的アゴニストで、食欲や代謝を調整すると言われています。

新しいダイエット薬ロルカセリン(Lorcaserin)は、セロトニン5-HT2c受容体アゴニスト
(takのアメブロ 薬理学などなど。2010.07.29)
http://ameblo.jp/kunotakayoshi/entry-10601326229.html

 各紙によれば、体重減少の効果については認められたものの、動物実験での発がんリスクなどが懸念されたため、今回の結果となったようです。

September 15-16, 2010: Endocrinologic and Metabolic Drugs Advisory Committee Meeting Announcement

Briefing Information for the September 16, 2010 Meeting of the Endocrinologic and Metabolic Drugs Advisory Committee(FDAのレビュー、メーカーの資料)

 今年に入り、FDA諮問委員会で、抗肥満薬の承認が推奨できないとの判断が示されたのは、7月のVivus社のQnexa(phentermineとtopiramateの合剤)に続くもので、やはり承認された場合の対象者の多さを考えると、承認にはより慎重にならざるをえないのかもしれません。

 近く、第3候補の抗肥満薬、Orexigen社のContrave(ナルトレキソン塩酸塩徐放製剤とブプロピオン塩酸塩徐放製剤の合剤、武田が北米における開発・販売契約締結)の諮問委員会での審議が予定されており、承認の可否が注目されます

 Qnexaも含め、承認するかどうかの最終的な判断はFDAに委ねられます(期日はlorcaserinが10月22日、Qnexaが10月28日)が、通常は諮問委員会の意見が尊重されることから、おそらく発売は延期になるものと思われます。

関連情報:TOPICS 2010.09.16 シブトラミンの販売継続の是非は割れる(FDA諮問委)

参考:
U.S. advisers reject Arena diet drug; shares plunge
(Reuter 2010.09.16)
http://www.reuters.com/article/idUSTRE68F0KE20100917
Arena Fails to Win U.S. Panel’s Backing for Experimental Obesity Treatment
(Bloomberg 2010.09.16)
http://www.bloomberg.com/news/2010-09-16/
arena-fails-to-win-u-s-panel-s-backing-for-experimental-obesity-treatment.html

FDA Panel Turns Thumbs Down on Weight-Loss Drug
(Medpage TODAY 2010.09.17)
http://www.medpagetoday.com/PrimaryCare/Obesity/22266


2010年09月17日 16:00 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    米FDAは現在の申請では承認しないとの通知をメーカーに行ったようです。

    Arena社がプレスリリースで発表しています。

    FDA Issues Complete Response Letter for Lorcaserin New Drug Application
    (Arena Pharmaceuticals, Inc. 2010.10.23)
    http://invest.arenapharm.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=521977

    ネックは雌ラットの発がんリスクで、ヒトにおけるリスクアセスメントと合理的に無関係であることの証明が求められているようです。

    ただ、開発自体は続けられるようで、ロイターによれば2015年の発売を目指しているとしています。

    FDA rejects weight-loss drug(Reuter 2010.10.23)
    http://www.reuters.com/article/idUSTRE69M26620101023

    エーザイ社もプレスリリースで発表しています

    FDAが肥満症治療剤lorcaserinの新薬承認申請に関して審査完了報告通知を発行
    (エーザイ株式会社プレスリリース 10月23日)
    http://www.eisai.co.jp/news/news201054.html

    【抗肥満薬「ロルカセリン」】FDAが追加データ要求
    (薬事日報 HEADLINE NEWS 10月25日)
    http://www.yakuji.co.jp/entry20979.html

    一方、Orexigen社のContraveは12月7日開催の諮問委員会で審議が行われます。

    December 7, 2010: Endocrinologic and Metabolic Drugs Advisory Committee Meeting Announcement
    http://www.fda.gov/AdvisoryCommittees/Calendar/ucm230339.htm

  2. アポネット 小嶋

    米FDAは28日までに、諮問委員会で10対6で非承認の勧告が行われていたVivus社(http://www.vivus.com/)のQnexa(phentermineとtopiramateの合剤)についても、現在の申請では承認しないとの通知をメーカーに行ったようです。

    FDA Issues Complete Response Letter to VIVUS Regarding New Drug Application for QNEXA(R)~VIVUS TO SUBMIT WRITTEN RESPONSE WITHIN SIX WEEKS
    (Vivus 2010.10.28)
    http://ir.vivus.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=524576

    FDAでは出産可能な年齢の女性の心臓血管病リスクを含め健康リスクデータを求めたことから、メーカーでは6週間以内にデータを提出するとしています。